第8話 絶望避難所

三人がたどり着いたのは、かつて避難所として使われていたと思われる広大な地下施設だった。天井からぶら下がるランプは既に点灯しておらず、辺りは薄暗いが、何とか形を確認することはできた。そこには古びた机や椅子、散乱した書類が積み重なっており、人々がこの場所で生き延びようとした痕跡が残されていた。


「ここで何があったんだ……?」


健は朽ちた机に目を向け、乱雑に積まれた書類を手に取った。そこには、混乱と恐怖が滲み出るような文字で書かれた報告書があった。


「……感染が拡大している。被害は全域に及び、既に収拾がつかない。これ以上の避難は不可能と判断し、ここに最後の記録を残す……」


健は寒気を覚え、その書類を閉じた。ここにいた人々もまた、何者かに追い詰められ、絶望の中で命を絶ったのだろう。


「もうこの場所にも安全はないのか……」


芽々が呟く。彼女の目には、涙が浮かんでいた。ここがただの避難所ではなく、恐怖と絶望の牢獄だったことを、彼らは理解し始めていた。

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