第8話 聖魔法
・登場人物・
ヤマト……主人公、勇者。
フォルカー……S級冒険者。魔動車の設計者。
ブラシュ……剣士。C級冒険者。リーダー。
パァス……スカウト。ムードメイカー。
パレッタ……魔法使い。学院主席。
クェント……センチネル。あまりしゃべらない。
アキ……聖職者。性別不詳。
**********
前・聖王国魔導院工学研究所所長兼聖王都魔術士学院学長。
そして、現・同魔導院筆頭顧問、”フォルカー・ボッシュ”。
彼が現役のころは、全世界の魔法使いが彼の講義を聞くために聖王都参りをすると言われていたほどの現代の大魔導士の一人である。
魔導士として最も商業的に成功した人物とも称され、全魔法職の憧れの存在である。
それはもちろん、魔法使いの端くれである私も例外ではない。
そんな天上人ともいえる人物がが今、私の目の前にいて、あろう事か普通に私と会話をしてくれている。
「そんで、お前たちの
フォルカー先生が私たちのパーティーの
「はい! ブラシュが”
さっきまでフォルカー先生と話していた影響か、パーティーリーダーのブラシュを差し置いて私が出しゃばってしまった……。
「いや、ごめんオレもぼうっとしてた」
それどころか、彼に謝らせてしまった。
「ええと、一番前がパァスで、その後ろにオレ達前衛、そして最後尾にパレッタの陣形でいきます」
ブラシュがチームポジションを説明する。
「ボースエンドシーカーですか。賢明だと思います」
アキさんが言うように、慣れない場所では慎重を期するに越したことはない。
特に今回は試験である。
出来る限り接敵を減らすために、索敵を前後に置くことは私の発案だ。
「いいかお前ら? 一回のミスで不合格って事は無いから、あくまでも焦らず慎重にだぞ?」
ヤマトさんがそう言って念を押す。
試験には時間制限があり、日没までに危険地帯を抜け、安全地帯まで戻ってくる必要があるという説明だった。
『”マーク”』
今、アキさんが使った、魔法で”マーキング”したこの地点が、その安全地帯となる。
「一応確認しておきますが、仮に魔族と戦闘になった場合は我々で対応しますので、絶対に自分達で戦おうとはしないでください。そしてその場合、必ずこちらの指示に従ってください」
そんな命知らずのD級冒険者が居るとは思えないが、改めて魔族と遭遇するかもしれない可能性を感じる。
アキさんは紋章や衣装を見るに、”聖王国教会”所属の”
聖帽に三本線が入っていることから、駆け出しでは無く”
しかし、どうみても十代……行ってても二十代前半にしか見えないが、だとすると相当な出世頭という事になる。
ただ私の聖教会への知識が浅いだけかもしれないが、年齢だけで判断するとこの人で大丈夫なのかと不安になる気持ちがある。
しかし、もしかしたら顔立ち的にヤマトさんと”同郷”だったりするのだろうか?
「では、試験の期限は日没まで。健闘を祈ります。神よ、我らを清め給え。『”ブレス”』!」
アキさんがそう言うと、私たちの周りを光の輪が取り囲む。
「おっ!? おおおっ!」
ブラシュがキョロキョロとその光景を目で追う。
「これっ! ”聖魔法”や!」
パァスがそう言って空を仰ぐ。
私達の聖魔法初体験だ。
「な、何か変わった?」
ブラシュがクェントに尋ねる。
「ん? えっと、なんか温かい??」
彼の言う通り、私も何か変わったかと問われると、同じような感想を言うだろう。
私が自分で調べた情報でも、気休め程度の魔法だと書かれていた。
聖職者は、とりあえず最初にこの魔法を掛けるのがお約束となっているらしい。
「ちょっとだけ魔法の効率が上がったり、闇魔法に対する耐性が上がる魔法です。あまり意識せず、
アキさんがも私の解釈通りの説明する。
しばらく私たちは体を動かしたり摩ったりして、祝福の影響を確かめた後、
「……よし。行こう!」
そのブラシュの一言で、私たちはゆっくりと森の奥へ進み始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます