第15話 実技試験前日
実技試験当日。
俺は試験までの間も毎晩シャドウを抱いて仕事していた。
そのおかげか、試験当日の調子はとても良かった。
さて、試験会場に着いたわけだが、俺の相方は誰になるだろうか。
そわそわしていると、ふいにアナウンスが鳴った。
「実技試験をお待ちの皆さん、大変お待たせしました。
パートナーを発表いたします。
お渡しした受験票が指し示す光の先にあなたのパートナーの受験票がございます。」
なるほど、そのようなシステムになっているのか、便利なものだ。
さてさて、俺のパートナーはどこかな。
光が差す方向に俺は進む。
すると、誰かの後ろ姿にぶち当たった。
「君かな、パートナーは。よろしく。」
と、俺は声をかける。
すると、パートナーらしき人物が振り返る。
そこにいた人物はそう、勇者だったのだ・・・。
勘違いではないだろうか? いや彼女が持っている受験票と俺の受験票は確かに光でつながっている。
パートナーであることに間違いはないだろう。
しかし、俺も運がいい。勇者とパートナーならば受かったも同然ではないか。
魔王の手先のものとして気まずい状況ではあるが、隠し通せば問題あるまい。
「ああ、君がパートナーかよろしく頼むよ。」
高貴で可憐な雰囲気、たまらない。
「して、お互いの能力を見せ合おうではないか。
特殊能力、あるのであろう? 顔を見ればわかる。」
さすがは勇者だ。いろいろと物事を俯瞰してみる冷静さを兼ね備えている。
「ああ、俺の特殊能力はスライムっぽいことはスライム以上にできることさ」
(もちろん、本当の能力は魔物交尾だ)
「なるほど、それは器用で便利そうな能力だな。
私は君もご存じの通り、勇者だ。
魔の心を少しでも持つものは私の太刀筋を逃れることはできん。
絶対不可避の悪魔殺し(イネビタブルデーモンスレイヤー)だ。」
「少しでもか、例えば、落ちているお金をネコババしてやろうという気持ちでさえ、それはデーモンスレイヤーの対象となるのか?」
「ああ、そういうことだ。
少しでも悪の気持ちがあれば、それは対象となるだろう。
しかし、平常時の人間はそうそう悪の心を持たんからな。
例えば、単純な力比べを目的とした決闘などでは、この能力は役に立たんことになる。」
なるほど、俺はスパイとして潜入している。その悪い気持ちがかならず勇者に刈り取られるだろう。
当然だが、勇者に歯向かうことはよしておこう。
「自己紹介がまだであったな。
私はクリスタル・クリムゾンハート、歳は18だ。
よろしく頼む。」
「ああ、俺はジェラルド・ジンキエンス、歳は19だ。
まあ、一浪だ。よろしく。」
「ほう、一浪生であったか、どうりで少し老けていると思ったわけだ!」
「こ、こいつ、自分の性格の悪さはデーモンスレイヤーの対象外か??」
「はっはっはっ、洒落のきくやつだな、気に入ったぞ。」
「それはそうと、これは2人1組だ、お互いの能力をうまく活かしていきたい。
少し練習をしてはどうだろう、本戦はあさって、まだ時間もある。」
俺は勇者に提案する。
「そうだな、では少し人里離れたところで練習しようではないか。
お互いの能力も見せ合いたいしな。
といっても私の能力は見せられん、君を切り捨てることになってしまうからな。」
「たしかに、それは勘弁だ。」
そうして俺たちはエントリー会場から町のはずれに移動した。
「さてここなら思う存分、君の能力を見られるな!」
「ああ、じゃあまずはスライムに姿を変えよう。
メタモルフォーゼ・スライム!!!」
「おお!本当にスライムのような見た目になったな!」
「それだけじゃないさ、体内にものを出し入れしたり、スライムパンチなんかもできる。
衝撃を吸収できるし、狭い通路を通ることだってできる。」
「ほうほう、戦闘もバックアップもオールマイティにこなせそうだな。
では、木刀で手合わせ願おうか。
実際に戦ってみるのもよかろう?」
「ああ、そうだな。」
「よし、その意気だ。
では、始めるぞ!」
勇者が木刀を振りかざし、こちらに突っ込んできた。
俺は木刀を交わし、勇者をスライムの体で取り込む。
あっさりやられすぎではないか?
「実際に攻撃を食らってみたくなってな、スライム人間とやらがどれほどのものか気になるであろう?」
なるほど、あえて攻撃を食らったか。
と、あれれ、勇者の服がみるみる溶けていくではないか?
「勇者さん? 服が溶けているような・・・。」
勇者のピンク色の乳首が見えてしまっているではないか。
「きゃああああ////
な、なんだこれは! 聞いていないぞ、こんな能力!」
「お、俺も知らないんだ、こんな能力があったなんて。」
先日の貴族の町を襲撃したことでスライムの能力が進化したのだろうか、
衣服を溶かす能力が追加されているようだ。
「す、すまん! いつの間にか能力が進化していたらしく、わざとではないんだ。」
勇者は顔を真っ赤にして胸を片手で抑えている。
「君、私をはめたね? 可憐で清楚な乙女の純情をもてあそんだね?
デーモンスレイヤー!!!!」
俺は勇者のデーモンスレイヤーをもろに食らった。
俺の下心という名の悪の心が刈り取られ、俺は大ダメージを受けてしまい、その場で気絶した。
---
「きろ・・・!起きろ!」
俺は目が覚めた。
たしか、勇者のピンク色の乳首を見て、デーモンスレイヤーを食らったんだ。
しかし、きれいなピンク色だったなあ、っといかんいかん。
今は何時だ??
目の前には勇者クリスタルがいる。
何か慌てふためいている様子だ。
「どうした? クリスタル、そんなに慌てて」
「ようやく起きたか寝ぼすけ、もう夜だぞ、しかも試験は明日の朝だ」
俺はまだ町のはずれで横たわっていたようだ。
「すまん、勇者のチカラはさすがだな、一日寝込んでしまったよ。
俺はしばらくここで横になっているから、先に帰っていてくれ。」
まだ少し頭痛がして動きたくないので勇者には先に帰ってもらうことにした。
「そうか、明日は試験だ。君、しっかり休養しろよ。」
「ああ、言われなくても。」
そう言うと勇者はとぼとぼ帰っていった。
「シャドウいるか? 悪いが、宿まで運んで行ってくれないか?」
「はーい、ラル様♡」
俺はシャドウとともにカゲを渡り、宿舎に戻った。
そして、激しい夜を過ごしたことは言うまでもないだろう。
「パンっパンパンっ」
「あーーん/// ラル様ーーー♡」
---
一方クリスタルは・・・。
「くーーー、明日は試験だというのに、隣のカップルときたら。。。
全然眠れないではないか・・・!!!」
ラルたちの行為でまったく眠れない様子であった。
<<作者あとがき>>
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