冒険221.レインボーブリッジ封鎖しました(前編)
====== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬[橘]なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田[渡辺]あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田誠警部補・・・愛宕の先輩刑事だった。あつこの夫。久保田管理官の甥。
愛宕[白藤]みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
村越警視正・・・副総監付きの警察官幹部。あつこがEITOに移ってから、副総監の秘書役を行っている。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
金森和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
日向(ひなた)さやか一佐・・空自からのEITO出向。伝子の影武者担当。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向。
江南(えなみ)美由紀・・・元警視庁警察犬チーム班長。EITOに就職。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
青山たかし元警部補・・・以前は丸髷署生活安全課勤務だったが、退職。EITOに再就職した。
河野事務官・・・警視庁からのEITO出向。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
橋爪警部補・・・丸髷署生活安全課刑事。愛宕の相棒。
久保田嘉三管理官・・・EITO前司令官。斉藤理事官の命で、伝子達をEITOにスカウトした。
山城順・・・伝子の中学の後輩。愛宕と同窓生。今は、非常勤の海自事務官。
山城[南原]蘭・・・山城の妻。南原の妹。
物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。故人となった蘇我義経の親友。
依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。やすらぎほのかホテル東京支配人。
依田[小田]慶子・・・依田の妻。やすらぎほのかホテル東京副支配人。
福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。大学は中退して演劇の道に進む。今は建築設計事務所に非常勤で勤務。
福本[鈴木]祥子・・・福本が「かつていた」劇団の仲間。福本の妻。
南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。元高校の国語教師。妻文子と塾を経営している。
南原[大田原]文子・・・南原の妻。
服部源一郎・・・南原と同様、伝子の高校のコーラス部後輩。
服部[麻宮]コウ・・・服部の妻。
中山ひかる・・・愛宕の元お隣さん。SNS情報通。推理が得意。
渡伸也一曹・・・EITOの自衛官チーム。GPSほか自衛隊のシステム担当。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。
南部[江角]総子・・・伝子の従妹。EITO大阪支部のチーフ。
幸田仙太郎所員・・・南部興信所所員。総子のことを「お嬢」と呼ぶ。
中津健二・・・中津警部補(中津刑事)の弟。興信所を経営している。大阪の南部興信所と提携している。
西園寺公子・・・中津健二の恋人。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。
高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。
泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
根津あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。
守谷哲夫・・・SAT隊長。
東山英一・・・SAT副隊長。
市橋早苗総理・・・移民党の現総理。
能美哲夫・・・農水省大臣。
仁礼海将・・・海自の、上から2番目に偉い人。
安住信次・・・海上保安庁の一等海上保安正。
和知南・・・国枝大学学生。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
午後4時。ウーマン銭湯の外。
なぎさは、日向を呼び止め、そっと尋ねた。「高木君とは。もう、寝たのか?」
日向は、顔を真っ赤に染め、俯いた。肯定したのも同じだった。
「別に責めていない。そこの喫茶店に入ろう。」
喫茶店内。
2人とも紅茶を注文した。「副隊長。どうして、それを。」
「見れば分かる。それに噂になっている。結城に調べさせた。もう一度言う。責めたりしない。」
同じ頃。午後4時。ある銀行のATM.
行員が懸命にメガホンで叫んでいる。
「オンラインのシステム障害の為、『振り込み』は出来ません。窓口を開けてくれと要望がありましたが、ATMの故障ではありませんので、やはり振り込み出来ません。明日から扱えるよう、復旧作業を急いでおります。ご了解願います。」
中津興信所の泊と根津が、追ってきた対象者も、長蛇の列に並んでいる。出金等は出来るようなので、金を下ろしに来たのだろう。他人の金を。2人が追ってきたのは、スリである。スリは振り込みをしない。
少し離れた所で、高齢者の婦人が、行員に言っている。「今日、振り込まないと孫が会社をクビになるのよ。どうか、どうか機械を動かして頂戴。」
明らかに、『振り込め詐欺』だ。急増した頃に名付けられた、詐欺の手口で、芝居がかった電話の相手のペースに乗せられてしまうと、パニックになる。
泊達が止めようかどうか迷っていると、「おばあちゃん。電話の相手は、『本当の』おまごさんだったかな?」と言った女性がいて、横から関西弁の女と連れが、加勢して彼女を説得した。
『本当の孫』の電話番号に電話をかけさせ、本人が納得したところに、そのスマホに電話がかかってきた。関西弁の女が彼女と電話を替わり、こう言った。
「今日は、諦めとき。『振り込め詐欺』の受け子さん。この番号は警察に届けてもエエよね。」電話はプツッと切れた。
ご当人はやっと納得したようだった。ご当人も、相手をしていた行員も関西弁カップルと最初の女性に礼を言って、帰って行った。
泊は、知らん顔をして、中津に報告をした。関西弁カップルも帰って行った。
十数分後。追っていた男が、バッグをサイドテーブルに置いて、出金を始めようとした。メモをチラ見した男の側に根津は寄っていき、「あら、何か落ちましたよ。」とアクションを起した。すかさず、泊はスマホで撮影をした。
男が振り向いた時、「そんなに出金して、大丈夫?連休明けにしても、バッグ一杯に入る金額が必要な人って、そんなにいないわよね。」と根津は言った。
男は危険を察知して逃げようとしたが、泊が手を捻り上げた。
「お巡りさーん、泥棒ですよー。」と、根津が言うと、警備員がとんできた。最初の女性は、いつの間にかいなくなっていた。
午後5時。ATMの外。
ある女が、出金を終えて出てきた。「宮崎サヤコさんですね?」と近寄って来た幸田が言うと、女はダッシュして逃げようとした。総子が足払いをかけて、女はつんのめって倒れた。
幸田はにっこり笑って、写真を撮った。女のサングラスは飛び、頭のウィッグも跳んだ。
「ちょっと、そこの警察署まで付き合ってもらいましょか。」と幸田が言うと、「何?警察?礼状は?」「警察と違うけど、緊急逮捕やな。あんた、逃げようとしたし。大村幸太社長って言えば、心辺りあるんとちゃうか?」と総子は言った。
幸田は、怪我をした倉持の代わりに、幸田と一緒に宮崎を追って上京したのだ。宮崎は社長を手玉に取って、逃亡していた。宮崎は、持ち逃げしていた金を一旦連休前に入金し、今日出金したのだろう。
恐らく、警視庁管轄になって取り調べをするだろう。
午後6時。伝子のマンション。
ホテルに泊まる幸田と別れた総子は、伝子に会いに来ていた。今夜はここに泊まる予定だ。
「ふうん。でも何で、中津さんとこの若い衆は、総子達に挨拶しないんだろうね?お互い違う案件追いかけてたから?」と伝子は言った。
「どうやろ?まあ、ウチらは仕事終ったさかい、別にええけど。」
午後7時。
伝子達が夕食を終えた頃、ひかるから伝子のスマホに連絡が入った。伝子はスピーカーをオンにした。
「大文字さん。サンドシンドロームが、Redにアップロードしたよ。アバターにしゃべらせた、いや、アバターでしゃべった動画を挿入してね。」「ありがとう、ひかる君。」
高遠は、すぐにスマホでRedを起動して、伝子達に見せた。
《
今回は、簡単なクイズだ。『自由の女神』から橋を眺めろ。『ニューヨークに行きたいかー』ってな。のうずいにたたき込んでおけ。大事なことだからな。聞き流しちゃダメだよ。明日午後3時だ。
》
「ダークレインボーって、おふざけが好きなのね。」と綾子が言った。
「いや、おばちゃん、素晴らしいわ。伝子ねえちゃんらより先に謎解きするやなんて。」
「何のこと、総子ちゃん。」「え?今答え教えてくれたんちゃうの?」
「考えすぎだよ、総子。まあ、確かに簡単過ぎるクイズだが・・・。」と言う伝子に、「罠があるね、きっと。」と言いながら、高遠はEITO用のPCを起動させた。
「理事官。明日、午後3時。レインボーブリッジに来いと、サンドシンドロームからRedで言って来ました。」
「あんまりストレートだと、気味が悪いね。」「理事官のオッチャン、私も参加してエエ?」
「ん?何か考えがあるのか?大阪はいいのか?まあ、1日だけ延長して貰うかな。大前君には連絡しておこう。明日、午前9時にEITOで作戦会議だ。」
「いや、その前に・・・。」それから30分間。伝子は理事官に話をした。
理事官は、「早急に対処する。ではまた、明日。」ディスプレイの画面は消えて、静かになった。
「総子ちゃん、今夜はお義母さんと寝るんだよね。」「ええっ!」「ええっ、て、嫌なの?」と綾子が言うと、「いやぁ、感激やなあ、っていうことや。姉ちゃん兄ちゃんは『子作り』せないかんしな。」と、総子は笑った。
高遠は、笑いを堪えて、予備の部屋の寝床の準備にかかった。
―完―
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