❇️謎の抽象詩❇️

１ 絶叫の閉ざされし助け舟

闇は鋼鉄の羽根を広げ

何も見えぬ水底を抉る

叫び声はかき消され

冷たい刃となりて　ただ沈むのみ

夜は不在の夜明けを誓い

無限の溝に落ちてゆく

舷にすがる手は無力に裂け

海風は耳を拒絶し　音を追い払う

人影のない舟はただ漂い

空虚の海にて漂流する

希望の糸は絡まり

救いの腕は永久に届かぬ場所へと逃げる

見えぬ岸　揺れる幻想の帆

足元に広がる空虚の泉

波間に隠れた叫びは

もはや言葉の形すら持たず

空は軋みて裂け

星々は燃え尽きる

沈黙は燃え広がり

言葉は全て灰となりて消える

溺れることも叶わず

ただ永遠に浮かぶ影

黒き海はその身を飲み込み

記憶は無の形を纏う

舟は進まず　道は消え

終わりなき航海は

果てなき絶望の海に沈みゆく

その助け舟は

絶叫の内に閉ざされしもの

彼方よりの声はもはや届かず

風は凍りつき　時は無音に止まる

そして世界はただ

無限の沈黙に包まれる

遠く響くは

絶叫の名残

一滴の涙は空に溶け

何も残らぬ虚ろの舟は

静かに　音もなく

夜の底へと消え去りぬ