第二十九話 ロッツァーノのホテルで
※今回はちょっと長いです。最後のオチが前作のオマージュになってるかも(笑)
ウルスラに電撃魔法で煽られるまでもなく、ビーチェとジーノは祭りを楽しみたいが為に一目散に走り山道を抜け、ロッツァーノの手前までやって来ました。
そこは主要街道と山側の街道との合流点で、馬車や魔動車の通行量が一気に増えてしまいました。
「すごいねえ。これなら山越えの街道を通って正解だったよ」
「確かにこれじゃあ、走ったら馬車を蹴飛ばしまくっちゃうよなあ」
「いやいやそこは
街道は乗り物中心で歩いてる人はほとんどおらず、ビーチェたちはスピードを落として馬車の間をすり抜けるようにして街へ向かっていきました。
「うわあ! 屋台がいっぱい並んでる! アレッツォの祭りと比べものにならないよ!」
「うぉぉぉ! 見たことないお菓子に、焼き栗…… あの串焼き美味そう!」
三人はロッツァーノのメインストリートを歩いています。
道の両側には所狭しと露店が並んでおり、ビーチェとジーノはいろんな食べ物に目移りしていました。
「あんたたち、もう食い意地張ってるのね…… はっ!? ビール専門の屋台ですって!」
「ウルスラ! 三杯までだかんね!」
「わかったわよ。ううう…… しかしこんなに混んでちゃいつ宿に着くのかわからないね。もう、私が先に探しておくから!」
「ちょ、俺たちはどうするんだよ?」
「宿が決まったら私のオーラを強く出力する! それを感じてすぐに来なさい。わかったわね!」
「あ あああ……」
「相変わらず適当だよなあ」
ウルスラは二人にそう告げると、杖に乗って空へ飛んで行ってしまいました。
飛んで行くウスルラをしばらくポカンと見つめるビーチェとジーノでしたが、そんなことより目の前の露店から漂う香りのほうが勝ってしまいます。
「うっひっひ。ジーノ! それじゃあ食べまくるぞ!」
「おうっ! 最初は串焼きを食いたい!」
二人は串焼きを最初に、クリームなどを巻いた筒状のお菓子カンノーリ、クリームにドライフルーツを混ぜて冷やしたケーキのカッサータ、薄く焼いた甘い焼き菓子のフリッテッラ、皆さんにもお馴染みのフライドポテトやフルーツジュースまで次々と買い込み、口にいっぱい頬張っていました。
美味しそう…… 私の祭りなのに、なんで私は食べられないの!?
それにしてもこれは―― デートそのものですよね。
二人はそういう意識で一緒にいるとは思っていないでしょうが、お互いの存在が日常として当たり前になっているんです。
離ればなれになるなんて考えたことも無い、心の中でしっかりつなぎ止め合っているかけがえのない相手なんですね。
「おっ!? 今ウルスラのオーラを感じたぞ!」
「あたしも感じた。思っていたより早かったね」
「んじゃあ、宿へ行ってみるかあ!」
ウルスラは泊まれる宿を見つけたらしく、オーラを発したようです。
二人は人混みを掻き分けながら宿の方向へ向かいました。
---
「えええっ!? すっごい高そうな宿なんだけど……」
「ボナッソーラで泊まった宿と同じくらい? いや、もっと高級なのかな?」
ビーチェとジーノが宿の前に到着すると、思わぬ高級ホテルでびっくり。
ウルスラの収入なら余裕なんでしょうけれど、勝手知ったるパウジーニ家以外では貴族の様式がまだ緊張してしまう二人です。
「とりあえず入るよ」
「おう」
二人がホテルへ入ろうとすると、玄関にいた警備と案内の男たちから制止されました。
「こ、こら! おまえたちが来るようなところではないぞ!」
「そんな汚い格好でこのホテルへ入るんじゃない!」
見ればビーチェとジーノの服装は、汗にまみれ土埃がついていたり、ズボンにはスライムが乾いた白いカピカピが残っており、さらに口の周りにはさっき食べたお菓子のカスや串焼きのタレがついたままでした。
ま、これでは高級ホテルの係が追い出したくなるのも無理ないですね。
「ええ!? あたしたちお客なんだけどお」
「そうだ! 先に連れが入ってるんだよ!」
「そんなことを言っても信じられるか。さあ帰った帰った!」
二人は係の男に押し出されそうになるが、そこはビーチェとジーノの強靱な身体なので並の人間の力ではビクともしません。
「ななっ なんだこいつら! 全然動かない!」
「このボウズ、まるで大木のようだ!」
「にっひっひっひ。おじさんたちじゃダメだって」
「はぁ、俺ってまだボウズって呼ばれる見た目なのかあ」
係が一生懸命二人を押しているところへ、ウルスラがホテルの中から出て来ました。
なんと赤いパーティードレスを着た姿で。
「あんたたち、なかなか来ないと思ったら何をやってるの?」
「だってこのおじさんたちがあたしたちを入れてくれないんだもん―― って、何その格好?」
「ああごめんごめん。このホテルは見ての通り富裕層向けでね、庶民の格好ではなかなか入れてくれないの。私の格好でもギリギリだったから着替えたわ」
「富裕層ねえ。あっ そうだ! これならおじさんも信じてくれる!」
ビーチェは懐からゴソゴソと一万リラ札を百枚束ねた札束を出しました。百万リラ!
そして警備係の男の頬に札束でペシペシと叩きました。
「うっ 何をするぅ!」
さすがに男は煙たい表情をしています。
この子はまだ
「一度こういうのやってみたかったんだあ。うひひ」
「下品だからやめなさい」
「ビーチェ…… おまえそんなに金を持ってきて何を買うんだよ……」
ウルスラとジーノは呆れてます。
するとウルスラは、ビーチェが手に持ってる札束から魔法でお札を二枚、ピッと抜きました。
「ああっ!」
ビーチェが叫ぶと、ウルスラは抜き取った一万リラ札を一枚ずつ警備と案内の係に渡しました
「ごめなさい、これ迷惑料ね。この子ら田舎の子たちで何もわからないから」
「ああ…… どうもありがとうございます」
「ありがとうございますっ」
係の二人はヘコヘコとお金を受け取りました。
断らずにちゃっかりもらっちゃうんですね。
「あああ…… 二万リラも多すぎるよ…… トホホ」
「彼らは高級ホテルの係だからそれくらいあげなきゃ。もう宿代は私が払ったんだからいいでしょ。しかも…… 二泊!」
「え!? 明日丸一日遊んでも良いの!?」
「やったあ!」
「表彰式まであと四日あるから一日くらい延びても余裕よ。祭りは楽しまなきゃね。うふふ」
二万リラを失ったビーチェでしたが、部屋代を払わなくて済んだのと祭りを存分に楽しめることになったのでお金のことはもう忘れてしまいました。
ホテルの中へは部屋で着替えることを条件に、通してくれることになりました。
---
「私たちが今晩と明日泊まる部屋はここよ」
「ふぇぇ!? こんなのルチアんとこの屋敷みたいじゃん!」
「うわっ こんな
ウルスラが二泊押さえたその部屋は、ホテルの最上階にある最上級の部屋でした。
中は白基調でリビングや寝室が別々にあり、窓からは祭りで賑わっている通りが良く見えます。
「宿は何件か探したんだけど、祭りでどこも満室でねえ。もう面倒臭いからここにしたわ。このホテルのスイートルームよ」
「で…… いくらの部屋なんだ?」
「一泊三十万リラだから、二泊で六十万リラね」
「「ろ、六十万リラあ!?」」
「安い方よ。王都なんて一泊百万リラの部屋なんてザラにあるから」
「ウルスラどんだけ金持ってんだよ…… ソーマで
「失礼ね。ソーマの効果についてきちんとした対価をもらってるだけよ。安くしたらお医者さんや薬屋さんの仕事が無くなるじゃない。それに私はあんまりお金を使わないから、使えるときに使っておかなきゃね」
ビーチェの質問にウルスラはそう答え、二人は何となく納得したようです。
確かに彼女はパウジーニ家でタダ住まいしており、極端に高い服を着ているわけでもないし、食事も庶民食堂のラ・カルボナーラで飲み食いしているくらい。
もっとも、魔法で作った亜空間の中には物がたくさん入っていそうですけれどね。
「寝室はここね。あなたたち二人で使いなさい。にひひ」
「えっ このベッドって……」
「このベッドでビーチェと二人…… へ?」
ウルスラが案内した寝室は、幅二メートル以上はあろうダブルベッドでした。
ボナッソーラではツインルームだったのでベッドが分かれていましたが、とうとうビーチェとジーノは今晩一緒のベッドで寝ることになってしまいますぅ!
「私はもう一つの寝室で寝るからね」
「そんな!? ベッド二つの部屋じゃないの!?」
「元々四人までの部屋だから、もう一つの寝室もダブルベッドよ。それともジーノは私と一緒に寝た方がいいのかな? ウッシッシ」
「ジーノの貞操が危ないからダメだ! だったらあたしと一緒でいい!」
「うわっ!?」
ビーチェはジーノを引っ張って寝室へ押し込んでしまいました。
これは意味深い発言ですねえ。
ジーノの初めてはあたしのだと言いたげのようです。
「それよりも、そこにお風呂があるから入ってしまいなさい。脱いだ服は私が魔法で―― いや、せっかくだからホテルの洗濯サービスに頼むわ。脱衣所のカゴに入れておいて」
「「はーい」」
「あんたたち口の周りをそんなに汚して、私が部屋を探している間に食べまくったよね?」
「えへへー」
「串焼き美味かったぞ!」
「その口元の黒いのは串焼きのタレか! ああもうお腹減ってきた!」
ウスルラはそう言いながら、亜空間魔法でビーチェたちのカバンと、ビゴッティで買ったパンが入っている袋を出しました。
「外へ出るときは普通の服でいいけれど、汚さないで帰って来るんだよ。ホテルの中をうろつくときはスーツとドレスを着なさい。おやつのパンはリビングのテーブルに置いておくから」
「「はーい」」
ウルスラって、もう二人のお母さんになってるじゃないですか。
実際、ビーチェにとっては複雑な関係のお義母さんになってしまってますが……
二人ともやけに素直なのは、実のお母さんっ子だからウルスラのお母さん口調につられてそうなってしまうんですかね。
「さてと、私も着替えて出掛けてこよーっと」
ウスルラがリビングに立つと、右腕をクルッと一回転させました。
すると―― 赤いドレスが霧のように消えてスッポンポンに!
ウルスラって着痩せするタイプなんですねえ。
生乳があんなにぷるんぷるんに大きくて、お尻は丸みを帯びてツンと張りがあります。
肌もスベスベだしとても七百年以上生きているとは思えない……
ああ、自分で作ったソーマを飲んでるんでしたっけね。
「うわーっ ジーノ! 見ちゃダメだあ!!」
「えっ? 何を見たらダメって?」
ジーノは寝室に入って荷物の整理を始めておりウルスラから死角になっていますが、ビーチェはまだ寝室の入り口にいるので丸見えです。
「えー? 別に見てもいいんだよ。むっふっふ」
「こっちに来るなあ!」
ウルスラが裸のままズカズカと寝室まで寄ってくるのでビーチェは制止しようとしましたが――
またクルリと右腕を回すと、黒い霧が彼女の周りを囲みブラウスとミニスカ黒タイツの姿になりました。
「だから何って? あっ もう普通のに着替えてら」
「ふっふーん ざんねーん」
「いい歳して魔法で
ビーチェは
ウルスラはニヤニヤしながら部屋の出口まで向かいました。
「じゃあ行ってくるねー! あんたたちは二人でたっぷり仲良くね。むっひっひ」
「酒は三杯までだからな!」
「はいはい」
ウルスラはそう言いながら部屋を退出しました。
ビーチェは寝室に戻ろうとしたら、バックの中を整理していたジーノが出てきました。
「俺、先に風呂へ
「あ、ああ――」
そうしてジーノがバスルームのドアを開けると――
「――覗くなよ?」
「覗かねーよっ! バカッ」
と彼は言いつつ入っていきました。
若い男女がホテルの部屋で二人っきりで、これから何も起こらないわけがないですよねえ。
「はぁ―― あたしも荷物の整理をするかなあ」
コンコン
ビーチェが寝室へ入ろうとすると、部屋の出入り口ドアからノックがありました。
「はーい!」
「失礼しますっ お洗濯物がございましたら回収しますが――」
「入っていいよお!」
どうやらウルスラが言っていた、ホテルの洗濯サービスの係がやって来たようです。
声は若いですが、ちょっとオドオドしていますね。
ドアが開くと―― そこには給仕服を着ている牛乳瓶眼鏡の女の子がいました。
ビーチェと同世代のようで、長い黒髪を後ろで編んでいます。
典型的な地味子メイドさんですね。
「お邪魔いたします――」
「どうもー あっ ジーノの服を持って行ってもらわなきゃね。あいつもう風呂場へ入ってるよな? ちょっと待ってて」
「はい――」
ビーチェは脱衣所を覗いてジーノがバスルームへ入っているのを確認し、ドア越しにジーノへ問いました。
「おいジーノ! 洗濯係が来たからおまえの服とぱんつを持って行くからな!」
「ええっ? ああわかった!」
ビーチェは脱衣所からジーノが脱いだ服を入れた
「そうか。私の服はまだ着たままだったんだ。いいや、このままここで脱いじゃおう」
ビーチェはメイドさんの目の前でバババッと上着とズボンを脱いでポポイと
おや、今日は白のスポーツTバックを履いているようですよ。
当然メイドさんはびっくり―― というほどでもないようです。
「あっ あの……」
「え? 女同士なんだから気にしなくてもいいよ」
「いえ、いろんなお客様がいらっしゃいますからそれは大丈夫です」
やっぱり高級ホテルだと、時には変わったお貴族様も来るんでしょうね。
ご婦人やご令嬢の着付けもあるかも知れません。
「へえー そうなんだ。やっぱり人前で脱いじゃう人っているんだね。そうだ! あなた名前は?」
「はい、ベレニーチェ(Berenice)と申します。この度、ユーティライネン様のお部屋の専属担当をさせて頂くことになりました。よろしくお願いします」
「ベレニーチェ!? あたし、ベアトリーチェっていうんだ! 名前がよく似てるね! もしかして友達にはニーチェって呼ばれてるの?」
「はい、そうです」
ビーチェは地味子メイドさんの名前が似てるとわかり、ウキウキしてますね。
この二人、意気投合しそうです。
「じゃあ、あたしのことはビーチェって呼んでよ!」
「とんでもございません! お客様に対して恐れ多いです―― ベアトリーチェ様」
「うーん、別にビーチェでいいんだけどなあ」
「ホテルの決まりですので―― 申し訳ございません」
「そっかあ、仕方ないな」
ビーチェは少しがっかりしながらも、ブラを外そうとすると――
「お手伝いします」
ベレニーチェさんはすぐにビーチェの後ろへ回り、手際よくブラのホックを外しました。
「ありがとう。そんなサービスもあるんだね」
「当ホテルの最高のお客様ですから、これくらいは当然でございます。さっ 次は下の方も――」
「あいや――」
ビーチェが自分で脱ごうとしていたら、彼女より先にベレニーチェさんがTバックの脇を両手で掴んでゆっくり下ろしました。
心なしか、ベレニーチェさんの頬が赤くなって顔がニヤついているように見えますが……
「な、なんか恥ずかしいなあ」
「お気になさらずに。ベアトリーチェ様の身体は引き締まっていて、とても素敵でございます ふひ」
「女の人にそんなことを言われたの初めてだよ。照れるなあ。アハハ」
ベレニーチェさん、今小さく「ふひ」って言いましたよ?
私は何だか
そこで、脱衣所のドアが急に開いて真っ裸のジーノが出てきました。
「おーい、次
「わっ ジーノ! なんで裸で出て来るんだよ!」
「おまえこそなんでそこで裸になってるんだよ! えっ? 誰その子!? 何この状況!?」
「おおおおっ おち◯っ おち◯ち◯ ち◯ち◯ ちちち◯……」
タラー ポタポタ バタッ
ベレニーチェさんは鼻血を垂らしてしまい、仰向けになって床に倒れてしまいました。
ですがとても幸せそうな表情をしています。
「おおおい! ニーチェったら! ジーノあっち行けこの野郎!!」
「うわわわわっ」
ビーチェがオーラパンチを撃ちかけたので、ジーノは慌てて寝室に隠れました。
どうやら彼は替えの下着とバスローブも持って行かないでバスルームへ入ってしまったようです。
「ああっ 取り乱してしまい大変申し訳ございません!」
「いや謝らなくて
ベレニーチェさんはすぐに正気に戻りましたが、ビーチェに向かって土下座で謝りました。
ビーチェはテーブルに置いてあったティッシュボックスからティッシュペーパーを取り出し、ベレニーチェさんに差し出しました。
「フガフガ―― こんなにお優しいお客様は初めてでございます。何せ同世代の殿方の一糸纏わぬ姿を拝見したのは初めてでございましたから――」
「ああ、そう…… 見苦しいモノを見せちゃったね。ああっ 勘違いしないでね! あいつは姉弟みたいなもので何でも無いからねっ」
「ふひ 承知しました。これからお風呂でございますか?」
「うん。あっ バッグは寝室の中だっけ…… チッ おいジーノ! あたしのバッグとバスローブをドアの隙間から外に出せ!」
「はい……」
ベレニーチェさん、また「ふひ」って言いましたよ?
彼女の正体がわかっちゃいそうですね。
素っ裸のビーチェは怒鳴り、寝室の中でまだ裸のジーノはドアの隙間から腕だけ出してビーチェのカバンとバスローブを出しました。
「よしっ これでお風呂に入れるぞ」
「それではベアトリーチェ様、私はこれで失礼します。洗濯物は朝までに仕上げておきますので」
「ありがとう」
ベレニーチェさんは会釈をして部屋を退出しました。
本当に…… 着替えやお風呂だけなのに大騒ぎになってしまいましたね。
明日も何か面白いことがあるのかも知れませんね。うぷぷ
---
その頃の、ホテルの一階裏にある洗濯場。
全自動の魔動洗濯機が何台も並んでいるところで、ベレニーチェさんが一人だけでさっき回収した洗濯物の
「ムフフフフフフフッ 今日のお客様は大収穫! 私と同じくらいの女の子と男の子の、何故かすごい汗まみれの服と下着! クンカクンカ…… ブレンドされてなんて香ばしいの!」
あろうことか、ベレニーチェさんは
何かあると思いましたが、へへへへへ変態ですこの子ったら!
「スゥゥゥゥーハァァァァー これがあの男の子の…… ジーノっておっしゃってましたね。脱ぎたての汗まみれボクサーパンツぅ! スーハァー…… 男の子って、イイにおーい! 頭クラクラきちゃう!」
それも声を出しながらそんなとを言うなんて、ヤバいですぅぅっ!
誰か来たら終わりじゃないですかっ
「次は…… しゅしゅしゅしゅごい…… あんな可愛い女の子のTバック…… いいっ いけない! 女の子同士なのにこんなことをしてちゃ!」
彼女は両手でビーチェの白いTバックを持ってジッと観賞してました。
「この匂いを嗅いだら私、人として終わっちゃうわ。まだ明日もあるし…… シャツで我慢しましょう。スゥゥハァァ…… 女の子の香りは甘くてとろけそう……」
ああっ…… まだ若い子なのにどうしてこんなふうに目覚めてしまったんでしょうかね。
きっと、貴族や商家の美男美女が泊まる高級ホテルの使用人勤めという環境が、彼女とマッチしてしまったのかと。
おや? 他の使用人たちが来たようですよ。
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