冒険242.3つのアナグラム(後編)
===== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬[橘]なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田[渡辺]あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田誠警部補・・・警視庁刑事。あつこの夫。
久保田嘉三管理官・・・警視庁管理官。伝子をEITOにスカウトした。EITO前司令官。
愛宕[白藤]みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
橋爪警部補・・・愛宕の相棒。普段は、丸髷署に勤務。
斉藤長一郎理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目房之助警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
金森和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
日向(ひなた)さやか一佐・・空自からのEITO出向。伝子の影武者担当。高木と結婚することになった。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。
江南(えなみ)美由紀・・・元警視庁警察犬チーム班長。EITOに就職。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。入院中。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
青山たかし・・・以前は丸髷署生活安全課勤務だったが、退職。EITOに再就職した。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。
渡伸也一曹・・・EITOの自衛官チーム。GPSほか自衛隊のシステム担当。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
中津敬一警部・・・元警視庁捜査一課刑事。今は副総監直轄のテロ対策室勤務。
中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。
七尾伶子巡査部長・・・元警視庁ソタイ課。EITO出向。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
藤井泰子・・・伝子のマンションの区切り隣の住人。モールで料理教室を経営している。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。
高坂一郎看護官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。
南部(江角)総子・・・伝子の従妹。EITOエンジェルズのチーフ。
立石一郎・・・レッドサマーの「枝」。世耕の少林寺拳法の弟子。
立石次郎・・・レッドサマーの「枝」。世耕の少林寺拳法の弟子。
立石三郎・・・レッドサマーの「枝」。世耕の少林寺拳法の弟子。
世耕正和・・・レッドサマー。
西部留吉警部補・・・高速エリア署刑事。
ジョー・タウ・・・以前、伝子と闘い、伝子に心酔。時々『特命』で救援。ジャックの兄。
ジャック・タウ・・・以前、伝子と闘い、伝子に心酔。時々『特命』で救援。ジョーの弟。
ほかに、EITOエンジェルズ。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部の精鋭部隊である==
==EITOボーイズとは、主に男性のEITO本部後方支援部隊である==
「吹き矢ガンね。」「その吹き矢ガンの使い手は、まだ見ぬ『幹』じゃなくて、その管理者が送り込んでいるのかも知れない。レンタルで『発注』するという『兵隊』も、そっちの世界からかも知れない。今の所推測の域を出ないが。前回、2種類の『兵隊』が来たが、後から来た連中が簡単に倒して行った。やられた連中は皆、肩を脱臼している。あかり、松竹梅って分かるか?」
いきなり指名された、あかりは「お正月の飾り物・・・じゃないですよね。あ、食べ物のコースとか関係ありますか?」と応えた。
「正解だ。」と伝子があかりの頭を撫でたので、あかりはえへへと笑った。
「つまり、『枝』はケチって『梅』の兵隊を発注していたが、後からレッドサマーが『松』の兵隊が送り込ませた、ということね、おねえさま。『梅』の兵隊を逮捕させる為に肩を脱臼させたのね。」と、なぎさが言った。
「その『松』の兵隊だが、たった3人だったそうだ。何とか、それだけは、口を割らせたよ。」と、言いながら、中津警部が入って来た。
「ウーマン銭湯で騒いだ弁護士は本物だったが、騒いだ男は雲隠れしたそうだ。本庄先生のお仲間の弁護士だったんだ、実は。談判に付き合って欲しいと言われて現場に行ったそうだがね。健二達に調べさせているよ。レディース銭湯の目撃者捜しもさせている。」
「隊長。白兵戦になると、不利かも知れませんね。何か武道をやっているとは思っていましたが。」と結城が言った。
「うむ。銃や機関銃・ナイフを無効にするだけではダメだな。あ。ウチは三節棍の使い手がいたな。」と、伝子が話を振ると、「自信無いわ、おねえさま。やってみるけど。」と、みちるは俯いた。
「多分。今日中にレッドサマーから、Redのメッセージがあるだろうな。取りあえず会議はここまでにして、訓練等にしますか。」と、夏目警視正が言い。「そうだな、本部から離れない方がいいかも知れないから、敵のアピールを待つとするか。」
午前11時。伝子のマンション。
伝子は気分転換に洗濯物をベランダに干していた。
伝子のスマホが鳴動した。「学、出てよ。」
高遠がスマホに出ると、ひかるだった。
「Redにレッドサマーのメッセージが載ったよ。大変だよ、高遠さん。」
大変は、ひかるの口癖だが、高遠は、自分のスマホでRedを起動させて、『大変』の意味が分かった。高遠は、伝子に聞こえるように声に出して読んだ。
《
待たせたね、EITOの諸君。お題は3つだ。『寝込みを襲うな』、『やわらぎほのか』、『てんでいない牡蠣』だ。どんなもんだい!どんな問題?こんな問題。難問か?手の内あかしてやってるんだから、頑張りなさいよ。『牛の歩み』でね。
》
「変なやつ、ばっかり!!」入って来た綾子が肩を怒らせて言った。
「お義母さん、たまには、いいこと言いますね。」「たまには?いつもよ、婿殿。」
スマホの向こうの、ひかるが笑って、「じゃ、切るよ。僕もアナグラム、考えてみるよ、高遠さん。」と言って、スマホの電話を切った。
ベランダから帰った伝子が、EITO用のPCを起動しようとしたら、向こうから自動起動をした。
ディスプレイに草薙が現れた。
「アンバサダー。実は・・・。」「Redのメッセージなら、今読みました。エーアイは今瞑想中です。」「本当ですか?」「冗談だよ、草薙さん。少し時間をくれって、向こうでジェスチャーしている。」「了解しました。伝えます。」
「気分転換になるかどうか、分からないけど、麻婆豆腐にしない?お昼。」
「聞いてた?」と綾子が、入ってきた藤井に尋ねると、「勿論よ。私の部屋に『盗聴装置』あるの、忘れた?いつも、伝子さんの喘ぎ声聞いてるのよ、激しいわよー。」
「笑えない。」伝子と高遠は、期せずして斉唱した。
午後3時。
高遠は、書類を揃えて、EITO用のPCを起動させた。
「1番目の『寝込みを襲うな』の方は、『波を起こそうね』です。『ラ・レイエス湘南』と言うウェーブプールの事だと思いますが、最終営業日が12月12日ですね。これは、一般利用客の営業終了です。ひょっとしたら、と思って利根川さんに尋ねてみたら、一週間後の12月19日に芸能人参加の波乗り大会があります。特設アリーナ席が設けられるようです。」
「人口波乗り場か。それはでかした。いや、それは大収穫だ。」と、理事官は言った。
「ひょっとしたら、コンティニューの作戦のリークかな、このアナグラムは。」と夏目警視正が横から言った。
「だと思います。イベントの日にちまでは、現場は無人ですから。」「なるほど、警備を計画させよう。」と、夏目警視正は、河野事務官に指示し始めた。
「3番目の『てんでいない牡蠣』は、『かいてん出来ない』です。『まわるかいてん』かと思いましたが、『みせをあける』の方だと思い直しました。レディース湯の本社かも知れないし、他の店かも知れない。店は既に火事に遭っているし。そして、2番目ですが、依田のホテルが『やすらぎほのか』だから、混同して、一時思考停止になりましたが、『やわらぎほのか』は、『かわらのやほぎ』ですね。」
「やほぎ?何だ?聞いた事無いな。」と言う理事官に、「調べたところ、奈良時代の言葉で、『屋根』の意味です。詰まり、『瓦の屋根』です。ざっくりしすぎているので、まだ的を絞れませんが。」
「確かに、瓦屋根の家は幾らでもあるからな。草薙。何かイベントがないか調べてみろ。」
「了解しました。」草薙は答えた。
通信を切った後も、高遠は考え込んでいた。
「さすが、婿殿ね。アナグラムって難しいんでしょ?」「ええ。まあ、コツはないことはないんですが、ジグソーパズルみたいに似たようなピースを避けながら、順番に当てはめるみたいな、作業ですね。ジグソー?そうか。」
高遠は、スケッチブックを取り出し、暫く奮闘していたが、EITO用のPCをまた起動させた。
「理事官。候補地の一つが見つかりました。東大の赤門です。見事な瓦屋根で有名です。文中に『あかして』という文字があります。漢字を使っていないから、『赤色』を現わしていると思います。それと、『もんだい』が、平仮名と漢字で3回入っている。回数は関係無いと思いますが、日本語の文章として、『漢字変換』したら、仮名漢字変換システムで2回目以降は、変換候補が出てきます。つまり、1個目で学習した平仮名の『もんだい』が出てくる筈です。それをわざわざ漢字にしている。つまり、重要なキーワードということです。『もんだい』は『問(もん)』、詰まり、『門がまえ』の『門』に置き換えられてます。無論、推論に過ぎないし、『瓦屋根』のイベントがあるかも知れない。赤門は、『国の重要文化財』です。」
高遠に続いて、草薙が発言した。
「この時期には瓦屋根に関するイベントはありません。全国的に、です。」
「あ。忘れるところだった。『牛の歩み』ってありますよね。これ、『丑三つ時』のことかも知れません。『復讐』に搦めての事なら、午前2時、という訳です。」
「分かった。こっちは、決まりだな。後は、開店出来ないのが、レディース湯の本社以外にあるかだな。草薙。」
「了解しました。」
翌日。午前2時。パチンコ屋きく象千代田店。
暗がりの中、解体用の重機・油圧ショベルカーが、閉業した店に突っ込んだ。
他の、東京都23区内の同社のパチンコ屋支店も同時刻にショベルカーが突っ込んだ。
解体作業をする訳でもなく、作業員は、さっさと引き上げて行った。付近の住民は何事かと表に出て、妙な光景に首を傾げた。
同じ頃。午前2時。レディース湯の本社、つまり、小亀谷湯本社の前。
1人の男が通用門から出てくる。
男に久保田警部補が、声をかけた。
「残業ですか。労働基準法の何倍働いているんですか?専務さん。」
専務と呼ばれた男は、素直に両手を差し出した。
久保田の合図で、爆発物処理班が通用門から入って行った。
「最後残業でした。悔いはありません。」
午前2時。文京区本郷。東大赤門前。
屈強な男達が、屋根瓦を壊している。
到着した、エマージェンシーガールズを見て、「来たか。待っていたよ。ここは暗いし、ここで乱闘してもしかたあるまい。キャンパスに行こう。援軍が来るなら、知らせておけ。」
男は堂々としていた。なぎさは、インカムで皆に指令した。
本郷キャンパス付近まで来て、男は言った。色んな場所に松明と証明器具が設置されている。
「時間は無制限だ。俺達は銃火器を使わない。ナイフもだ。兵隊は殆ど那珂国人だ。ユニフォームは・・・見れば分かる。」
方々から何百人もの『兵隊』が出てきた。なぎさ達は唖然とした。
ユニフォームとは、ヘルメットにバンダナ、ゲバ棒と呼ばれる長い棒だった。
「分かった。我々も銃は使わない。リーダーはどこだ。」
「俺だ。今はな。」
バイクの音が聞こえてきた。
「2人追加しても構わんよな。」バイクから降りて、ヘルメットを取ったのは、タウ兄弟だった。
ジョー・タウ、ジャック・タウは、かつて伝子が闘った相手で、伝子に惚れて?たまに救援に駆けつける。少林寺の有段者が敵の中にいると判断した、久保田管理官が連れ出したのだ。2人は、皇室で逝去された方がいたお陰で、恩赦で開放されていた。
敵のリーダーの返事は、戦闘を開始したことで証明された。
戦闘中、ジープや大型バスで、敵の援軍が到着し、エマージェンシーガールズに向かった。何度も『お代わり』は到着した。
他のキャンパスの監視に行っていた、伝子達が到着した。
そして、オスプレイが飛来、大阪支部のEITOエンジェルズが加わった。
銃火器を使わない『白兵戦』なので、普段ホバーバイクに乗っている、エレガントボーイズ改めEITOボーイズも戦闘に加わった。
2時間半。3人だけを残して、兵隊は倒された。3人は平然としている。
そして、エマージェンシーガールズも『伝子シスターズ』以外は、膝を折っていた。
ジョーとジャックが前に出た。なぎさ、あつこ、みちるが、それぞれ、ヌンチャクや三節棍で向かおうとしたが、伝子が制した。タウ兄弟にまで合図を送ると、彼は理解して、身構えるのを止めた。
どこからか、五節棍が飛んで来た。伝子は振り向くこと無く受け取り、深呼吸して言った。
「私が行く。」それから、伝子と3人の死闘が始まった。
1時間後。3人とも、膝をついた。
「勝負あったな。あっぱれな『立合い』だった。」
伝子は長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似た通信機器であり、主に、待機している警官隊に戦闘終了を合図する。伝子達EITOのメンバーは、逮捕は出来ても、警察ではないから連行取り調べは出来ないからだ。
3人は、久保田管理官と伝子に自己紹介をした。
「俺は立石一郎だ。」「俺は立石次郎だ。」「俺は立石三郎だ。」
立石一郎は言った。「結論から先に言おう。我らが師匠、レッドサマーこと世耕正和はもう亡くなっている。ここに来る前にも『防腐処理』を行って来た。我らは師匠の遺言通りの行動をしてきた。」
警官隊が到着した。
「病気だったのか?」伝子が問うと、「その通りだ。出来れば、この人物に墳墓に埋葬して欲しい、言いつかっている。」と、一郎はアジトのメモを久保田管理官に渡した。
西部警部補が近づいて来た。
「私の出番ですね。世耕は、従兄です。」久保田管理官がメモを見ると、西部の名前があった。
「『3番目のアナグラム』、あれは、昔、彼と私が作ったアナグラムです。今までの闘いで、私が『片付け隊』にいる事を確認して、私にやって来い、と遺志を示したのでしょう。万一、アナグラムが解かれなければ、タレコミする積もりでした。立石さん、私が従兄を丁重にあの世に送り出します。解剖が入るかも知れないが。」
西部は久保田管理官からメモを受け取ると、久保田管理官と橋爪警部補に黙礼をして去った。幾人かの巡査を連れて。
「毒を盛られていたのか?」と、伝子は一郎に言った。
「がんだ。何故そんなことを言う?」「そうか、知らなかったか。サンドシンドロームは毒を盛られていた。単に爆死したんじゃないんだ。じゃ、世耕は『死期』が近いことを知っていた。戦線離脱を考えなかったか?」と伝子が一郎に尋ねると、「酷い殺され方をするだけだ。俺達が出来る事は、恩人である師匠の言う通りに動くだけだ。」「じゃ、あの那珂国の兵隊達を『懲らしめた』のも、世耕の指示なんだな?」
「見抜いていたのか、大文字。」と次郎が言うと、横から、ジャックが「そういう、お人なんだよ。何でもお見通しだ。勝てる敵なんかいない。」と言った。
「そうかも知れんな。想定外の迎撃をすることは、噂に聞いていたが。きっと、コンティニューにも勝てるさ。俺達も詳しいことは知らない。せっかちな『おんな』という事以外は。」
「お前達はお前達の道がある。だが、俺達は更正して、恩赦で出られた。師匠のことはあのオッサンに任せて、警察に厄介になれ。」
「おい。ジョー。更正の事はいいが開放のことはばらすなよ。」と久保田管理官は言った。「了解しました。」と、ジョーは笑った。
立石達も、ジョー達も去って行った。
「愛宕君。いたわるのもいいが、たまには白藤にかまってやれよ。あつこ君が時々言うんだ、まだ本当の笑顔じゃないって。」
「愛宕。私に対してもだが、『腫れ物に触る』のも、いつかは止めろ。」
「ありがとうございます。心得ます。」
「帰るわ、伝子ねえちゃん。ところで、『火事場のクソ力』、コントロール出来るようになったん?」「『火事場の馬鹿力』だろ。天童さんのお陰だな。修行したよ。」
「ほなな。」総子は仲間の元に帰り、去って行った。
伝子の後方から、筒井が声をかけた。「いいコントロールだったろ?」「ああ、道を間違えたな。異常は?」「異常は無かった。しかし、コンティニューとかいう奴は気に掛かるな。」
午前5時。EITO本部。仮眠室。
狭いにも拘わらず、伝子、なぎさ、あつこ、みちるの4人は雑魚寝していた。
宿直していた、高坂は呆れかえった。
その頃、都内各地で小規模だが爆発事故が起こった。
工場、不動産屋、ブティック、土建業、スーパー。共通するのは、名前に『つづき』が入っていた。
―完―
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