金がすべての学園2

 講堂が一気に静まり返った。

 無理もない、今の話から察するにここにいる奴らは親に売られたも同然だろう。


「まぁでも安心してよ君達はまだ当分国盗り勝負ワールド・ゲームに参加する予定はないからさ。それに退学する方法だってある、ポイントを集めることさ。この学園の教育方法はポイントが多ければ何でも買えるし、何でもすることができる。分かりやすく言えばこの学園はポイントが全てだと思ってもらって構わない。さてこれで僕が言いたいことは言い終わったけど、なにか質問がある人はいる?」


 講堂に沈黙が続く。

 当たり前だろ、急にこんな事言われて混乱しないわけがない。


「いないようだから解散にしようか。好きなように出てってもらって構わないよ」


 生徒会長の優しく冷たい言葉が僕たち一年生を、講堂の外へと導いた――

 そして誰もいなくなった講堂で静かに生徒会長だけが佇んでいた。


「まぁ楽しみにしててよ、一年生たち。この学園の本質はまだまだほんの一部しか出てきてないよ」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「は〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」


 俺はさっきの講堂での情報量の多さに肩から息を吐いていた。


「でっかいため息だね。なにか疲れることなんてあった?」


 五色が俺の目の前でうろちょろしながら言ってきた。


「何かあったって……お前あの話を聞いて何も思わなかったのか?俺等、国の武器になるためにこの学園に来たとか言われてんだぞ?少しも思うことはないのか?」


「ないね」


「お前、即答かよ……少しはあるだろ恐怖心とか――」


「だからないって。だってこんな面白そーなことないでしょ!!だってこの学園ってポイントが全てらしいじゃん?それも他の学校とは違うことが色々できそーな感じ!!まじでさいっこう!!」


 そうだった。こいつはこんなやつだった!!どんなことよりもリスクが有るゲームが好きなイカれやろう!!

 ほら緋呂斗も少し顔がひきつってんじゃねーか!!


「ていうかなんで自分だけ部外者みたいな顔してるの?いっしーさ、声色に反して顔めっちゃにやけてるよ。本当はさ心のなかで楽しそーだとか思ってんじゃないの?」


 グッ!!まぁそれは……確かに否定できない。最初生徒会長の話を聞いたとき何故か心の何処かで高揚していた。案外俺もこいつ五色とにたよーな人種なのかもしれないな……


「それでどうする?」


「何が?」


「ポイントの話だよ!!生徒会長が言ってたでしょ、ポイントがウンタラカンタラみたいな。つまりはこの学園で過ごしていくにはポイントが必要ってことっしょ?でも俺らは今無一文じゃん、だからどうやってポイントを集めんのかなーーって」


「まぁ確かにな、あの生徒会長ポイントが大事だとか言っといて解決策もなにもないなんて、ふざけんなって感じだよな」


「いや……そうでもないみたいっすよ……」


 さっきまでスマホを黙って眺めていた緋呂斗が、俺等の目の前にスマホを差し出してきた。


「えーと何々?”一年生の皆さんに入学祝いとして、ポイントを収集することができる場所の印がついたマップと200Pを送らせていただきます。 生徒会長より”かなるほどな……こりゃあまずいかもな」


「え?どういうことっすか?」


「考えても見ろよ、マップにつけられた印の場所ってほぼ飲食店とかカフェじゃねーか。つまりこれはバイトをしろってことだろ?だったら取り合いになる可能性があるってことじゃん?」


「なるほど、そうかも知れないっすね」


 うーーんせめて人が手薄になるところを知ることができればいいんだけどな。

 まぁじっとしててもなんにもならないし、さっさと目星つけて向かったほうがいいかもしれないな。


「いやそんな余裕ないかもしれないよ?」


 五色が急にそんな事を言ってきた。

 顔を見ると少し切羽詰まった表情をしている。


「何がだ?」


「これ見てよ、さっき気になって今ポイントを使って買えるものを探してたんだ。そしたらほら僕らの止まってる寮の値段。300Pだって、そして支払いは1週間後の午後5時までつまり、バイトをしてポイントを集めたとしてもぎりぎり届くかわからないラインだと思わない?」


「つまりこういうことか?明日からバイトをしたって1週間後までに300P集めれる確信がない、だから一気に稼ぐ必要があるってことか?」


 俺の言葉に五色はそっと頷く。


「おいおいまじかよ、あの生徒会長早速仕掛けてきやがったな……」


「どうするんすか……これ他の生徒達に気づかれるのも時間の問題っすよ?」


 緋呂斗の言うとおりだ、ホントなら今すぐここに向かって働く準備をしたほうがいいが、もし一週間で100P集めきることができないとしたら、そうなった場合俺等は早速ゲームオーバーポイントが無くなったらどうなるのかはよくわからないが、なるべくポイントを減らすのは避けておきたい。


 ”パンッ”


「うぉ!!いきなり手を叩くなよ五色。びっくりすんだろーが!!」


「そうっすよ!!」


「ごめんごめんだって二人共悩み過ぎなんだもん、ここはさ一回明日まで考える時間を設けるのはどうかな?そっちのほうが余裕を持って結論を出せると思うよ。流石にたった一日でマップに記された全部の場所が埋まるなんてことはないだろうし」


 まぁそっちのほうが確実ではあるか……


「しゃーないここは一旦持ち帰ることにしようか」


 そう言って俺等はゆっくりと自分達の寮へ戻った。

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