ヴァンパイア・ハンター
@Senninsyo
第1話 ヴァンパイアハンター(前編)
土曜の朝、こんな日でも仕事は入るのか。と悲観しながらも手鏡で身だしなみを整えておく。
赤よりの茶色の髪に黄色の目。
髪は整えてあり、服装も大丈夫だ。
確認も終わった頃に
「はろー」
そう気の抜けた声で呼びかけてくるのはオレの仕事仲間であり、2年ほど前からの付き合いであるであるハルだ。
純日本人らしい黒髪黒目にこの前どこかでみた大和撫子という言葉がぴったりなような外見。
しかし、少々厄介な性質をしている。
こいつは優秀ではあるんだが否が応でも本人が昇進したがらないというよく分からない人間なのだ。
「まだ朝だぞ」
「うるさいなあ、HELLOはいつでも使えますう。私みたいに万能なんですう。」
「万能なやつはオレと組まされないって話していいか?」
「黙れ!」
「えーっと猟銃猟銃っと」
たしか近くにスーパーあったよな。
「ごめんなさい冗談です」
「よろしい」
そんな軽口を叩きつつ移動していく。
「でも私たちにこんな重大な仕事渡すなんて上は何考えてんだろうね。」
「無理やりにでもお前を昇進させたいんだろ。」
こいつ意地でも昇進したがらないからな。
「で、どこ行くんだっけ。」
「もうちょい先にあるマーケットだな。」
1週間のストーキングは伊達じゃないんだよ。
「ココ最近の傾向から見て今日は男を連れてると思うぞ。」
「なるほどねえ。」
ハルは珍しく少し考える素振りをする。
「じゃあデートしようよ」
ハルはとっても珍しく有用な策を出した。
ハルは男だかガワはほぼ美少女だ、つまり他の人間、それこそターゲットからもただのカップルとしか思われない。
「いいぞ。」
「え!?いいの!?」
ということでターゲットの尾行を行うことにした。
「あー!マイクありがとう!愛してる!」
ターゲットはマイクという男と店を回っていっている。
そこを後ろからつけているのがオレたち。
(ターゲットの情報覚えてるよな?)
(もちろん)
イヴ・ブラウン 24歳 アメリカ国籍
過去に犯罪歴もなく潔白な身であるが、調査庁の
べにより『ヴァンパイア』の疑いがあり。
(でもほんとにヴァンパイアなのかなぁ)
(さあな、そのために見てんだろ)
しっかし妙に違和感がある。
なんというか、男の方がすこし怯えているようにも見えるんだがな。
先ほどの考えは気のせいだと考え、引き続き尾行をしていた。
尾行から30分ほどで
「じゃあ…そろそろ…行く?」
そう言ってターゲットはマーケットから出ていく。
「いくぞハル」
「はいはーい」
外に出るとターゲットは車に乗ってどこかへと行こうとしていた。
「ハル、ターゲットの追跡を頼む。」
「了解」
「怪しまれんなよ」
オレは念の為釘をさしておく。
「分かってるって」
そう言ってハルは車に乗ってターゲットについて行った。
「さてと、準備くらいはしとくか。」
オレはバイクに乗ってほぼ俺の自宅、もとい仕事場に向かった。
───────
私、渡中ハルは只今ヴァンパイアと思しき人物を追跡している。
「あの車危ないなあ」
日本の環境で育ったこともあって、
しばらくするとターゲットの車はある場所に止まった。
「…チッ」
その場所とは、モーテルだったのだ。
何となく察しはついていたが、カップルはそういう行為のために来るのだ。
別に1人でも入っていいけど…不自然なんだよね。
仕事仲間であり、先程まで共に尾行をしていたアルトを連れてくるべきだったと少し後悔をした。
「仕方ないかな」
そう呟いて私は先輩に電話をかけた。
───────
仕事場、基事務所に着いたオレは大急ぎで準備をすることにした。
デスクに向かおうとしたのだが、大量のドーナツによって道が阻まれる。
「おいマイケル!そろそろここにあるドーナツどうにかしてくれよ」
オレがそう呼びかけると小太りの男、マイケルが奥のデスクからひょっこり頭を出す。
両手にドーナツを持って。
「そのドーナツは俺のじゃねえぞ」
「一旦両手に持ってるものを見てから発言しろ。」
話しても無駄だと感じたので、自分でどかし、一つだけ貰っておくことにした。
デスクの引き出しを開け、カードを取り出す。
「じゃ、行ってくる」
「ああ、クロだったのか?」
奥にあるエレベーターに乗り、地下へと下る。
地下には従業員の名前が書かれたロッカーがある。
そのうちの
中には数種類の銃とその弾。ナイフや装備が入っていた。
その中でオレは軽めの防具とナイフ、ピストルを手にし、その弾丸を持ってロッカーに鍵をかけた。
エレベーターで1階にあがり、マイケルにカードを放り投げておく。
「うおっとっと。」
「それ、しまっといてくれ」
急いでバイクに乗り、スマホで伝えられている位置へ向かう。
数十分ほどで付き、そこには既にハルが待機していた。
「アイツら、全然出てくる気配ないよ。」
「相当な遅漏か絶倫だな。」
俺が軽く冗談を言うと
「そういうことじゃない」
と、否定してきた。
「わかってるわかってる」
五分ほど監視を続けていると
「ぐぁぁぁぁあああ!」
と、男の悲鳴が聞こえた。
「おお、どんな風にやってんのやら。」
「じゃ、行ってくる」
そう言って俺はターゲットたちの部屋に突入していった。
───────
初投稿です。
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