第10話 飛行空1(入学試験編)
特訓は毎日地道に。唐変木直人は坂道絆に『能力強化』してもらい、10分、20分と外出時間を延ばし、毎日10分刻みで『性別変更』の超能力を強化していった。
お先に、海人は空の騎士(ナイト)として一緒に、白薔薇高校の入学試験を受けることに。坂道絆から情報を収集する。
坂道絆曰く、普通の女性はレベル3であること、淑女であること、そして、普通のテストで入学試験とする。しかし、騎士(ナイト)の入学試験は特別模試の形に近い。
――実践。
2人組もしくは4人組で白薔薇高校の精鋭相手に善戦すること。無理に勝つ必要はない。白薔薇高校の生徒として、将来性を期待できれば負けても入学試験に合格することができる。
「青野さんは空さんと2人組を編成してください。私は直人と2人組を編成します」
「ちょっと待ってください。4人組で、僕、空、坂道先輩、唐変木先輩の4人で試験に受けても良いのですか?」
「はい。騎士制度は特例中の特例ですので。細かい条件は緩和されるはずです。4人組の方が難易度が上がる分、甘くなるはずです」
「超人(レベル5)が出てくることはないですよね?」
「実践相手はレベル4の方です。それでも強敵に間違いはありません」
「安心しました」
海人は論理的思考力を発揮する。海人と空の2人組で試験を受けても良いのだが、今後のことを考えれば過去問をくれる坂道絆と唐変木直人の編入試験の合格が必要。よって、海人の入学試験は捨てて、4人組の編入試験に力を入れるべきだと判断した。
「僕たちは斥候部隊になります。入学試験を捨てて、浪人します」
「正気ですか!?」
「はい。合理的な判断です。唐変木先輩がレベル4になるまで、約3ヶ月。その間、僕と空は浪人生になります。一緒に編入試験を受けましょう」
「嬉しいです」
坂道絆からある程度の情報を収集した海人は、斥候として、さっそく空を呼んで、入学試験を受ける。入学試験は捨て石、本命は3か月後の編入試験とする。
白薔薇高校の事務に電話して、実戦形式の騎士制度の入学試験を行いたいと伝える。
その後、日付を聞き、無事、入学試験の日程が決まる。
海人は、唐変木直人のTS練習に負けじと、自分も空の『女性洗脳』を地道に鍛えあげた。
後日。海人と空の入学試験が始まる。
白を基調とした立派な建物。白薔薇高校に到着する。貴族が住む宮殿のような外観で女子高。超都市で3本の指に入る高校だ。お嬢様学校として一流。区画ではナンパ男とそのナンパ男を駆除する風紀委員が絶えないと聞く。
「行くぞ。空」
「はいっ」
コロシアム形式の模擬戦闘場に着く。観客は坂道絆と唐変木直人のみ。3か月後の実践に向けて見学している。
「坊主。頑張れ」
「ご武運を」
二人が声を出す。
白薔薇高校の先生に連れられて、中央の位置へ。そこで、初めて、相手が分かる。
紙を渡される。
「大地林。雨雲忍(あまぐも・しのぶ)」
先生に呼ばれて登場する対戦相手。
海人側は、まったく相手の分からない状況の中、白薔薇高校のレベル4のツートップが登場する。
「奇遇だね。青野くん。飛行さん」
「どういたしまして」
相手は超都市に来て最も恐れている、策士である大地林。超能力は『十人十色』。操作系であり、合計20人まで操ることができる、超人(レベル5)に最も近い相手。
もう一人は?
「初めまして。雨雲忍です」
海人のスマホが鳴る。メッセージの相手は坂道絆。海人は情報を見た。
『雨雲忍。2年生です。能力名は『暴風雨』。傘を操る超能力者です』
『十人十色』と『暴風雨』。どちらもレベル4。たぶん白薔薇高校の超人(レベル5)を除けば、最も強い2人だ。
「海人。知っている相手だ」
「雨雲先輩のこと?」
「うん。一昨年の全中のチャンピヨン」
雨雲忍は剣道経験者で、中学生の時、日本一に輝いていた。
「昔の話だ。今は竹刀よりも傘の方がしっくりくる」
と言って、雨雲忍はお気に入りのビニール傘を見せる。
長身の、髪がボーイッシュの金髪で、じゃっかんパーマがかかっている。
空が黒髪の正統派のスポーツマン剣道少女というのと、逆で、雨雲忍は剣道を捨てて遊び歩いている女子大生のイメージ。金髪ボーイッシュで長身の美人女子大生といった感じ。
小柄な大地林の横に立つと、でこぼこコンビの実践相手だった。
「雨雲先輩。なぜ剣道を辞めたのですか?」
珍しく空が食ってかかる。
「君に関係の無いこと。でも白状する。ただ剣の道では、私は超人(レベル5)になれないと悟っただけだ」
「その言葉。撤回させていただきます」
「へえ、面白い」
戦う前からバチバチに火花を飛ばす空たち。
海人と空の2人組。大地林と雨雲忍の2人組。
白薔薇高校の騎士制度の入学試験がスタートした。
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