32 カオスな配信

「太一くん、犬カートのこと」


「そうだった!」


 コラボしたYAMAKIのことを話しておかないとね。

 犬カートも紹介したいしさ。

 僕のほうで発表したタイミングで、YAMAKIさんも発表するって言ってたし。


:いぬ・・カート?

:また不思議なワードを言うw

:犬ぞりではなく?

:あ、察し

:乗りたかったってことかw


「そうそう! 犬ぞりに乗ってみたかったけど、わざわざ雪原の場所を用意するのはねーって思ってさ。ゴルフ場で走ってるカートを中古で買っちゃった」


 安くて、みんなが乗れて、運転できるのって探したら条件ピッタシだったんだ。

 最初はトゥクトゥクが候補だったんだけど高いので……5万円のゴルフカートにしたんだ。


「エンジンとかいらないから、アレコレ改造もしてもらったんだけど……そしたらなんでかYAMAKIさんとコラボすることになっちゃった!」


:ン?

:YAMAKIって? バイクとか楽器の?

:ゴルフカートも作ってんの?

:え?w

:なんでかでYAMAKIとコラボw

:犬ぞりに乗りたい→YAMAKI参戦はイミフwww


「僕も意味分かんないけどね。嬉しいので良しってことになったよ」


:ほなええかw

:ヨシ

:嬉しいのでヨシッ

:コラボが嬉しい案件でしたら、ウチともいかがですか? ぜひぜひ!

:西芝公式ww

:設置してある自動改札機がそういえば西芝製w


「ええっ?」


:自動改札機にチーちゃんたちがプリントされるのw?

:家電が豊富だからアリだろうなw

:改札機にはないだろww

:そんなことを言うなら農協のほうが先です!

 私たちが一番最初に柄山家と契約しているんです!

:農協参戦ッ


「あ、婆ちゃんの野菜かあ」


:お世話になっております。農協の柴又です。

 コラボOKならやりたいことはたくさんありますよ!

 いかがでしょう?

:混沌としてきたwwwww

:配信のコメ欄でする話じゃねえw


 だよねえ。

 コラボして欲しいって言ってるけど……。


「勝手な判断は駄目」


「やっぱりねー」


 だって今見てる人が社長とかなら決定権はあるだろうけどね?


:一番似合うコラボ先は我々です!

:サンリョー公式www

:ピュアランド来ちゃwwwww

:カオスが過ぎるwww

:我々こそが始まりの戦士

 数奇な運命に導かれたのだ

:YAMAKIさんこんちゃww

:落ち着けよ企業勢w


 オカシナことになってきたんだけど!?


「急に言われても!」


 嬉しいけど困っちゃうからっ。


「うん、企業様がたとのコラボには魅力がある。これはダンジョン庁も巻き込むべき事態ね」


 YAMAKIさんとのコラボはたまたまだったけど、これからは協力してもらえるならしてもらってもいいんじゃないかってレーナ姉ちゃんは言う。

 コラボが決まったときに、そういう相談もしたんだ。


 だからYAMAKIさんは過多症の支援団体に寄付という形にしてくれたんだよ。チョットおふざけな感じで入ってきたけど、いい人たちなんですー。


 レーナ姉ちゃんも、僕が目標にしてる魔力過多症の人をなんとかしたいっていう気持ちを考えてくれてるんだと思う。

 僕のダンジョンだけで完結する話じゃないって言われたしね。


 赤ちゃんモンスターがいっぱいいるだけじゃダメってことなんだ。

 移動手段だって必要だし。

 全部僕たちが運ぶわけにもいかないしねえ。


「あれ?」


:太一くんワールド全開ッ

:仲良しが止まらなくなる能力ッ!

:どした?

:なんかぴぴーん来た?

:お馴染みの閃きタイム


「魔力過多症の人に赤ちゃんモンスター貸し出すよりさあ、来てもらうほうが実現しやすいのではっ!」


:なるほど、高級和風旅館からナイスな発想を得たね?

:いいじゃんいいじゃん

:空中庭園の和風旅館で赤ちゃんモンスター巡回か!

:いけそう!

:全然ありじゃん?


「そのアイデアも素晴らしいけど、患者さんの安全面という部分が立ち塞がるわ」


 コメントが早くなった。

 賛成してくれる人が多いけど、やっぱりダンジョンの中っていうのがネックになるよねえ。


「ねー。僕がいくら安全って言ったって完璧じゃないしさ」


 スケアリーウルフくんたちとサラちゃんがね。

 力加減をまだ覚えてない感じ。

 でももう少しって感じではあるよ!


「それに来れる人と来れない人の不公平が、どうしても出てきちゃうよね」


:そこはどうしようもないよな

:最初のうちは仕方ないのでは

:お世話になっております、YAMAKI経営企画部の谷村です。

 今回の案ですが、自動車総連に話を出してみる価値があるのではないかと。

 ウチの方でも進めてみようと思います。

:!?

:決断が早いw

:柄山ダンジョンへ安全に運べる手段があればってことか!

:西芝といたしましてもJRと協議すべき提案だと考えます

 患者様の移動用機器に関しましても当社で協力できるかと思います

:鉄道や家電まで仲間になりたそうにコッチを見てるwww

:きちゃー!


「い、いいのかな……」


「協力は必要……でも性急なのは駄目。安全面の確保が第一」


「う、うん。でもありがとうございます!」


 コメントにもいろんなアイデアが書き込まれてたよ。

 魔力を吸うオモチャとか。

 魔力を吸う果物や野菜とか。

 考えたこともなかった……。


 そしたらサンリョーさんや農協さんも協力体制が取れるじゃんってさ。

 ぜひぜひって言われたけど、試したことないからなあ。

 さすがに分かんないや。


「あとで作れるか見てみる」


「うん。太一くんのセキュリティが上がった。今のは危なかったはずなのにダンジョンマスターの力を使う気配なし」


「大人ですから!」


「それはない」


:大人ちゃう

:太一くんは永遠の男の娘

:お、とな?

:ないないw

:爆速で否定される太一くんw


「どちらにせよ、医師の判断が必要。時間は掛かるけど少しずつ進めましょう」


「おー!」


:おー!

:おー!

:おー!

:おー!

:お空の仲間たちは太一くんたちを運ぶくらいしかお手伝いできません

 しかし御用の際は、AJA企画部 久和喜までお声がけください

:おおっ?ww

:全日航w

:ああ・・過多症の人たちは念のために、で空の移動ができないのか・・・

:だからここですんなwwww


「僕たちが出向く場合っ! 思い付いてなかったなあ」


「あまり欲張っては駄目よ」


「はーい。テイマーさんに協力してもらうって手段もあるしね!」


:ガタッ!

:ガタッ!?

:ガタッ!!!!!

:ガタッ!

:ガタッ!!

:ガタッ!

:ガタッ

:テイマー歓喜w

:BでもCでもなく、テイマーでもないDランクのおでは・・おでは・・・


「え、えっとお……お名前募集のときにでもっ」


「みんな焦らず力を付けて。楽園はここにあるもの。太一くんもよ?」


「はーい」


:はーい

:はーい

:はーい


「じゃあ今日はこの辺で。色々ありがとうございましたっ!!」


 支援施設、なんかできそうな気がするね!

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