第35話 魂の魔法陣
アキラは、気がついたら光の空間の中にいた。
「ダンジョン・コアの中?」
辺りは静寂で、ただ光があるだけだった。
「たしかオレは死んだ?ここは天国?」
「そうだ、マリは?マリはどうなった?」
その時、目の前に女性の姿が現れた。
全体が虹色に光っていて、とても神々しかった。そしてマリに似ていた。
「マリ?」
アキラは手を伸ばした。そして女性に触れた瞬間、女性が眩く光り、目を開けていられないほどになった
次の瞬間、星空の中にいた。そして星々が降ってきた。やがて一つの星が目の前で止まった
「地球?」
アキラは地球を眺めていた。
植物が現れ、魚が現れ、動物が現れ、恐竜が現れ、そして人類が現れた。地球誕生からの歴史が走馬灯のように流れていった。
人が急激に増え、各地で戦争が起こった。そして黒い染みのようなものが跡に残った。どんどん染みは増えていった。
日本で大きな光の爆発が二つ起こった。「原爆?」
そこから黒い染みは一気加速度的に広がった。世界各地の黒い染みは急激に増えていき、広がり、地球全部を覆った。
やがて黒い染みは凝縮していった。そして無数の小さな円盤状のものとなって、一斉に地球に刺さっていった。
「ダンジョン」
「こうやってダンジョンが生まれたのか」
アキラは、ただ俯瞰して見ていた。
突然ダンジョンが光だして崩壊した。
「ダンジョン崩壊...。マリは?マリはどこ?」
アキラの意識がマリを探した。すると新宿でアキラと抱き合うマリを見つけた。
「マリはオレが守る」そんな声が聞こえた。
「そうだ、マリはオレが守る」そう思った瞬間、
「オレが守る」「オレが守る」「守る」「守る」「守る」という声が広がって周囲を埋め尽くした。
突然「守って」そんな声が聞こえた。
目の前に、先ほどのマリに似た光る女性が立っていた。
「守って」また声が聞こえた。
光る女性に手を伸ばした。触れた瞬間、場面は変わり、マリが見えた。
「アキラ、アキラ、アキラー!」
大声を出し、泣き崩れるマリが見えた。
「マリ、ごめん、もう守ってやれない」
マリに触れようとしたが、触れることはできなった。
「マリ、愛してるよ」
そう思ったとき、マリのお腹の中で、小さな光が見えた。
「こども?マリとオレのこども?そうか赤ちゃんが出来てたのか」
「一目会いたかったな」
やがてアキラの意識はうすれていった。そして正に消えようとした瞬間、胎児の周りに魔法陣が現れた。
魂の魔法陣
七か月後、赤ん坊が生まれた。
「救世主様、かわいらしい元気な男の子ですよ」
マリは涙を浮かべて、その子を抱いた。
「おかえりなさい、アキラ」
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