エピローグ

 愛矢です。

 大変だった夏休みが終わり、わたしは九月から愛弓と同じ中学校に通い始めました。

 でも、わたしと入れ替わりに、大金満男くんは転校して行ってしまいました。おじいさんの家に引き取られるという話です。

 大金銀次はどうなったのかと聞いても、父さんは教えてくれませんでした。おまえが気にすることじゃないって。もう終わったことだから、全部忘れなさいって。

 だからわたしは、何事もなかったように、毎日学校に通っています。愛弓や武居とクラスは違うけど、同じ園芸部に入りました。みんなに色々教わって、今まで知らなかった花の名前もたくさん覚えて、花が大好きになりました。

 そして、わたしが一番好きなのは、いつも花壇のそばで、他の花たちを優しく見下ろしている花なんだ。

 ――今はまだわたしだけの秘密。

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