NTR守護騎士 ~ふいうちNTR展開で脳が破壊された俺、エロゲー世界に転生する。ゲーム知識で今度こそ推しの純愛を守る~
今慈ムジナ@『ただの門番』発売中!
第1話 不意のNTR展開は心が壊れる
~~~セルフレーティングを設定したお話です。ご注意ください~~~
俺の名前は
趣味はエロ同人ゲームだ。
エロ同人ゲーはすばらしい。
商業に乗せることのできない性癖があけすけと描かれる。
エロ同人はあくまで個人の趣味。
だから超巨乳オンリーだったり、オンリーロリロンリーだったり、マッシブ女子オンリーだったり、ヒロイン全員が男の娘だったりと自分の性癖にどこまでも正直だ。M男向け逆転なし女性上位世界なんて、呪文みたいなジャンルだってある。
作者が好きなんだなというのがユーザー側にも伝わってくる。
エロ同人ゲーは多様性の世界。
あけすけな性癖からしか得られない栄養がたしかにあるのだ。
「――待ちに待った『イノセントブルー2 ~アルルの冒険~』の配信日だ!」
六畳一間のアパートの一室。
俺はノートPC前で歓喜の声をあげた。心待ちにしていたエロ同人ゲーがついに配信されたのだ。
「っと……いけね」
夜中の12時。近所迷惑にならないようイヤホンをつける。
ボロいアパートだ。壁は厚くないし、気をつけねば。
「ふふっ、明日明後日は有給だ。じっくり楽しむぞ」
気をつけねばと思いつつも、笑みと言葉がつい漏れてしまう。
なにせ伝説の甘々純愛ゲームの続編だからだ。
「1もすごかったよなあ。ラノベ概算三冊分のテキスト量で、両片思いカップルの甘々じれじれを丁寧に描写してからの甘々ラブちゅっちゅだもんな」
糖度が極まった甘々エロシーンは、俺の乾いた人生に癒しを与えた。
元々甘々系は好きだったが、アレで俺の性癖が完全に固定されたものだ。
もうね、
女の子がかわいそうだとヌけない俺にとって奇跡のような神作品なんだわ。
「2は甘々テキスト量がさらに倍になったんだよな! 滾るわーっ」
DLサイトの配信ぺージでは二人の男女が描かれている。
精霊使いの女の子、アルシーア=ルル=マルテリア。
立派な精霊使いになるため、困った人を助ける旅に出た子。
通称アルル。童顔で身長低め、もちろん巨乳。
可愛いヒラヒラの服で守ってあげたい系の風貌だけど、芯の強さを瞳にたたえている。1の主人公カップルの娘だ。
そして双剣使いの男の子、リン=ベスト。
立派な剣士になるは建前で、アルルを支えるために一緒に旅に出た子。
勝ち気な表情でアルルより身長は高い。勇ましそうに双剣を握っているが、幼なじみのアルルを心配しているのが視線でわかる。
「すでにベストカップルじゃないか!」
この二人が苦難の旅をしながら甘々ちゅっちゅをご披露するわけだ。
考えるだけで癒されるし、それはそれとしてズボンは脱いでおく。
「イノセントブルー2! 期待を裏切るなよ!」
オレのそんな不安は杞憂だった。
専用エディターで作られたエロ同人世界……もとい、ネトタリー世界。
そこでは一生懸命でまっすぐなアルルに、幼なじみを支えるリンがドタバタ冒険活劇をくりひろげている。
苦難やモンスターに打ち克つたび、二人は絆を強めていった。
「いい……! いいよいいよ! 甘々だっ!」
RPGパートでは、神のような見下ろし視点で二人の旅路を見守る。
アドベンチャーパートでは、壁になった気分で二人のあまあまを摂取。
糖度120%の出来栄えだぜ!
甘々が脳にしみわたるっっっ!
それはそれとしてティッシュの用意はした。
『リン君、精霊の声が弱まっています。きっと、この世界に危機が迫っているのだと思います』
『それでもアルルなら、笑いながらなんとかするんだろう?』
冒険で成長するにつれ、二人の絆が深まったのがわかる。
あともう一押し。
なにかキッカケがあれば二人の甘々ラブちゅっちゅのお時間だと、期待と下半身の一部がふくらんだ。
――しかし俺はこのとき、忍びよる影に気づいていなかった。
いや不審な点はあったが甘々展開に浸りきっていたのだ。
おかしいと気づいたのは、スラムの王に二人が捕まったときだ。
俺は『ここから覚醒展開かな』と思っていたのに、ストーリーでは逆転する気配がない。それどころか怪しいBGMが鳴りはじめていた。
スラムの王の低俗で趣味の悪い部屋。
気絶してしまったリンを前に、アルルがスラムの王と対峙している。
『私は貴方なんかに屈しません!』
『ははっ、気の強い女は嫌いじゃないぜ。お前、オレ様の女になれよ』
「なにこの展開?」
状況が呑みこめず、ストーリーを進めた。
アルルはスラム王の提案をもちろん拒否している。
ああ、なるほどあくまで甘々展開の布石なんだなと信じて、いやなノリを我慢した。
『はんっ、だったらそのガキを男娼にでも仕立てあげるか。あるいは手足を詰めて、好き者の貴族に
「は??????」
甘々ストーリーから到底でることがない、悪意まみれの台詞。
スラム王が本気だとわかったのか、アルルは涙目で告げる。
『わかりました……。貴方の言うとおりにしますから、リン君は助けてください……』
なんだこれは???
なにが起きている????
なんでNTR展開みたいになってんだ???
するとスラム王はアルルの前でズボンを脱ぎ、下卑た笑みを浮かべた。
『へっ……それじゃあ忠誠の証に、オレ様のを咥えな』
『はい……』
アルルはおぞましいソレをおそるおそると触れようとする。しかしスラム王は『そうじゃないだろう』と言って、なにかを告げていた。
プレイヤー側からはわからなかったが、なにを命令したのかすぐに察する。
『貴方のおち〇ぽ様に……ご奉仕させていただきます……』
「なんだ…………これ…………?」
幼なじみとファーストキスするはずの唇が、醜悪なものにキスをした。
まっすぐなアルルが、ちょっとドジなところがあっても一生懸命なアルルが、唾棄すべき最悪の男に奉仕している。
『ははっ! 手を抜いているとそのガキをぶっ殺すぞ!』
「うぉぉぉぉぇお……‼」
胃酸がこみあげてきたが必死で押しとどめた。
アルルがこらているのに俺が折れてどうする!
そう思うぐらい感情移入していたのに、なんで! どうして⁉⁉⁉
「あっ⁉ テキストが自動再生されてやがる⁉」
この展開を見せつけんと、ストーリーが勝手に進む。
アルルは、スラム王によって口を穢されてしまった。
そこからもイベントはつづいていき、俺は時間を戻すようなイベントがあると信じた。
しかし状況は変わらず、アルルへの凌辱はつづく。
最終的にリンが売り飛ばされたことを知ったアルルは心の隙をつかれてしまい、スラム王の肉便器エンドになってしまう。
【――そして精霊の声は聞こえなくなった。fin】
と、どこまでも冷たいメッセージにまたも胃酸がこみあげる。
「頭が割れるように痛い……目がズキズキする……」
フラグを間違えたのかと途中から再プレイする。
イノセントブルー1の超甘々エンドも知っているし、アルルとリンの関係性は超甘々エンドを目指すものだった。絶対に回避できるはずなんだ!
「そうだよな⁉」
画面の中にいる二人の明るい笑顔を俺は信じた。
だが、スラム王のイベントは回避不可能だった。
粘着質な『ちゅぽちゅぽ』という奉仕音が俺の耳にまたもまとわりつく。
ただ、監禁直前に脱出できるとわかった俺は、スラム王の元から二人を脱出させることに成功する。
二人を脱出させたことで決定的な凌辱は避けられたが。
「エロステータスが解放されてる……?」
エロ同人ゲーではよくあるエロステータス。
でも、イノセントブルーにはなかったもの。
このタイミングで解放されたことに恐怖を覚えつつ、アルルのエロステータスをたしかめる。
『ファーストキス:スラム王のペ〇ス』
「うぐっっっ……!」
俺はトイレに吐きに行った。
涙と鼻水を垂らしながら盛大にげーげーと便器にぶちまける。
これ以上ゲームをやりたくなかったが、幸せなエンドがあると信じて再度ノートPC前に座る。
だってアルルの芯の強さはこれまでのプレイで知っている!
こんなことでは挫けない! 希望に向かって歩みつづける子なんだ!
そう信じて、信じて……信じていたのに。
貴族に騙されて人身売買のオークションで売られるエンド。
モンスターの苗床になってしまうエンド。
信じていた人から裏切られ、みんなの便所になったエンドもあった。
【そして精霊の声は聞こえなくなった。fin】
【そして精霊の声は聞こえなくなった。fin】
【そして精霊の声は聞こえなくなった。fin】
凌辱イベントから逃れても、アルルのエロステータスがどんどん上書きされる。
そして彼女を支えていたリンも倒れてしまう。
ついにアルルは貴族の性奴隷と化してしまい、昏い部屋に閉じこめらた。
【アルルは生涯を昏い部屋ですごす。鉄窓から見える星の光だけが彼女にのこされた希望だった。――そして精霊の声は聞こえなくなった。fin】
温かな光は闇に埋もれた。
どこまでも残酷な世界しかのこされていなかった。
枯れることなく涙が流れる。
吐ききったと思ったのに、胃酸がとめどなくあふれた。
鏡に映る俺の顔は死人よりも血の気が失せていた。
「あ…………支援サイト……」
俺はゲームを終了して、ホームページにつなげる。
エロ同人ゲームのDLサイトでは、クリエーター支援のために開発用ブログを提供している。そこでは月額プランなどでクリエーターに金銭援助できたりする。
俺はもちろんイノセントブルー開発者『とうらぶ』さんに多額の援助をしていた。
そこで、なんとしてでも意図を聞くつもりでいた。
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過度な表現はひかえますが、題材が題材のためレーティングにひっかかり、作品を突如削除しなきゃいけなくなるかもです。その際はご容赦くださいませ。
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