第11話 イェローストーン国立公園
次の目的地はイェローストーン国立公園である。
サウス・レイクタホを夕方出発したグレイハウンドバスは21時20分、リノに到着した。この街はカジノで有名だが、そちら方面には全然興味がない。が、話のネタにちょっと覗いてみようかなとも思ったが、ヤバい事に巻き込まれたくないので外からチラ見するだけにしておいた。
翌朝ソルトレイクシティに向かう予定だったが、バス会社を間違って夕方の便で出発する。日本のガイドブックでは、ソルトレイクシティまでは砂漠のみで宿泊施設は皆無となっていたが、途中停車した4~5か所のバスデポ周辺全てにモーテルが建っていた。
ソルトレイクシティにも特に興味はなく、一泊だけして目的地のイェローストーン国立公園を目指す事にする。先ずはグレイハウンドバスでウェストイェローストーンまで行く。このバスの旅も結構楽しいものだった。広々とした大草原の所々に農家が見られ、小麦畑が一面に広がっている。時折通過する田舎町も静かで落ち着いた雰囲気である。
17時、予定通りウェストイェローストーンに到着した。イェローストーン国立公園内のキャビンのある場所までは夕方の便では行けないそうなので、ここで一泊する事にした。
バスデポの観光案内所で相談に乗ってくれた人は親身になって説明してくれた。お陰で公園内の宿と次のグランドティートンまでのバスの予約は全て完了した。
この街では宿の女将さんも親切なようだ。Tepee Motel というモーテルを訪ねたが安い部屋がなかったところ、そこの女将さんは近くの安いモーテルを紹介してくれ、空室がなければもう一度来るようにと言ってくれた。紹介して頂いたモーテルに宿泊している。
この街はカナダ・バンフのメインストリートのように土産物店、レストラン、ホテルだけの街のように見える。バンフと違って観光客は多くない。イェローストーン国立公園を訪れる為にだけ、その拠点になってる街みたいだ。
街並みは古い感じで開拓時代の西部の町のよう。意識的にそうしているのか自然のままなのか、古き良き時代の西部に触れたような気がする。宿泊して良かった。
朝食時、日本人に声を掛けられた。千葉からのハネムーンで、昨日朝到着してすぐ1日ツアーバスで公園内を巡り、今朝はソルトレイクシティに行くそうである。
公園内のバスツアーには Lower Loop Tour と Upper Loop Tour があるようで、彼らは Lower Loop Tour に参加したとの事である。どうせなら両ツアー共参加すれば良いのにと思ったが、スケジュールに制限があるんだろう。行き当たりばったりのバックパッカーと同じようにはいかないのであろう。
さてこちらは、10時30分の Lower Loop Tour で出発。今日1日はツアーバスで宿泊地まで行く事になる。意外と思ってたより観光客は少なく車内はガラガラだった。その点は静かで良いがツアーの場合、表面だけ観て写真を撮るだけの内容の薄い旅になってしまう。
それでも見ごたえ十分の魅力的なスポットもいくつか観られた。
中でも、イェローストーン・グランドキャニオンが一番見ごたえがあった。Lower Fall とその周辺を観ただけであるが、いろんな角度からじっくり観てみたいものである。
また、Tower を過ぎた辺りで凄い絶壁があったが、バスは停車しなかった。野生動物も見られた。エルク、バイソン、ディアーである。エルクはともかく、バイソンが見られたのは良かった。
今夜からの宿泊地である Mammoth Hot Springs には16時30分に到着した。
イェローストーン2日目は自分の脚で歩く事にする。
一応はGolden Gate という所を目標にしてのんびり出発する。適当に車道を歩いているうちトレイルコースを見つけたのでそちらに舵を切ってみた。途中、 Golden Gate に行く道があったのでそちらに向かう。
いつ熊に遭遇するかもしれないので周囲に気を配りながらだが、なかなか快適なコースである。
再び車道に出た後、反対側に山頂へのトレイルコースがあったのでチャレンジしてみる。頂上からは360度の大パノラマが広がっていた。大草原の他に山や町が見渡せ、地理が良く分かる。登った価値は十分だった。
下山後は少し時刻を気にしながら田舎道を急いだが、これもまた快適だった。
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