第2章〜ふられたての女ほど おとしやすいものはないんだってね〜⑦

『白草四葉のクローバー・フィールド』のお悩み相談の回答は、さらに続く。


 ――――――つづいて、彼女持ちの男子を好きになったときに、してはいけないこと3選!


「これまで、彼女持ちの男の子を好きになったときの効果的なアプローチを紹介したけど、他人ひとの彼氏という事実がある以上、どれだけ好きでも絶対にしてはいけないことがあるの。これは彼女の有無に関わらず、人を好きになったときのNG行動とも言えるんだけど……。恋をすると周りが見えなくなってしまうこともあると思うけど、最低限これだけはしないように意識しておこうってことをお伝えするね。まず、彼女持ちの男子を好きになったときのNG行動その1」


 ――――――①彼女の悪口を言う


「彼女への気持ちを冷めさせたいからと言って、彼に対して彼女の悪口を言うのは絶対にダメ! 彼女ではなくても、恋のライバルがいるとわかると、好きな人の前でその子の悪口を言ってしまう気持ちは良く分かる。でもね……男の子って、同性の悪口を言う女子のことを快く思わないんだ……これは完全に性格が悪い女と思われてしまうから、絶対にしないようにしてね! 続いて、彼女持ちの男子を好きになったときのNG行動その2」


 ――――――②セカンド彼女になってしまう


「彼女がいる人を好きになりすぎてしまうと『二番目でもいいから……』って、セカンド彼女になってしまう女子もいるかも……だけど、これも絶対にNG! いつも言っていることだけど、女の子は、絶対に自分を安く売っちゃダメ! こういう提案をしてきたり、そういう関係を受け入れたりする男子相手に自分を安売りしても、その後に愛される本命彼女に昇格できる可能性は低いし、そんな関係を続けてもだんだん自分がつらくなるだけだからね。相手が、キッチリいまの彼女と別れるまで、ジックリ待つこと! 最後に、彼女持ちの男子を好きになったときのNG行動その3」


 ――――――③ベタベタとボディタッチする


「この動画でも、『さりげないボディタッチは恋愛テクの王道』っていつも言ってるけど……彼女持ちの男子を相手にするときは、絶対に控えたほうが良いと思う。男子によっては、彼女が居ることを知ってて、ベタベタと触ってくる女子に嫌悪感を覚えるかも知れないし、なにより、いまの彼女だけじゃなくて、『他人の彼氏を狙ってるんだ』って思われて、周りの女子の間で評判が悪くなっちゃう! それだけは、絶対に避けないとね」


 ――――――以上、彼女持ちの男子を好きにさせる方法とやってはいけないNG行動でした!


「今回は、彼女が居る男子を好きになってしまったときの対策をお伝えしたんだけど……実際のところ、好きになったヒトに彼女が居ることがわかった時点で、あきらめちゃうコが多いと思うし、周りのヒトたちと気まずくなりたくなかったら、絶対に、その方が良いんだよね(苦笑)今回は、クラスメートの女の子に関する相談だったけど、メッセージをくれた相談主さんは、悩んでいるそのお友達に、こういうことを気をつけながら、アドバイスしてあげてね」


 ――――――ちょっと気になるけど、どうして、今回はこのお悩み相談を取り上げたの?


「それはね……お悩みの対象の女の子が気になっている相手の男の子が、彼女の幼なじみだからかな? 彼女と彼は、気心が知れている仲だと思うから、わたしが参考にしてほしいと考えている、取るべき行動のいくつかの条件はすでに揃っているんだよね。やっぱり、幼なじみ同士の男の子と女の子って応援したくなるし……幼いときの共通体験って、何より大事だもん! あくまで、個人的な意見だけど、『ド◯クエV』で、ビ◯ンカを見捨てて、フ◯ーラを選ぶ人間は、地獄に落ちてしまえ! って思ってるから(笑)」


 ――――――いつも思うけど、幼なじみの話題になると、変なスイッチ入っちゃうよね?


「そうかな? そんなこともないと思うけど……(すっとぼけ)? あと、今回のお悩み相談を取り上げた理由に戻るけど、最初に言ったように、わたしの直感が正しければ、この相談メッセージをくれたのは、男の子だと思うんだ。知り合いの女の子のために、一生懸命がんばれる男の子って素敵じゃない? このチャンネルにメッセージをくれるのは、ほとんどが女子だと思うから、男の子がメッセージを送るのは勇気がいるんじゃないかと思うんだよね。幼なじみの彼を想っている女子の恋だけでなく、相談主のあなたにも、ハッピーが訪れますように……」


 ――――――今日も、うまくまとめることができました!


「それじゃあ、今回は、ここまで! 今回の動画の内容が面白いと思ったら、チャンネル登録と高評価のボタンを押してね! 以上、白草四葉でした! バイバイ」


 ライブ放送が終わったと同時に、オレは、ほぅ……と、ため息をつく。

 後半の内容も、勉強になることが多かった。


 なかでも、『彼女持ちの男子を好きにさせる方法』で語られた幼なじみという関係性ゆえのアドバンテージと『彼女持ちの男子を好きになったときのNG行動』は、非常に参考になったと言える。


 オレは、動画の中で取り上げられた、合計6つの取るべき行動とNG行動の項目をスマホのメモアプリに記入しながら、それにしても……と、考える。


 カリスマ的人気を誇る四葉ちゃんが、ビ◯ンカ派だとは思わなかった。今日の動画の解説内容でもわかるように、彼女は合理的な考え方の持ち主だと思うので、てっきり、イ◯ナズンを覚えることで性能面では優秀と言えるフ◯ーラを推すのかと思っていたのだが……。なにか、幼なじみという関係性に特別な思い入れでもあるのだろうか? いずれにしても、彼女のような魅力的な女子と幼いときの共通体験を持っているような羨ましいヤツは、色々ともげてしまえ、と思う。

 

 さらに――――――。


 自分では、軽い気持ちで、相談のメッセージを送ったのだが、予想もしなかったことに、「知り合いの女の子のために、一生懸命がんばれる男の子って素敵じゃない?」と、彼女は、自分のことを誉めてくれた。

 ショッピングモールで遠目から見ただけでもオーラを感じるような女子から誉めてもらえたことに、オレは、面映いような、こそばゆいような、不思議な感覚を覚えた。


(あんなに可愛くて、性格も良い女子なんて、ホントに居るんだ……四葉ちゃん、マジ天使)


 自分でも、チョロいオトコだな〜、と自覚しつつ、彼女のアドバイスをまとめたオレは、上坂部たちと観賞に行くことになっている他校の演劇部の観劇に備えることにした。

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