7-4
一方、司令室ほか特務課のメンバー達は、各自事件の解決に取りかかる。
「志乃さん、大至急一課に応援要請を。悠真くんはあさみ・辰川さんと連携してバスの移動経路を先読みして!」
「了解しました。」
「はーい。」
司令室内では、司の指揮のもと、志乃と悠真が応援要請およびバスの走行経路の割り出しにかかる。
「あさみ、辰川さん……聞こえてた?」
「あぁ、また面倒なことになったもんだぜ」
「虎のやつ……復帰そうそう足引っ張るなっての!」
「ふたりはそのままバスを追跡してちょうだい。下手に挑発や威嚇は行わないこと。乗客の安全を最優先とします。バスの燃料が尽きるまでが勝負よ。それまでは無線を活用しながら給油しつつバスの後を追いましょう。」
続いて、あさみと辰川にはバスの追跡の指示を出す。
そして、その頃……。
「バカ野郎!ガセネタ流して応援なんて要請するんじゃねぇよ特務課ぁ!」
司令室に怒鳴りこんでくる男が1名。
捜査一課長・稲取だった。
「稲取課長……」
「おい新堂!一課は事件解決のために香川を送ってるんだ!香川確保のための応援要請って、どう言うことだよ!」
血相を変えて司に詰め寄る稲取。
「かつての同僚だと思っておとなしく聞いてりゃぁおい……。」
「稲取さん、私も耳を疑いましたが……事実です。……悠真くん、捉えられた?」
「うーーん、ちょっとまだ遠いけど、『彼』が見えるくらいにはなったかな?」
「それじゃ、映して。同時に虎太郎くんの無線に入る音声も出来る限り拾って。」
興奮する稲取を前に、司は冷静に悠真に指示を出す。
「了解。出すよー」
悠真の返事と共に、上空からバスを捉えた画像が映し出される。
「これ、遠隔操作のドローン。上手くいったよ。ここまで操作できるようになるまで、もう3……」
「ドローンのことは良いから、早く映せ!」
悠真の自慢話を怒声で遮り、稲取は画面を食い入るように見つめる。
そこには、運転席側のバス側面を映した画像が映し出されていた。
「もっと寄れ!」
「わかってるー」
少しずつ、香川に気付かれない高度と角度でバスに近づいていくドローン。
そして……。
「どこまで向かうんですか?」
「それは僕が指示する。」
「私たちはどうなって……」
「お前たちに質問する権利はない。僕の指示に素直に従えば良い。それが生き残る唯一の術だ。」
車中での、運転手、ガイド、香川のやり取りが聞こえた。
「まさか……!」
同じ一課の部下の声を聞き間違えるわけがない。
香川の声を確認すると、稲取は落胆し、椅子に力無く座った。
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