15
「待ってたよ~。マキゾー。」
中牧は予想だにもしていなかった鬼頭の待ち伏せに、心臓が止まるくらいの衝撃だった。
「顔が真っ青だぞ?
学校でクソでも漏らしたのか?」
「…鬼頭君はあれからどうなったの?」
動揺しつつも、なぜここで待ち伏せできるか中牧は気になった。
「あれから?あれからな?
俺は14歳以下の手厚く見守られる少年様だ。
少年法があるから逮捕はされねえよ。
とはいえ、色々面倒な事には今後なっていくみたいだけどな。」
「面倒な事って?」
「俺の事はどうでもいいべ。
それより昨晩はあのザマだったからよ、イラつきがおさまらねえんだ。
早いとこ、ターゲットをボコろうや。
できれば、俺の腕を絞めたあの野郎もぶちのめしてぇ。」
「鬼頭君。俺さぁ、もう
だから止めようよ。」
中牧はタダでは済まない事は重々承知しているが、面と向かって鬼頭に本音を伝えられる事ができて、スッキリした気持ちになった。
「そうか~。そんならしかたないよな。
じゃあ今から、別の遊びに切り替えるか。」
「別の遊びって?ぐほぉ。」
中牧は息ができなくなって、その場でうずくまった。
「ふざけるなよ!何がどうでもよくなっただ?コラァ!
なめてんのか、おう?」
暴れる鬼頭を見て冬児の友人達が驚いて声を上げた。
「うるせえぞクソガキども!見てんじゃねえ!」
恐怖に支配された冬児の友人達は、その場から速やかに立ち去ろうとして、冬児の手を引っ張った。
「冬ちゃん早く逃げよう。アイツ危ないよ。」
「そうだよ!きっと中牧が何かしでかしたんじゃない?
自業自得ってとこでしょ?あんなヤツは放っておこう?」
「おい、マキゾー。
ここじゃあ教師に見つかって、また面倒ごとになる。
だから手短に言うぞ?
バカなマキゾーにラストチャンスをくれてやるよ。
俺はてめえの為に動いてやって、昨夜はオマワリにまで捕まってんだぜ?
そこをわきまえたうえで、てめえが嫌いな季節原を俺と一緒に絞めにいくか、ここでくたばるか選べ!」
鬼頭が口にした苗字に冬児は反応した。
「今さ、季節原って言わなかった…?」
「言ってたね、俺にも聞こえたもん…。」
冬児の友人達が鬼頭に聞こえないようにヒソヒソ話している。
「季節原ってガキがイキっててクソむかつくんだべ?
俺が半殺しにしてやるってんのによ?」
立ち上がった中牧は殴られた腹を押さえながら視線を冬児に合わせた後、すぐさま鬼頭を見た。
「なんだ?てめぇのそのツラは。俺に文句があんのか?
マジでムカつくツラしてやがんなぁ!」
腹パンされたのはマキゾーが俺を蔑ろにすっからだべ?」
鬼頭は中牧の髪を掴んで上下に激しく振り乱す行為にでた。
「やめろよ!」
冬児は2人の仲裁に入ろうとした時、友人達が腕を伸ばして止めに入った。
「冬くん?私達はあの人達と関係ないじゃん!放っておこうよ!ねぇ?」
「そうだよ。後で先生にチクればいいんだ。
あんなアブナイ奴が相手じゃ冬くんだって無事ではすまないぞ…。」
「いや、確かに中牧は友達ではないけど…でも、見逃すわけにはいかないかな…。
みんなに迷惑をかけたくないから、先に帰ってほしいな。」
正義感の強い冬児が間にはいって鬼頭の暴力を止めようとした時、近所から通報を受けて校門からジャージを着た教師がやってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます