私を使ってよ!

「悠妃!?ユウヒ!!!」

「おい、逃げたぞ!」

「誰か救急車」

「轢き逃げだ!警察も呼べ!」


 ピーポーピーポーピーポー

 ウゥ〜〜ウゥ〜〜ウゥ〜〜


「ゆうひ、やだ、やだ……」

「意識なし、搬送します」

「事情聴取を」

「私も病院に連れてって!双子なの!一卵性なの!」

「それなら……」

「……わかりました、先に病院に」


 ガラゴロガラゴロガラゴロ


「ヤバいぞ、これ」

「肝臓、腎臓の損傷……これ両方か」

「身体の上を通りやがったか」

「これは移植しかない。けど、そんな急にドナーって……」

「私を使ってよ!」

「おい、どこから入ってきた」

「一卵性双生児なら絶対大丈夫でしょ!」

「しかし両方は……先に親御さんを調べてから」

「いいの!」

「そういわれても、リスクはありますし」

「悠妃がいない人生なんて考えられないの!早く悠妃を助けて!」

「先生、どうしますか?」

「時間の猶予もないし、確実ではあるが……」

「ご両親到着しました」

「……ご両親の同意が得られたら」


 ガラゴロガラゴロガラゴロ

 ガラゴロガラゴロガラゴロ


 ピッピッピッピッ

 ピッピッピッピッ


「17時48分、生体肝腎同時移植を行います。皆さんよろしく」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る