第2話 スライム娘
俺はスライムに犯された・・・。
目の前のスライム娘は満足げな表情をして俺にまたがっている。
こいつが俺の初めての相手だ。
認めたくはないが、美少女だし、ぷにゅぷにゅしていて最高だった。
だがしかし・・・スライムだ。
さて、俺はもう賢者状態だ。
この魔物の色香に惑わされることはない。
「そこのスライム、いつまで俺にまたがっている。
それに、お前はスライムなんだよな?
俺には美少女に見えるのだが・・・。」
「ご主人様、ごちそうさまでした♪
わたしは、スライムプリンセスのプリムです!
美少女だなんて・・・ラル様はお上手なのです♡
わたしは正真正銘のスライムです!」
そのスライム娘は骨抜きになったような笑みを浮かべて言った。
スライムではあるが会話は成立するらしい。
だが、わけがわからん。
スライムプリンセス?
俺はこいつの主人でもないし、スライムにプリンセスもへったくれもないだろ。
しかも、本当にただのスライムらしい。
俺には美少女に見えるのだが。
だが、こいつは高貴な身分なのかもしれん。
それに、もしかしたらめちゃくちゃ強いスライムなのかもしれん。
一応、へりくだっておこう。
「お、お姫様でしたか。
先ほどの無礼な態度、お許しください。
わたくしはジェラルド・ジンキエンス、歳は18です。
それで、わたくしに何の御用でしょうか、スライムプリンセス様。」
「そんなよそよそしくしないでください、ラル様。
わたしたち、もうツガイなのです!」
スライム姫プリムは顔を赤らめている。
うーんと、、?
こいつは何を言っているんだ?
「ツガイね・・・。
たしかにやることはやってしまったが、結婚した覚えはないぞ!?」
「ひ、ひどいわ、ラル様!
ラル様を一番に射止めたのはわたしです・・・!」
むくれてしまった。
なるほど。
スライムに追い掛け回されていたあれは、スライム界における求愛行動だったのだろう。
スライム的には、こいつは見事に俺を射止めた、という状況なのだ。
どうりで、俺を追いかけていたその他のスライム達が周りで悔しそうにしているわけだ。
「あ、ああ、わかったよ。
でも、俺は人間で、プリムはスライムだ。
結婚できないだろ?」
俺の言葉にプリムはきょとんとしている。
「ラル様が人間・・・?
ラル様はどこからどう見ても絶世の美男子スライム、です!
こんな甘美なフェロモン、感じたことないのです!」
なんだと。。
無意識に俺のフェロモンが魔物を誘惑してしまっているというのか。
俺は、もしかすると自分はスライムなのではないかと思い、両手を見る。
うげっ!!!
俺、本当にスライムじゃねえかよ。
両手、両足、顔、体、すべてがゼリー状だ。
俺はあまりのショックで気が動転し、その場で気を失った。。
---
「・・・さま!
旦那さま!」
なんだ?
誰かに起こされ、目を覚ますと、そこには2つのゼリー、ではなく、プリムがいた。
何という眺めだ・・・。
プリムが膝枕しているようだ。
さっきの出来事は夢ではなかったらしい。
「お、おう、プリムか。ここは?」
「無事でよかったです!
急に倒れてしまったので、わたしの家に連れてきたのです。
ラル様が倒れたところからはそんなに遠くないのです。」
スライムに家などあるのだろうか、と辺りの様子を見渡す。
そばにやや大きめの木が1本、それ以外は見渡す限り、野原、野原、野原だ。
木が1本あるだけだが、スライムにとっては立派な家なのだろう・・・。
そうだ、俺、スライムになっちまったんだ。
ふと、自分の腕を見てみる。
あれ??
人間に戻っている。
ひとまず安心だ。
「プリムよ、俺はまだスライムに見えるか?」
「はい、ラル様は相変わらずハンサムなスライム、です!」
なるほど。
俺は人間だ。
プリムは俺のフェロモンによって錯覚状態に陥っているのだろう。
だが、どうして俺はスライムになり、気絶したら人間に戻れたのか・・・。
「プリムよ、俺は状況を冷静に考える時間が必要だ。
少し考えさせてくれ。」
「はい、ラル様。
ゆっくりしていってください。
ここは、ラル様とわたしの愛の巣なのです!」
---
数十分後。
あーでもないこーでもないと考えた結果、俺はひとつの仮説にたどり着いた。
これは、俺の持つユニークスキルではないかということだ。
おそらく、俺の出すフェロモンは魔物を錯覚させ誘惑することができる。
そして、俺自身も魔物のフェロモンを感じ、魔物を美少女と錯覚してしまう。
互いのフェロモンから、意思疎通も可能となるのだろう。
本来、スライムと会話などできない。
さらに、俺がスライム化した件だが、魔物にへんげすることで交尾を可能にするのではないか。
これを応用すればすべての魔物と交尾が可能ということになる。
もっとも、数百年前に勇者が魔王を討伐して以降、スライム以外の魔物は絶滅しているが。
へんげのオンオフは何かコツがあるのだろう。
このスキルの仮説はこんなところだ。
俺は生まれつきユニークスキルがない、落ちこぼれだと思っていた。
これは俺にとって朗報ではある。
だが、使い道が分からん。
スライム娘とハッスルできるのは良いが、正直言って何の稼ぎにもならん。
と、色々と考えていると、プリムがしきりにおなかをさすっている。
「どうした? おなかでも痛いのか?」
「い、いえ。
感じるんです、ラル様との間の新たないのちを・・・。」
ええーーー!!!
どうやら俺は、父親になるらしい。
<<作者あとがき>>
ご覧いただきありがとうございました!
☆をポチっとしていただけると大変ありがたいですm( _ _ )m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます