あの時のあの言葉は

@saya2020

第1話 平和な日々はいつも急に

 平和な日々はいつも急になくなる。いつものように学校へ行き授業を終え家に帰ると母親がリビングで倒れていた。俺は状況が飲み込めずしばらくの間立ちすくんでいた。


 俺は山吹高等学校に通う2年生、井上かなた。2ヶ月前に両親を亡くし今は昔からの幼馴染である秋原悠人(あきはらゆうと)の家で住んでいる。


「おーい、かなたそろそろ行くぞー」

「ちょっと待ってー」

 今日も俺らはいつも通り学校へ行く準備をし、一緒に家を出た。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺はいつものように朝起きて顔を洗いご飯を食べ学校へ行き帰宅するという普通の学生の生活を送っていた。両親は俺が生まれた時から仲が良く喧嘩をしているところを生まれてから見た事がないくらい仲が良かった。


 でもそんな平和な日々は突然無くなってしまう。

 

 俺はいつものように学校から帰宅した。いつもはお母さんが家にいるので家は電気がついているはずだがこの日は電気がついていなく少し部屋が暗かった。俺は始め寝ているのかどこかに買い物に行っているのかなって思っていた。しかし、俺がリビングに入ってきて初めに見た光景は、、、、


 いつも明るく楽しそうなお母さんがリビングで仰向けで腹部から血を流しながら倒れていた。


 それを見た俺は夢を見ているのかと思いたくなるほど、頭が真っ白になった。ただ現実を受け入れたくなくてしばらくの間立ちすくんでいた。そしてお母さんを助けなきゃと思いすぐ救急車を呼んだ。でも救急車を呼んだ後、お父さんに電話をかけたがお父さんは一日中電話が繋がらなかった。

 救急車でお母さんが運ばれている時から意識がなかったが、病院について改めて検査した結果お母さんの死亡が確認された。お父さんは電話に出なかったので、メールでお母さんが亡くなったことを報告した。その後、お母さんに会いに行った。

 病室に入った時、ただただ目を瞑ってベッドに横たわっているお母さんの姿があった。俺は言葉が出なかった。ただ気が付けば涙を流していた。なんで、なんでお母さんは死んでしまったのだろう。そしてお父さんはこんな時に連絡もつながらないしどこへ行ったのだろうという感情しか湧かなかった。

 医師が言うには腹部の動脈を刺され即死ではおそらくなかったと思われるが応急処置が間に合わなくで亡くなったと考えられている。

 後日俺は警察署に行き、何があったかを説明した。警察はすぐに捜査に取り掛かってくれた。警察署に行った日もお父さんは帰ってこなかった。数日後警察から連絡が来た。捜査の結果が出たのだと思っていた。そしたら警察官の方から出た言葉は


 「かなた君のお父さんなんですが、山吹山のふもとで亡くなっている状態で見つかりました」


 俺は言葉を失った。数日連絡が取れずメールも返ってこなかったので何かあったのかなと思ってはいたけれどまさか死んでいたなんて、、、

 俺は一度に母親と父親をこの事件で失ったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る