冒険284.伝子の弱点
===== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬[橘]なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田[渡辺]あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場[金森]和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
高木[日向]さやか一佐・・・空自からのEITO出向。副隊長。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
青山[江南]美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
久保田嘉三管理官・・・警視庁管理官。伝子をEITOにスカウトした。EITO前司令官。
愛宕[白藤]みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
斉藤長一郎理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目房之助警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
原田正三警部・・・新宿風俗担当の潜入捜査官だったが、EITO出向。
渡伸也一曹・・・EITOの自衛官チーム。GPSほか自衛隊のシステム担当。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
早乙女藍・・・元白バイ隊隊長。EITOに出向していたが,娘の轢き逃げ以降、退職していたが、EITOに就職。
高坂一郎看護官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。故人となった蘇我義経の親友。
山城順・・・伝子の中学の後輩。愛宕と同窓生。今は、非常勤の海自事務官。
依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。やすらぎほのかホテル東京支配人。
福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。大学は中退して演劇の道に進む。今は建築設計事務所に非常勤で勤務。
南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。元高校の国語教師。妻文子と塾を経営している。
服部源一郎・・・南原と同様、伝子の高校のコーラス部後輩。副島邸跡の敷地に音楽教室を始めた。
小田祐二・・・やすらぎほのかホテル社長。伊豆のホテルが本店。箱根にもホテルがある。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
午後1時。やすらぎほのかホテル東京。宴会場。
何と、この日は小田社長自身がMCをしていた。社長の好意で、Boomのテレビ画面が部屋のディスプレイに映っている。Boomとは、会議アプリである。メンバーがログインした段階で参加出来る。こちらの音声や映像は、Web用カメラで送られる。
依田が恐縮しまくっていた。本来ならスタッフで、結婚式や宴会は依田の仕事だからである。それと、小田社長の無料招待である。DDメンバーやEITOメンバーの女性は、ウーマン銭湯とレディース湯に行っていて、その後どこかで合流するらしい。そして、こちらは、女子会ならぬ男子会だった。
「本日はようこそ、当ホテルにおいで下さいました。依田君。恐縮しなくていいよ。今日は休暇で、たまたま仕事場の宴会に来ているだけだから。今日は、皆さん、『鬼のいぬ間の洗濯』を兼ねての宴会です。妻帯者の方はエプロンが違うでしょう?」
「社長さん、ウチはまだ籍が入っていないんですが。49日開けたら入れますが。」
西部の言葉に、「じゃあ、もう夫婦と同じでしょ。エプロンの柄が違うだけで、料理は平等ですよ。しかし、今回はお気の毒でした。ご挨拶が遅れまして。ええと、依田君、物部さんは?」と、小田社長は依田に言った。
「副部長は家で子守です。Boomでの参加です。後で、料理の一部を配達します。副部長、いいですよね。』依田は、最後の方は、物部に尋ねた。
「既成事実だから、仕方が無いから。異存はないよ。」と、物部は軽く言った。
「今日は女子会ですから、カップルのパートナーはいない訳ですが、馬場さん、高木さん、青山さん、高坂さん、西部さん。おめでとうございます。」
皆、「おめでとう」と言って乾杯した。
宴もたけなわになった頃、「天童さんと須藤先生のこと、知ってたんですか?」と草薙が言った。
「我々も、高坂さんの結婚式で初めて知ったんですが。」と、渡が改めて尋ねた。
「いいえ。おくびにも出さず、でしたから。まあ、僕は人生経験がまだまだだから、気がつかなかったのは暢気なだけかも知れませんが。」
高坂の釈明に、「いやあ、我々も気づかなかった。」と、筒井が言うと、「先輩、大人の恋、ですかね。しかし、50年は長い。須藤先生が聞かれたらカンカンになるかも知れないけど。」と、原田が言った。
「今日は、久々にのんびりされているんだろう。天童さんも誘ったが、遠慮しとくって言われたから。須藤先生も女子会にも行かれていないし。」
「50年の溝を少しずつ埋めてるのかな?」「珍しく文学的だな、ヨーダ。」と、福本は依田をからかった。
「須藤先生達に比べれば、僕たちなんか短い方だな、って思ったよ、ヨーダ。」と、高遠は自分たちと比べて言った。高遠達は結ばれるまで10年かかったのである。
「あ。そうだ。今朝のニュース。どうも、ひっかかるんだなあ。」と、高遠から切り出した。
「今朝のニュースって、ひな祭り殺人?高遠さん。」と南原が話に乗った。
「うん。実は、目撃者って、中津さんなんだ、中津興信所の。奥さんの公子さんが関わってしまった事件らしい。EITOの案件になるかも、って、連絡があったよ、さっき。」
「そうだったのか。そのニュースなら、俺も見たよ。ひな人形と、ひな人形に見立てた人間が爆発でどかん!だろ。」と、物部がテレビ画面から言った。
「ひな人形に見立てた人間って・・・死体だったんですか?最初から。」と山城もテレビ画面から言った。
「いや、中津さん夫妻は、手職台持って、ひな祭りの歌を歌いながら歩く和服の妙な女の行列の後を尾行して行ったら、廃寺のお堂で、男が変な呪文唱えて儀式をしていた。男のすぐ前に、『使い古し』らしい人形が棺の中に一杯あって、その向こうにひな壇があった。どうやら眠らされ固定されていたらしい。呼吸しているような感じだったから。そしたら、突然行列女達が呪文男の合図で行灯から手職台に火を移して、棺に放り込んだ。棺とひな壇の間に導火線みたいなのを発見した中津夫妻は、機転で逃げて難を逃れたが、爆発して燃えだした。夫妻が家を出る時にEITOに連絡をしていたので、秘密基地の大蔵さんが,テスト用の消火弾積んで、小型のオスプレイで現地に向かったんだ。消火弾は一時しのぎにしかならなかった。消防も懸命に消火したが、結局全焼。今、警察と消防で検証中。」
高遠の説明に服部は、「もし、今度の敵コブラ&マングースがやったことだったら、大量殺人ですね。催眠術で操られていたのかなあ。」と、言った。
「うん。久保田管理官が『自己顕示欲の強い奴』って言ってたから、昨日の戦闘も、はなから『今日は休みだ』みたいな言葉は信用していなかったから作戦を立てたんだ。伝子は反対したけど、理事官がやってみようって言ってくれて。」
高遠の発言に、今度は、珍しく参加している愛宕が言った。
「かなり、珍しいよ。先輩が自信ないから二の足を踏むなんて。」
「私も、そう思いますね。大文字さんらしくない。まあ、今までのパターンと違い過ぎたことも事実ですから。」愛宕の横の橋爪警部補が言い、その横の西部警部補が「まず、何らかの手段で、ナゾナゾで挑戦がお決まりみたいなもんですからねえ。まあ、前のデプスも、その傾向はありましたが。」と言った。
「追っ付け、情報が入るでしょう。警察は情報整理にてんてこ舞いです。」と、これまで黙っていた、久保田警部補がディスプレイの中から言った。
そうこうしている内に午後4時になった。
なぎさから、Boomにつながり、ディスプレイになぎさが映っている。
「おにいさま。どうしましょう?」「どうしたの?」と高遠が尋ねると、ソファに横たわった伝子が映し出された。飯星が介抱している。
先方の、スマホのカメラが伝子から、フレームアウトして、大量の、甘酒らしき瓶が映し出された。
「それ、みんな飲んだの?」「ええ。途中から止まらなくなって。ぶっ倒れたの。飯星は『酔っ払った』と言ってるけど、みんな初めて見たから。おにいさま、何か知ってる?そんなに弱いの?甘酒なのに。」
「みんな、部活で伝子が酔っ払ったのを見たことある?」高遠は、福本、依田、服部、南原、山城を見た。皆、首を振っている。最後に、高遠は愛宕を見た。
愛宕は、やはり首を傾げてる。
「僕も、昨年、初めて見た、知った。アルコールは下戸だから飲まない筈だけど、みちるちゃんが持って来た甘酒で酔っ払った。飯星さん。それ、アルコール抜きの甘酒じゃないよね。1%以下の、と言うべきか。」
画面が、飯星に変わった。「ええ。手作り、って書いてあるけど。何%かしら?高遠さん、ひょっとして?」「その通り。甘酒は造り方によって、アルコールの度数が変わるんだ。みちるちゃん、前科2犯になったね。」
2人の会話に、みちるは、部屋の隅に逃げた。
それを見ていた、愛宕の顔色が変わった。「みちるぅぅぅぅぅうううううう!!」
突然、愛宕が昏倒した。慌てて高坂が駆け寄り、鞄から血圧計や体温計、パルスオキシメータを取り出し、愛宕を診ることを始めた。
「慶子。みんなの『お持ち帰り』の準備を・・・あ。いないんだ。依田君。」
「はい。了解しました。」と、依田は宴会係に電話して指示を始めた。
「橋爪さん。白藤署長に連絡して下さい。間に入って事態を収拾できるのは、署長しかいかいない。渡さん、草薙さん。緊急事態が起こっても、伝子は欠席するかも知れません。」
「了解しました。」と橋爪警部補は署長に電話を始めた。
「了解しました。」と、渡はEITO本部の理事官と夏目警視正に連絡を始めた。
「先輩。どうしたんですか?先輩!!」と原田が叫びだした。筒井が震えながら、昏倒した。
「筒井警部。てんかん持ちでしたか。高坂さん、こっちも頼みます。」と、西部警部補が声を上げた。
高遠は呟いた。「謎は全て解けた。」
その頃、Base bookの投稿が・・・。
―完―
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