弟と私の格差が酷すぎませんか?

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第1話

こちらの屋敷に来てから、私たちの生活は変わってしまった。

正確には私の生活がだが。

旦那様の御子息であるこの男が、私たちの主人である。

そして、なぜか屋敷の中心となっているのはご主人様の寵愛を一身に受ける私の双子の弟。

弟はご主人様と一緒の食卓を囲み談笑しながら食事をしていた。私と境遇は同じはず、同じ親に捨てられた私たちはここに来るしかなかったのに。

私は弟の後ろで、お仕着せを着て、立っている。

過度な仕打ちを受けた身体は、立っているのがやっとだった。弟は座ってこの家の家族と食事をし、私は立ったまま給餌をする。

それが私と弟の、この家での立場を表していた。

ご主人様は弟に話しかける時は殊の外嬉しそうで、私にはそんな表情は向けたことはない。

私にも少しくらい優しくして欲しい、そんな事を思った時もあったが今は諦めだけが救いだと知っていた。

弟のグラスが空いたので、辛い身体に鞭打つように飲み物を注ぎにいく。

「ありがとう。姉さん」

こちらを真っ直ぐ見る目を、見つめ返して微笑む。ほんの少しの姉弟の交流。


「使用人に礼は必要ない。いないものとして扱うのが礼儀だ。そうでなければ仕事が進まず彼らに迷惑だろう?彼らと同じく、私たちもそう振る舞わなければならないよ」


いつもこうだ。

他の使用人に弟が声をかけても何も言わないが、殊更私が絡んだ時だけ立場を弁えるよう冷たく言い含められる。これは弟に言っているように見せて私に忠告しているのだ。


すぐに何も言わずにに下がる。些細な抵抗。

平気なフリをする。

胸がギュッと締め付けられるような気分になり、このままではダメだと手指に力を込めた。こんな時は指先が冷たくなる。震える力の入らない手では液体を注ぐような場面で失敗しかねない。より酷い仕置きをされないように、私は失敗できないのだ。


「そんな言い方はないよ!僕のたった1人の家族なんだ」

「そんなことはない。私を家族と思えば良い」


ああ、なんてチグハグな会話だろう。側から見ているとハラハラする。やめて、弟よ、口答えしないで。災難が降りかかるのは常に私の方なのに。

地雷原と知らずに走り回る弟を御する術などない。早く食事が終わる事だけを願っていた。

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