第四章 冒険者ギルド
【冒険者ギルド】
[冒険者ギルド]
※『異世界中二病プロジェクト』本日も副音声は()でファンタジー肯定派のクロノマオウ女史、ファンタジー否定派の成瀬女史、SF映画監督の神谷でお届けしています。
弁当をほうばりながら。
(悪役組合ジョッカーの力也さん達、ぶっつけ本番で大丈夫なの?)(成瀬)
(何言ってる。あの人達は俺達が子供の頃から役者やってるんだぞ。派手なアクションは何度も練習を重ねた相棒の方だから心配な訳あるか)
(そう言いながらその冷や汗は何?)(成瀬)
(言わば俺達全員がそうだが、言われてみれば、彼らにもこの中二病チーム全員の命運が掛かってるんだから確かにぶっつけ本番はきついかもな)
(監督まで『中二病チーム』とか言いだしたよ)(クロノ)
ゴクリとお茶を飲み込む神谷。
(『よーし、休憩開け、冒険者ギルドのシーンからな。アクション!』)
レベッカとセルゲイが上手く説明してくれたようで問題なく開放された二人。
街を案内してもらい中世風の街並にキョロキョロする
直ぐに冒険者ギルドに着いた。セルゲイが教えてくれる。
「ここが冒険者ギルドです」(セルゲイ)
「では私達はここで」(レベッカ)
「ありがとうございました。慎太郎くん、行こう」(ミオナ)
「うん」(慎太郎)
(監督、あの子は誰?)(クロノ)
(何だ? エルフの姿をしたエキストラか? 近すぎるぞ)
(さっき出てきた子じゃない?)(成瀬)
「キミ達さぁ。さっきあっちで凄い魔法使ってたよね」(見知らぬエルフ)
「あなたは誰?」(ミオナ)
「ボクはレーア。・・・」(見知らぬエルフ)
(僕っ娘だ。でも、あんな演出作ってないよ)(クロノ)
(何っ! 『おい! イリーガルだ。矢田! 誰か近くにスタッフのエキストラはいるか?』)
(『セカンドの高野さんが兵士の演技指導で近くにいます』)(矢田)
(『そのまま兵士の恰好で引き剥がしてくれ』)
(『了解っす』)(矢田)
(くそ! 確かにここは判りづらい場所だが、立ち入り禁止にはしていても誰も止められないからな)
(でも、あの子エルフの恰好をしてるからエキストラなんじゃないの?)(クロノ)
(ああ、後でセカンドの高野に聞いてみるが今はバレない事が先決だ。『ミオナ! イリーガルだ。なんとか切り抜けてくれ』)
(うわー、こんなトラブルあるんだね。わたし達の仕事の雇用もここまでかも)(クロノ)
(マオウは今ニートなの?)(成瀬)
(うぐっ)(クロノ)
「ごめんなさい。じゃあ、私達は忙しいからこれで」(ミオナ)
「そんな。ちょっと待って話を聞かせてよ」(見知らぬエルフ)
兵士が駆けて来る。
「おい、キミ!」(高野)
「あっ、ヤバッ!」(見知らぬエルフ)
見知らぬエルフは逃げ、兵士が後を追いかけた。
(耐えた〜)(クロノ)
「あははは、慎太郎くん、何だったんだろうね」(ミオナ)
「良く判らないけど、さっきのミオナちゃんの凄い魔法に興味があったんじゃない?」(慎太郎)
「きっと慎太郎くんがカッコ良くやっつけたのでも見てたのよ」(ミオナ)
「そっかな、えへへへ」(慎太郎)
「じゃあ冒険者ギルドに入りましょう」(ミオナ)
「うん」(慎太郎)
大きなドアを開け中に入る二人。
いかつい大人達が幾人かいる。
視線が珍しい新入り達に一斉に降り注いだ。
狼の頭の戦士っぽい人や受付の女性はケモ耳だ。
「マジ、すげー」(慎太郎)
「慎太郎くん。あそこが受付みたい」(ミオナ)
「そうだね。まず魔石を換金して冒険者登録だね」(慎太郎)
(『力也さん、行きますよ。アクション!』)
「おうおう、兄ちゃん、綺麗な娘を連れているな」(怖い人)
なんか凄い二人が来たよ。
あー、これよくあるやつだ。
でも、この人達超怖ぇー!
ミオナの腕を掴む絡み役の悪役組合ジョッカーの代表高岡 力也。
悪役をやらせたら半端じゃない顔面破壊力だ。
「ちょっと、や、やめてください」(ミオナ)
「ミオナちゃん!」(慎太郎)
(頑張れ、
しかし、動かない
(こりゃダメだな。ミオナ、パターン2だ。『ワイヤーアクション行くぞ! アクション!』)
「ウィンド!」(ミオナ)
ブワッ!
受付側の壁の隠し空洞から盛大に風が出て来る。
これは冒険者にあてるというよりも慎太郎に風を感じさせるためのものだ。
ファンの音を聞かせない為にダクトを引き回しかなり遠くから送風しているがタイミングもピッタリだ。
怖い人の隣の冒険者が1人、その風を受け壁までワイヤーアクションで後ろ向き飛ぶ。
「ぐわっ!」
壁に衝突した瞬間、壁がひび割れながら凹んだ。
ドカッ!
なかなかのスタントだ。
壁は外側からタイミングを合わせて引っ張る仕組みのギミックで、衝撃で壁が凹んだように見せる演出だ。
ドサッ。
壁に激突した冒険者がそのまま前に倒れる。
悪役組合ジョッカーの力也演じる冒険者も尻もちをついてあたふたとしる。
凄いミオナの魔法に唖然とする慎太郎。
(良し。ナイス演技だ。続いて行こう)
「お二方共、大丈夫ですか? こちらの受付にお願いします」(受付嬢)
「はい。慎太郎くん。受付だって」(ミオナ)
「うん、でもミオナちゃんの魔法凄いね」(慎太郎)
「慎太郎くん程じゃないわよ」(ミオナ)
「ちょっと、ジャッカル。新人を構わないでください。ギルドマスターに言いつけますよ」(受付嬢)
「おう、そいつは勘弁だ。なぁに、ちょいと揶揄っただけだろ」(ジャッカル)
「早くヘリルさんを助けてください」(受付嬢)
「わ、わかってら」(ジャッカル)
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