どこまでも青い空の下で
黒丸
0歩目 もう、生きたくない
あるところに、黒色の髪、灰色の目をした少年がいました
手入れもされていない腰まで伸びた黒髪が、ところどころ毛玉を作っていました
半袖半パンの薄汚れた服を着て、足や腕には青くなった痣が見えていました
その腕や足の傷を手当てしている様子はないのに、腹部だけにはボロボロになった包帯を巻いていました
腹部にある包帯の周りは、下の傷のせいか少し赤くなっていた
頬は痩せこけ、体は骨に皮がついただけのように細かった
周りの子供たちも痩せているし傷も多少あるが、その少年ほど痩せている者も、傷だらけの者もいなかった…
いつからだろうか
世界が灰色に見えるようになったのは
いつからだろう
こんなクソみたいな生活が普通になったのは
いつからなんだろうか
もう、生きたくないと思い始めたのは
いつからだったんだろうか
自分が何もできない、弱者だと思うようになったのは
ある3人組が、痩せ細った少年を見ながら話し始める
「おい、あのガキってもしかして」
噂話が聞こえてくる
「そうそう。名前がねえって噂の」
馬鹿にされるのは、慣れてる
石を投げれれるよりはマシ
「おいおい。名前はあるぞ」
あぁ、最近呼ばれていた
…気がする
「嘘だろ?んなの聞いたことねぇぞ」
俺だって知らない、勝手に呼ばれてるだけ
「あるんだよ名無しの無名って名がよ!」
そんな名前だった気がする
「ガハハハ!あるんだかないんだか分かったもんじゃねぇな!」
俺もそう思う
「いつ死ぬかも分からねぇ、よわっちぃガキの下僕、攫ったて売れやしない、そんな奴にはお似合いの名前だろ!」
本人の前でよく言える、言い返しても負けるのは目に見えてるけど
「それもそうだな!ガハハハ!」
あ、やっとどっか行った
集中できなかったから助かった
そう言って名無しの少年はネズミの解体を続ける
今度は5人組の名無しの少年より少し大きい子供達が少年の後ろに立つ
「おいムメイ!」
リーダーのような、先頭に居た少年が言う
また面倒なのが来た
「その作業、日が落ちる前に終わらせとけって言っただろ!」
その右隣の少年が続ける
「…まだ日、落ちてない」
名無しの少年は、一度作業を中断させて言う
その少年は、幼く高い声で言葉を紡ぎ紡ぎに繋げる
「口答えするんじゃねぇ!」
今度は左隣の少年が名無しの少年の左頬目掛けて石を投げる
「うっ…」
見事に左頬に当たり、名無しの少年は口から血を流す
「うっしあたりー!」
「ナイスコントロール!」
と、隣にいた少年とハイタッチする
「とにかく、今日中に終わらせねぇと今日は飯抜きだからな!」
今日もの間違いだろうと思いながら作業に戻る
言い終わると、少年たちは笑いながらその場を去っていった
血抜きして、血抜きして、血抜きして、血抜きして、血抜きの終わったネズミを解体して、葉っぱにくるんで、血抜きして、血抜きして、血抜きして、血抜きの終わったネズミを解体して、葉っぱにくるんで……
それを繰り返し、繰り返し、ネズミが無くなるまで続けて、終わっても難癖つけられて飯は抜き、3日に一度もらえたらいい方でそれ以外はゴミから漁る
少年は自分の行動を考える
考えたって、苦しくなるだけなのに考える…
生きる希望なんてないのに、生きてもいいことないのに、殴られることから逃げるために飯を食う、この世界のどこかに光があるとするならば
ここは深い深い闇の世界、力のある強者だけが楽に生きれる世界
そんなくだらない事実を、いくら考えても無駄だと知っているのに
今日も飯、ないんだろうな
いつまでこんな事を続けないといけないんだろうな
もし、もしも、この壁の先の世界で生まれることが出来ていたなら…
そんな、ありえない事を考えてしまう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます