第3話 唐突なチンピラで草
ゴーダはヒロインと主人公のファーストコンタクト時に立ちはだかる奴隷商人の小悪党だ。
奴隷落ちした亡国の姫であるヒロインを「立派な商品となるための教育」と称して虐待しており、その様子を見かねて激怒した主人公にボコボコにされた挙句、傷ついて動けなくなったところを犬に喰われて死ぬ。
死に方が壮絶過ぎるし、見た目が筋骨隆々のピエロメイクのオカマでザ・イロモノの小悪党ということもあり、ゴーダになってしまったのは控えめに言って最悪だ。
唯一の救いといえば、ゴーダが主人公にボコボコにされる原因となるヒロインを虐待する前──ヒロインを奴隷の卸元ぽいところで購入した直後の状況であることくらいだろう。
今ならば軌道修正が効く。
できるだけ早くシルヴィを解放して、主人公──死神との接点を無くすのが得策だろう。
流石に着の身着のままここで解放してしまうのはあまりにも酷いので、『DQNファンタジー』の世界で生きるために必要なことを教えてからにするが。
本当のところはわからないがここは奴隷商に奴隷を売る場所──盗賊団とか犯罪組織のアジトの可能性も高いのでとりあえず離れるか。
「移動するぞ。ついてこい」
「……はい」
首輪の鎖を引くと転ける可能性が高いので、シルヴィの手を引いて早足で建物の外に出ていく。
外は飛行船の停泊場になっており、周りの飛行船に紛れてゴーダの奴隷船『エルドラド』も停まっているのが見える。
「結構な上物を落としたみたいじゃねえか? 俺たちに寄越してくれれば命までは取らねえよ?」
真っ直ぐ向かおうかと思うと待ち伏せしていたのか、ナイフを持ったチンピラ三人組が通せんぼしてくる。
きょ、凶器を持っている!
俺は武器を持っていないし、武術も心得もない。
このゲームは戦闘パートは主に巨大ロボットなので前の世界での知識でどうにかなるはずもなく俺には打つ手ない。
「じれてえ!! このピエロ野郎ぶっ殺して全部奪えばいいだろうが!!!」
可哀想だがシルヴィを渡すのはやむなしかと思うと、ナイフを持った一人が痺れを切らしたようでナイフを構えてこちらに突っ込んできた。
「さ、刺される!」と思うと勝手に体が動き、胸から右人差し指に熱が流れるような感覚と共に着けている指輪から光刃が生じるとそのまま斜めに薙ぎ、チンピラの喉が切られた。
「ゴホ! ゴホォ!」
血を吐くと突っ込んできたチンピラがバランスを崩して地面を転がっていく。
倒れる途中にチンピラが宙に投げ出したナイフを体がフルオートで蹴り、もう一人のチンピラの頭に突き刺さった。
「うわああああああ! 化け物おおおおお!!」
最初に恐喝してきた残り一人となったチンピラがビビって逃げ去っていく。
強え……。
素人目にも手練としか思えない挙動だ。
体を動かすことなど最近久しくしてなかった俺がこんなアクロバットなことをできるはずがないので、ゴーダの体に刻まれた記憶が発露したか何かだろう。
「走るぞ!」
「は、はい!」
とりあえずここは危険過ぎるので急いで『エルドラド』に向かう。
───
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