ご近所挨拶

天川裕司

ご近所挨拶

タイトル:ご近所挨拶


「ちょっともうホント困りますので!やめて下さい!」

男「いやホントつまらないものなんですけど、受け取って下さい!受・け・取・っ・て下さい!」

結局、強引に渡されてもらう形に。


「…何なのよあの人…。これはもう警察だね…」


新しく下の階に引っ越してきた男の人が

「つまらないものですが」と言いながら挨拶がわりに

いろんな物を私の部屋に持ってきたのだ。


でもそれが全部 信じられないほど猥褻なものばかり。

女性物の下着や洋服、あっち系のビデオや本。

全部処分して捨てたけど、また来るかもしれない。

いや、あの人なら絶対に来る!


私は普段、部屋から出ない生活をしていたので、

こういう機会も滅多に無かったから余計にブルってしまう。


しかもこれだけじゃない。

コンビニなんかに行ったその帰り。

部屋に戻ってみると

部屋の中の物が微妙に動かされていたような、

そんな気配すら感じていたのだ。


つまりあの男がもしかすると、

もう私の部屋に侵入していて、

部屋の物を物色し、自分の懐にしまっていたのかも。

それにもしかすると、その懐にしまった物の中から

「つまらないもの」と称して

私の部屋に持って来ていた…?


洗濯してあったからよくわからないけど、

よく見ると、持って来られた下着や洋服は

もしかすると私が買ったものかもしれない。

いちいち自分の服や下着なんて注意深く見てないから

同じ種類のものを持って来られたらわからない。


でもあの人の行動は明らかに異常。

で、大家さんと警察に連絡し、

問題を解決してもらおうとしたのだ。

でも、全く予想外の展開になった。


「え…?ど、どうゆうことですかそれ…」


大家「ですからね?あなたのお部屋の下の階に誰も入ってないんですよ」


警察「普段、誰かから恨みを買っていた…とかありませんでしたか?」


「そ、そんなこと…ウソ…」

実際、下の階に行って初めてあの男が

住んでいたと言うその部屋を見てみたが、

本当に誰も入居していなかった。


あんな男の近くに寄る事さえ嫌っていた私は、

普段の生活でも、あの男の部屋の前だけは

通るのを避けていた。だからわからなかった。

それにもとから出不精の私。

周りの事にさえ疎くなっていたのは自分の責任だ。

でも…


「でも本当なんですよ!!『下の階の部屋に住んでる者ですが』って言って来たんですから!で、変なものばっかり渡してきて!」


大家「ふむ…」

警察「とにかく見回り強化をしますので。もし知らない誰かから連絡があったらすぐに教えて下さい」


大家も警察も、

私の言ってる事をほとんど信じてくれない。

きっとこのマンションに住んでる者ではなく

外部の侵入者の犯行だ…として警察は捜査を始め、

大家もここの住人をこれまでより

注意深く監視するようになってはくれた。


とは言え、それぐらいでは直接的な解決には至らない。

ちょっと身を隠してまた来られたらどうしよう…

この不安と恐怖の方が大きかった。


それと少し別の意味で怖いとも思った。

あの男、もしかして心霊的な何か…

なんて思い込んだらそちらの方に注意が集中し、

特に1人になると、

その事ばかりを考えてしまう。


「グス…もうどうにかしてよ…!」


ある夜。

あれから適当に日が経ち、ほとぼり冷めた頃だった。


仕事から帰って部屋に居た時。

何か人の気配のようなものを感じた。

「ゴク…」

固唾を飲むような気持ちで辺りを見回す私。

するとトイレの中から見知った顔が現れた。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=FaYPKE7bhkE

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ご近所挨拶 天川裕司 @tenkawayuji

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