甘楽くんの神殺し

@yurayurajima

第1話

俺は恵まれていない割には頑張った。それはもうすごーくすごーく頑張った。体力がなくておデブだから毎日血反吐吐きながら4キロ走った。筋肉痛になるといけないからストレッチもか欠かさなかったサボることなく真面目に続けた。それを一年も続けたのに痩せたのは脚だけで痩せて顔が少しはマシになることもなかった。

4キロ毎日走ってたけど慣れることもなく毎日毎日死ぬほどきつかった。

勉強も頑張った。毎日平日は3時間、休日は5時間も勉強した。それ以下の時間しか勉強できなかったら1000円罰金というルールで自分を追い詰めた。

勉強はよく3ヶ月で効果が出るというけれど、俺は3ヶ月経っても一年経っても定期テストでは相変わらずダメダメだし実力テストや校外模試はもっとダメダメだった。勉強法なんて調べて実践したけどてんで効果が出なかった。

そんだけ頑張って、俗に言う中堅私立大学止まりだ。

美容だって頑張った。

毎日リンスをすることは当然としてヘアオイルとかも使っちゃって、インターネットで調べてしっかり適量つけた。だけど俺のチリヂリ髪の毛はそんなことじゃびくともしなかった。だからヘアアイロンを使った。髪がもっとチリヂリになった。

俺はコミュニケーションが苦手だったから毎晩会話のデッキを必死に作って、誰かと友達になるために毎晩最近の流行りのものなんか調べて、流行りのゲームを頑張ってやりこんだりした。なのに友達だと思ってたやつから奇跡的にゲットした色違いニ○フィアをパクられてそれを問い詰めたらどうしておれは虐められてるんだろう。

女の子に勇気を出して告白もした。

めちゃくちゃ身だしなみにも気を遣って、努力して会話を繋げて、ようやく2人で遊びに行けたと思って調子づいて告白したら、顔が無理だそうだ。

セックスしたい!可愛い彼女と電車で人目を気にせずにイチャイチャしたい!

一緒にランニング行って汗がダラダラになったあとスポーツウェアのままでセックスしたい!!!!!!!!



そして最近抜け毛が多くなった気がする。ネットで調べて見るとストレスは髪に悪いらしい。確かに自分はストレスをたくさん抱えるような生活を送っているがストレス解消には運動がいいと聞いている。俺は毎日走っている。栄養バランスのいい食事だってと言っているし毎日11時には寝て6時半に起きる超健康優良児的な生活を送っている。なのにどうしてだろう。

なんで自分はこうなんだろう。こんなに努力しているのに。


そうだ、神様が悪いんだ。こんなに頑張っても何一つ報われないなんておかしいじゃないか。神様が俺の設計を間違えたんだ。クソ!神め!殺してやる!そして俺の人生の責任を取らせてやる!

バカか……俺は。神なんているわけないじゃないか。

そんなことを一瞬でも本気で思っていたことを布団の中でモゾモゾしながら恥じているとその時は突然やってきた。

謎のブラックホールのようなものが部屋に突然現れてその中からイカついThe 魔王のような風貌の男が現れて言った。

「お前、力が欲しいか?」


「は?え?へ?は?」

困惑しすぎて何も言い出すことが出来ない。


「だから、お前、力が欲しいか?」


「力?」


「そうだ。この力があれば神を殺せる。」


「神?何言ってんだお前。そんなのいるわけが無いだろ!」


「居るんだよ。お前のそのクソみたいな設計を考えたクソ馬鹿野郎がな。」


「なんなんだよお前!どいつもこいつも人をクソ呼ばわりしやがって!!」


「おっと〜、そう怒るなよ。もっと他に突っ込むところがあるだろ?もう一度言うぞ、これが三度目の正直ってやつだ。この力があれば、髪を殺せる……」


「ああ……もういいよ!くれよ!力!その力で神もお前も殺してやるよ!」


「ヾ(〃>_<;〃)ノ ヤメテヨ!殺さないで!その力があればまじで殺せちゃうから!力やるから約束しろ。俺様を殺すな。指切りしよう」


な、なんだコイツ……情緒不安定すぎだろ


「分かったよ指切りはしないが殺すのは神様だけにしとくよ」


「サンクス……」


こいつ意外と接しやすいやつなのか?


「では、力をさずけよう。俺の右手をニギニギしろ。」


あ?右手掴めってことか?


「だ〜か〜ら、ニギニギしろって言ってんだろ?」

は〜?ホントにニギニギするのかよ!

「それはモミモミだろ//やめろよ///」

あ、やっぱ約束は取消でこいつも殺そうかな。


「そうだ!それが”ニギニギ”だ」


白熱灯のような優しい光がこいつの右手から溢れ出した。

掴んだ手から熱が伝わってくるのが分かる。まるで真夏の外、乾いた喉にキンキンに冷えた水が胃に伝わるのが分かるかのように。

熱が心臓に到着すると、心臓が隣の部屋にも聞こえるんじゃないかってレベルの爆音の鼓動を鳴らした。

身体中に力がみなぎってくる。体の毛先からなにまで全部が今までと違って感じる。今ならなんでも出来そうだ。

「どうだ?力を得た気分は」


「最高だよ」


「そうか、では、神を殺せ。サラバだ。」


「待てよ。神がどこにいるのか教えてくれよ」


「わかんない(´>ω∂`)」

こいつの表情筋ってこんな使い方できるんだ……って、分かれよ!

「じゃあどうやって神を殺せって言うんだよ!」


「今のお前なら頑張ったらできるだろう。では、ほんとにサラバだ。」

ブラックホールに飲み込まれるかのように消えていく。このまま行かせてたまるか。

「いやん!そこ触らないでよ!あとついてくんな!」

「俺は肩っていう極めて健全なところ触ったつもりなんだが?お前はそこが性感帯なんか?」

「マジレスをするなハゲ」

コイツ…

「ああわあわわ痛ぁぉいいい、やめろ!一旦考えるのやめろ!今日のウンコの形を思い出せ!」


「やっと止んだ。あー、まじ痛かった。お前気をつけろよな。俺様がお前に与えた力は全てのイメージを可能にしちまうんだ。お前さっきは俺様を殺そうなんて考えてたんだろ?やめろよなまじで、その能力は少年漫画の思いの力とかそういうレベルはるかに超えてっから。」


「長々とうるせえなぁ」


「え?怖いよ君?指切りしたよね?俺様を殺さないよね?」


「わかった、殺さないから。てかまだ着かないの?目的地」


「どひゅーん」


「もう着いたよ、ここねえー神殿だから、神殺しておいでー」

もうここで神を殺すのか…だったらしばらく家に帰れないかもしれないな。

俺の無遅刻無欠席記録を継続するためにも分身でも作るか。

「糞!」

分身できた。基本フンでなんでもできるんだな。

もう1人の俺、日常生活の部を任せてもいいか?

「いいよ」

即席でテレパシーできた!

分身の方は生声で返してきたから、能力を使えないのかな?

お家に帰れ!

「どひゅーん」

分身はお家に帰れたみたい。

「おー、早速お前上手に能力使ってんなあ、これなら案外早く神様殺せちゃうかもなあ」


「おい待てよなんで神居場所知ってたのに最初からここに連れてこようとしなかったんだ?」


「めんどくさいからだよお。君もめんどくさいのきらいだろお?まあいいや今度こそさよならだね。次会う時は髪が死ぬ時だ」


「おい文字が違うぞ貴様」


「はっはー心も読めちゃうんですかもしかしてえ?それとも、自意識か・じょ・う?」


うーんコミケに行けって念じたらどっかに飛んでったぞ。この能力は本当に便利だなあ


さて神殺しにいくか

「テクテクテク」

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