第22話 「冷血」辛すぎるスキル

「後の事は、頼んだ。必ず魔王を倒してくれ!」

四天王の一人と死闘を繰り広げた剣豪が倒れた。


これで二人の仲間が死に、一人は重傷で倒れたが、置いて行かざるをえない。一時の哀しむ間もなく 次々と戦いが始まる。この非情な行動にスキルが生まれた。


たび重なる魔物との戦いで、また一人、ひとりと倒れて行く。

やがて、魔王との死闘が始まり・・・。そして終わった。


「賢者よ。生き残ったのは二人だけか。」満身創痍の勇者が呟く。

「余りにも、犠牲が多すぎた。」

賢者は、嘆きながら堪えている。

「チクショー。スキルの所為で涙も出やしない。」勇者の表情は、一点を見詰める能面の様に悲しみを表す事すら出来なかった。


彼らは王都に凱旋した。沿道を囲む民衆の大歓声も 王よりの莫大な褒美も、彼らに喜びは無かった。いや、表現はする表情を失っていた。


彼らの態度は、初めは 仲間を失った為と好意的に見られていたが、度重なる毎に 変化の無い表情が、冷たいと勘繰られて、国民の歓声も消えて、周囲の人々の態度も徐々に冷めていった。


いつの間にか、彼らは家に閉じ籠り、訪ねる人も希に そして絶えた。

ただ、賢者のみに語り掛けていた。

「夕べも夢で、彼奴に会った。楽しく笑っていたが、俺は 笑いたくても笑えない。泣きたくても泣けないんだ。」苦しさを訴える。


勇者の口数も徐々に減った頃、突然に「魔王の最期の言葉が、今になって気に掛かる。」との一言。

「魔王の言葉て? 」賢者の回答を待たずに 勇者は呟いた。

「お前は、昔の俺さ。孤独に堪えきれなかった俺は、力を選んだ。理不尽な態度に堪えきれずに、魔王を選んだ。まあ、死ぬのは孤独より怖かったがな。お前らは、どれを選ぶかな。」

「あぁ!俺は やっと仲間の元に行ける。ありがとうな!」

賢者は、ただ呆然としていた。

その後の勇者は狂った様に、真剣に悩み続けた。

このスキルさえ無ければと賢者は一言呟いた。今の勇者には聴こえない様だが・・・。



読んで下さり、ありがとうございます。

まとまりの無い文章になりました。

申し訳なく、思っております。

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