第7話 vs

その日、三人は街の中心にある高層ビルの廃墟にたどり着いた。ビルの上層階は崩れ落ち、瓦礫が山積みになっていたが、地下には何か手がかりがあるかもしれないと考えた。慎重に階段を降りていくと、突然、背後から異形の咆哮が響き渡った。


「来るぞ!」


涼が叫び、三人は瓦礫の陰に身を潜めた。巨大な影が廊下を這い進んでくる。無数の目がこちらを見据え、触手が壁を引っ掻く音が耳をつんざいた。


「早く逃げるんだ!」


健が叫び、三人は一斉に駆け出した。瓦礫の山を越え、崩れかけた壁をすり抜け、暗い地下道へと飛び込んだ。異形の怪物は彼らを執拗に追いかけ、その巨体がビルの内部を破壊していく。何とか地下の奥深くまで逃げ込んだが、出口は見当たらない。


「ここは行き止まりか……?」


健が息を切らしながら呟く。暗闇の中で耳を澄ますと、怪物が徐々に接近してくる音が聞こえてくる。彼らの逃げ場はもうなかった。


「もう、ダメか……」


芽々が震える声で言ったその時、涼が何かに気づいた。


「いや、ここには隠し扉がある!」


涼は壁を探り、何かを押し込むと、突然壁が音を立てて開いた。隠された通路が現れ、三人は急いでその中に滑り込んだ。通路の向こうにはさらに深い地下空間が広がっており、怪物の気配は徐々に遠ざかっていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る