【魔力測定】

[魔力測定]


※『異世界中二病プロジェクト』本日も副音声は()でファンタジー肯定派のクロノマオウ女史、ファンタジー否定派の成瀬女史、SF映画監督の神谷でお届けしています。


 (監督、なんであの受付のアーシャ役の娘はあんなに胸がおおきいのよ) (成瀬)


 (ああ、あの配役はマオウが、、、)


 (受付嬢は巨乳が定番なのよ)(クロノ)


 (どんな定番なのよ)(成瀬)



「ごめんなさいね。ガリウスは悪い人じゃないんだけど新人を見るといつも揶揄ってくるのよ」(受付嬢)


「ガリウス?」(慎太郎)


「ああ、ジャッカルのガリウスっていうの」(受付嬢)


 二つ名! カッケー! しかもこのお姉さんも巨乳!



 (ほら慎太郎も胸しか見てないよ。狙い通り)(クロノ)


 (どんな狙いなのよ)(成瀬)



「ところであなた方は?」(受付嬢)


「はい、冒険者の登録に来ました」(慎太郎)


「判ったわ、二人ね。じゃあこれに記入してください」(受付嬢)


 慎太郎とミオナの前に羊皮紙が出された。


「では、こちらの紙にお名前と職業を書いてください」(受付嬢)


「はい。えーと、Nameだから名前だね」(慎太郎)



 (英語?)(成瀬)


 (ああ、流石にそれくらい大丈夫だろ)


 (でも慎太郎ゆうしゃが日本語書いてるよ)(成瀬)


 (ああ、せめてローマ字にして欲しかった)(クロノ)


 (慎太郎ゆうしゃがルールだから仕方ないな)



「職業は、、、」(慎太郎)


「慎太郎くんは一番左上のBraveね。それが勇者っていう意味なの」(ミオナ)


「へー、そうなんだ。ミオナちゃんは?」(慎太郎)


「私はこのWizardね」(ミオナ)


「かっこいいね。よし、〇っと」(慎太郎)



 (勇者が一番左上とかどんな世界なのよ)(成瀬)


 (ゲームの通りなんだけどね。でも中二病だから当たり前の世界)(クロノ)


 (あはははは)



「ゆ、勇者さまと魔法使いさまなんですね。ではこちらの水晶にこのカードをセットして手をかざしてください」(受付嬢)



 (いよいよだな。遥香のあの水晶は相当気合いれてたからな)


 (オランダの涙をあの大きさで空包を入れずに作るのは大変なのよ)(成瀬)


 (うまく割れるの?)(クロノ)


 (丸く見えてるのは出ている部分だけで、下はとても細いガラスなのよ。そこを少し割れば全部砕けるわ)(成瀬)


 (ルパートの滴ともいうんだろ。しかし強化ガラスなのに不思議だよな)


 (まあ、あの受付の娘がうまくやってくれるわよ)(成瀬)


 (なんかプラスチックのプレートが前にあるけど、、、)(クロノ)


 (ああ、危ないからね。あそこにギルドカードをセットするのよ)(成瀬)



 テーブルから水晶玉のように半分以上顔を出しているのは「オランダの涙」と呼ばれるガラスで、溶かしたガラスを水に入れ急冷したものだ。


 成瀬博士がかなり大きなものを作っている。


 涙状になり反対側は尻尾のように細く、そこをペンチで切ると、全体が粉々に砕ける予定だ。


 受付嬢の演技とカウンターの下の操作がポイントだ。


 勇者しんたろうが、前にある透明なプレートにカードを置き何の疑いもなく手をかざす。


 フワン!(わずかな効果音)


 水晶が力強く光り出した。勿論下から強い光源で照らしている。



 (っちょ、眩し過ぎない)(成瀬)


 (あれくらいでいいんだよ)



「す、凄げー、、、」(冒険者A)


 冒険者ギルド内からも驚きの声があがる。


 そのまま光量が増して、、、。


 パシッ!


 粉々に割れた。



(おおーいいね)



「マ、マジかよ」(冒険者A)


「なんだ、あの新人」(冒険者B)


「え、えー! ど、どうしちゃったのかしらね。でも凄い魔力量で測定不能だわ」(受付嬢)


「あははは、そうみたいですね。すみません、割っちゃって」(慎太郎)


 勇者しんたろうは満面の笑みだ。


 この定番の為に膨大な費用を掛け何度もリハを繰り返して準備したのだ。


「だ、大丈夫ですよ。ではミオナさんはこちらでお願いします」(受付嬢)


 勿論最初から2つ用意していたものだ。


 ミオナも手をかざす。


 今度は鮮やかにレインボーに輝き出した。


 次々と色が変わる。


「す、凄い、全属性の魔力をお持ちなのですね、、、」(受付嬢)


 パシッ!


 こちらも粉々に割れた。



 (自分で作っておいてなんだけどやり過ぎ感満載ね)(成瀬)


 (俺達はこの為にやってるんだからいいんだよ)


 (定番大成功〜!)(クロノ)



「あっ、ご、ごめんなさい」(ミオナ)


「大丈夫ですよ。それにしてもお二人共凄い魔力量で測定不能ですね」(受付嬢)


「では、こちらが魔力を記録した冒険者ギルドのカードです。無くさないでくださいね」(受付嬢)


 カードを受け取る二人。


「はい。それと魔石は売れますか?」(慎太郎)


「はい。あちらでお願いします」(受付嬢)


 少し低くなった受付に、大きな魔石を置く。


 ミオナがアイテムボックスから出すように手品で出した。


 サッ!


 ゴトッ!


「ア、アイテムボックスまで!? か、かなり大きいですね。これは何の魔石ですか?」(受付嬢)


「はい。祠に行く途中のモグラ魔獣のものです」(慎太郎)


「えっ! あれを倒したんですか?」(受付嬢)


「は、はい」(慎太郎)


「アーシャ、モグラ魔獣の依頼書を」(受付嬢)


「は、はい」(アーシャ)


 アーシャが掲示板から依頼書をはがして持って来た。

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