第4話 4つの影

 宮本武蔵、佐々木小次郎、そして吉岡清十郎がその場の奇妙な空気に包まれている中、さらに不思議な光景が彼らの前に広がった。遠くから砂浜を歩いてくる4つの影が見え、徐々にその姿が明らかになる。


 一行の中にいるのは、現代のロックシンガー、シシド・カフカ。その隣には、伝説的な俳優、宍戸錠とその息子、宍戸開。そしてその中心に、古の武芸者である宍戸梅軒が立っていた。彼らはまるで一つのチームのように結束しながら、堂々とした歩みで武蔵たちに近づいてきた。


 シシド・カフカは、シャープな黒い衣装を纏い、その瞳は鋭く輝いている。手にはドラムスティックを持ち、リズムを取るように軽く振りながら歩いている。彼女の横顔には、まるで戦いの準備ができているかのような決意が表れている。


 宍戸錠は、銀幕のスターとしてのオーラを放ち、シブい笑みを浮かべている。彼の存在感は圧倒的で、まるでフィルム・ノワールのワンシーンのようだ。宍戸開はその父親の後ろを歩きながら、若々しいエネルギーを漂わせ、彼らの歩みを支えている。


 そして、その先頭に立つのが宍戸梅軒。彼は、古めかしい武士の装いを纏い、その顔には長い年月を経た戦士の風格が漂っている。鋭い目は、武蔵たちを一瞥し、まるで過去からの挑戦状を突きつけるかのような威圧感を持っていた。


 梅軒が静かに言葉を発する。「久しぶりだな、武蔵。我々もまた、戦の舞台に戻ってきた」


 シシド・カフカは一歩前に出て、鋭い声で言った。「音と剣の共鳴を、この海辺で響かせる時が来たわ」


 宍戸錠が低く笑い、懐から拳銃のグリップを軽く撫でながら続ける。「古き良き時代を再現するには、最高の場所だな」


 宍戸開は、父と同じ鋭い眼差しで武蔵たちを見据え、「俺たちの時代も、まだ終わっていない」と強く言った。


 4人の登場に、海辺の空気が再び張り詰めた。武蔵、小次郎、そして清十郎は、新たな挑戦者たちの姿を前に、かつてない異様な緊張感を感じ取っていた。現代と過去が交錯する奇妙な瞬間、ここに新たな物語が始まろうとしていた。

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