「命運」
蛇トロ
第1話 異世界のような何か
墓梨 健が目を覚ましたのは、冷たく硬いコンクリートの上だった。頭に鈍い痛みが走り、周囲を見渡すと、見知らぬ光景が広がっていた。崩壊した街、ひび割れた道路、瓦礫が散乱した建物の残骸。かつて繁栄していたであろうこの都市は、今や完全に死んだ世界となっていた。
「ここは……どこだ?」
健は混乱しながら立ち上がった。記憶は曖昧で、最後に覚えているのは自宅で眠りについたことだけだった。しかし、目の前の異常な光景が現実である以上、何かが起こったことは確かだった。冷たい風が吹きつけ、空を見上げると、どんよりとした灰色の雲が広がっていた。
「これは夢か?」
自分に問いかけるが、答えは返ってこない。健はひび割れた道路を歩き始めた。周囲には崩れたビルや放置された車が無残に散乱しており、そのすべてが時の止まったような静寂に包まれていた。どこか遠くで鳥の鳴き声が聞こえたが、それもすぐに途絶えた。
「誰か……いるのか?」
声を張り上げても、返ってくるのは風の音だけ。健は唇を噛みしめ、不安と恐怖が胸の中で膨れ上がるのを感じた。この街は、何かが異常だ。彼は、ここがただの夢や幻想でないことを直感的に理解した。
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