夜々檸々

 それは夏の暑い、大きな入道雲が真っ青な空に浮かんでいる、昼下がりのこと。

「ラムネの炭酸って、けっこう気持ちいいね。おれ炭酸は苦手だけど、ラムネのしゅわしゅわは好きだわ」

 日差しを避けて大きな木の陰に立つ朧々ロウロウは、ラムネの瓶を仰ぎながら楽しそうに笑う。からん、とビー玉の乾いた音が響く。

「お兄ちゃんは炭酸に弱いもんねぇ」

 そんな朧々の隣にしゃがむまことは、それを聞いておもしろそうに笑いながら、同じくラムネの瓶を仰ぐ。同じように、ビー玉の心地よい音が響いた。

「そーなんだよなぁ。でも、これは美味いわ」

 朧々はそれを聞いて、心の底から愉快そうにけらけら笑った。

「僕はそういうところがあるお兄ちゃんもすきよぉ」

 真はそう言いながら、楽しそうに愉快そうに笑う。

 

 この二人が、暑い中降り注ぐ蝉時雨に負けないくらい楽しそうに笑っている理由は、朧々のラムネの感想の話だけではないのだ。

 二人の絆もいとおしくて心地よくて笑っているのだ。

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夜々檸々 @066_NeiNei

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