情報交換

 〜午前7時〜


 俺は鏡の前で制服のボタンを締める。

 この学園に来て2度目の朝だ。


「それにしてもポイントに関する情報全く集まんなかったな……一年生用の対策かよ」


 この学園専用のスマホで色々と調べては見たがこれと言って役に立ちそうな情報は見当たらなかった。

 しいて言えばこの試験に気づいているのはまだ一年生、半数くらいだってことだな。

 やっぱ地道に貯めるしかねぇか……?


 あそういや五色がまだ寝てたな、昨日まで遅くまで調べてたからな。

 さっさと起こさないと。


「起きろ五色、今日は朝早くから緋呂斗と集まる予定だぞーー」


 くっそこいつびくともしねぇ……せっかく緋呂斗が友達との予定空けてくれたってのに……

 こいつ意地でも布団、離そーとしねーな!!


「も〜朝?」


 寝ぼけた声で零が言った。

 どうやらまだはっきりと起きていないらしく、眠そうに目をこすっている。


「そうだ朝だ。さっさと起きろ。今日は緋呂斗と近くの喫茶店で合流して、どうやってポイントを集めるか話し合う予定だろ?さっさと起きろもうすぐで集合時間だぞ?」


 全く早くしないといけねぇってのに、頼むぜまじで……


「へいへい。分かってるよーー」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 〜喫茶店マルヤ〜


 レンガの壁に包まれた洋風の建物の前に一人の男が走ってくる。


「あっぶねーーギリ集合時間セーフ!!」


 はぁはぁ疲れた。久しぶりの全力疾走はからだにこたえるな……

 それで緋呂斗は……いないのか。じゃあまだギリギリセ――


「いや遅刻です」


 緋呂斗の声とともに俺の肩ががっしりと掴まれる。


「ヒィ!!さーせんした!!」


「全くちゃんとしてくださいよ……で、とりあえず席座りますか」


「そうだね」


 とりあえず空いてる席はあるかな〜〜、お!!あそこ空いてんじゃねーか。


「あそこ空いてるぽいっすね。あそこにしましょうか」


 俺等はそれぞれ飲み物を買ったあと、空いている席に座った。


 意外と店内は落ち着いた風貌なんだな。外とは違って中はベージュを基調として作られてる。

 さてと、そろそろ本題に入るとするか。


「そうそう早速聞きたいんだけど、何か策は講じてきた?」


「いやーーあれから色々と探しはしてみたんすけど……成果はあまり得られなかったです」


「まぁ昨日の今日だしな、成果がない方が普通だわな。現に俺もなんにもわからなかったし」


 そもそもこの学園で配布されたスマホの性能が終わってんだよな。制限かかりまくってネットすら使えないし、自分のスマホを使おうと思ったらポイントを使って買わないといけないしで、めんどくせーーんだよな……

 しかも地味に必要なポイントも多いし。情報収集にはマジで手間がかかるぜ。


「へえーー皆ないんだ。僕はあるけどね」


「え!!まじすか」


 おいおいまじかよ……一体どうやって調べたんだ?


「まぁまぁ落ち着いてよ。まずは事の顛末から話すとね、この学園で配布されたスマホあるじゃん?これ外部の情報を調べるのには向いてないけど、学園内の情報を調べたいときは割と役に立つってことが昨日わかってさ」


 まじか!!だから昨日外部のネットワークを使って、学園のことを調べようとしたから制限食らったのか……


「それで試しに学園内の施設をバーって調べてみたのね。そしたら面白いものが見つかってさ、見てよこれ」


 五色がスマホ――学園配布――を目の前に差し出してくる。そこにはいくつかの口コミ情報と、”カジノ”と書かれた画面があった。


「でさこのカジノ面白いのがね、ポイントを使って勝負をするみたいなんだよね」


「つまりどういうことっすか?」


 おいおいまさか……


「カジノで一か八かの大儲け!!底辺からの一発逆転大作戦ってのはどうかな?」


「いや、いやいやいや、やめといたほうがいいんじゃないか?だってカジノって言っても、どんだけ利益が帰って来るかわからないだろ?それにそこは本当に安全な場所だと言い切れるのか?」


「まぁそれはそうだけど……だけど行ってみないとわかんなくない?」


「それもそうっすね……どうするんですか?」


 うーんどうしたものか。

 カジノって名前は見るからに怪しそうだし、口コミには店の評判とかで表面上のことしか書かれていない。

 だがこのままウジウジしてたって、ポイントが集まらずに一週間立ってゲームオーバー。

 スーーーッ、やるしかねーかもな……


「しょうがねーーか……このままうずくまってたって、時間が立つだけだからな。行くぞ今すぐに」


「はいそうこなくっちゃ!!じゃあ今すぐに行こ、ゴーゴー!!」


 その言葉を待っていたかのように、五色は勢いよく席を立ち上がり、店の外へと走り出してしまった。


「ちょっと待ってください、あ、ポイント送っときますね?」


「あっ、ちょっ……行っちまった……」


 くっそめんどくさいこと押し付けられた……はぁさっさと会計して追っかけていかねーと。


「えっと合計で何円だ?1500円?あ、お会計お願いしまーす!!」

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