第18話 消費と投資は紙一重
「『消費』と『投資』の話を聞いてきたけど、なんだか……これは『消費』、あれは『投資』と簡単に言えない気がしてきたよ。決めるのが難しそう」
ハルは、困惑しているようだった。
「そう、区別が難しい。例えば、ママが二人の成長のために栄養を考えて作った美味しい夕飯は、『消費』でしょうか? それとも『投資』でしょうか?」
「えーっ、ご、ご飯は食べたら、なくなっちゃうから『消費』?」
カノは、答える。
「でも、ママがぼくらのことを考えて、栄養満点の食事なら『投資』なのかな? 好き嫌いしないで、しっかり食べないと背がのびないし。長い年月を考えると、毎日の食事も大事な『投資』のような気がしてきたよ」
ハルも、自分の理解を述べる。
「ね、区別が難しいだろ。『消費』か『投資』かは、場合によっては考え方で変わってしまうんだ。『投資』だと思って本を買ったとしても読まずに本棚にしまわれていたら、結局、『消費』だ。ムダ使いってことになってしまうかもだね。読んでみたけど、知っていることばかりであまり役に立たなかった。なんてこともあるかもしれない」
パパが示した見え方に、二人はうなずく。
「失敗の『投資』は、ムダ使いな感じなのねー」
「逆にさ、『消費』に見えるけど、『投資』だと言えるものもあるのかな? ムダ使いに見えるけど、将来役立つかも、価値が増えるかもってこと」
ハルは、パパに質問した。
「あると思うよ。ゲームなんかはお金を払って遊ぶものだといえる面があるけど、同時にいろいろなことを経験できる投資の面もあると思う。オンラインゲームで、友だちと協力してボスキャラをやっつけるなんてことは、人と協力することで難しいこともできるという経験になるだろう。ロールプレイングゲームで、アイテムを集めて、合成して、新しいアイテムを作り出すなんてことも、素材や部品を集めてきて、加工する。モノづくりの基本を学べる。経験したことを、将来活かせることができるのであれば、立派な『投資』になるかもね」
「そんな将来のことは……今はわからないから、パパもママもゲームばかりしていると怒るのね」
カノは、ちょっと不服な様子。
「ゲーム以外にも、いろいろ経験してほしいと思っているからだよ。サッカーのようなスポーツでも、みんなと協力する面白さは経験できるだろ? ムダ使いにならないように、そこからどんな価値を手に入れるかがポイントだ。もし、お金という価値で測れたら、それが増えているだろうかと考えよう」
「価値が増えたかは、お金を使ったことで何を得るかなんだね」
ハルは確認する。
「そのとおり。基本的に、お金は何かと交換するツールだ。どんな価値あるものに交換するかが、結局、大事なんだよ。そして、これまで話してきたとおり、普段の生活の中では、『投資』なのか『消費』なのか判断するのはなかなか難しい。それも覚えておこう。そして、これは『投資』だと思って、お金を使ったのだとしたら、お金に計算できる価値が増えたかどうか、時が経ったら必ず確認しよう。自分に価値あるものが長くとどまっているなら、成功した『投資』だろう」
「難しそうだけど、わかったわ」
「今日の話のおかげで、お金を使う時はじっくり考えることができそうだよ。何も考えずにお金を使いたくないなぁと思った」
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