火名娘(ひなこ)

@k0905f0905

第1話

「火名娘」

 親友の中島圭子がスタバで向かいに座って

コ―ヒーを飲んでいた纏田火名娘に向かって

声を掛けた。

「なに、いま 恋愛小説いいところなんだから」

火名娘が圭子の呼びかけを素っ気なく跳ね返した。

「なに? ハーレクインロマンス?」

「そう」

圭子が呆れ顔になった。

「アンタさあ」

「なに?」

「恋愛小説もいいけど河口さんとはうまくいってんの?」

圭子がそう突っ込んできた。

河口というのは河口樹。芸能人のはしくれだ。

「大丈夫よ。ちゃんと首に縄つけていつも締め上げてるんだから」

「河口さん、かわいそう」

圭子が河口に同情するようなくちぶりになった。

そのとき偶然にも二人の傍を河口が通りすぎた。

河口は美女と一緒だった。

「火名娘」

「殺す」

火名娘が目を爛々と輝かせた。


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