揺らぎの狭間にて

波打ち際を歩く

遠くに伸びる影が攫われて攫われて

形を一定に保てない

ふと左を向く

誰も形を留めずにただぼやけただ紛れ


波打ち際を歩く

私の足の穴に水が潜って潜って

形を一定に保てない

ふと右を向く

そこに今あるべくして在りただ存在し


先を行くあなた

声は届かないから歩いて背を見た

左を見た時

うつるものの価値を推し量った

あろうとしても存在できず

左を見た時

うつるものの今を知ろうとした

なかったかもしれないそれ

全てはここにしかないとあなたはこぼす


立つのは境界

歩くのは際

今は今にあらず

あるものは在るものであり在らざるもので


そしてまたあなたは口を開いた

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