ラプンツェルの娘

マキノゆり

ラプンツェルの娘

 彩音という私の名前は、母がつけてくれた名前だ。

 彩る音。

 貴女が生まれる前、ちょうど街角でストリート ピアノを演奏している人がいたんだけど、その音色がとても綺麗だったからよ。

 晴れた日だったから、奏者の手が鍵盤の上を走る度、シャボン玉のように光が弾けたの。


 音が弾けるとはいうけれど、音を光に例えた母の表現はとても綺麗で、母にとっては本当にそうだったんだと思う。


 だからね、と母の手のひらが舞う。

 貴女はこれからも光に包まれて、幸せな人生を送るのよ。私に貴女の音は聴こえないけど、きっと弾け転がり流れるような、辺りをふるわせる光を放つのでしょう。

 母の手のひらが優しく私の涙をぬぐう。

 ほら、歌って、彩音。


 これは母から私へ紡がれた歌。






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ラプンツェルの娘 マキノゆり @gigingarm

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