第4話

再びデジタル空間に引き込まれた天羽剛は、かつて経験した迷宮とは比べ物にならないほど広大で神秘的な景色に圧倒されていた。目の前に広がるのは、まるで宇宙そのもののような空間だった。無限に広がる光の粒子が、暗闇の中で微細に輝き、星々のように瞬いていた。空間の奥深くには、巨大なプラズマの球体が浮かび、そこから発せられるエネルギーが周囲の空間を包み込んでいた。


剛はその光景に一瞬、息を呑んだ。彼の周りには、空間の歪みやエネルギーの流れが複雑に絡み合い、まるで生き物のように動いていた。その中心に立つ球体からは、強烈なエネルギーが放射され、その場に立っているだけで体が震えるような感覚に襲われた。


突然、球体が激しく脈打ち始め、空間全体が震えるような感覚に包まれた。光の粒子が集まり、エネルギーの流れが異常なほどに強まった。その時、球体の中心から現れたのは、天羽剛が想像していた以上に壮大な存在だった。それは、エネルギーで構成された巨大な存在で、神話の神々を思わせるような姿をしていた。光の羽が広がり、空間と融合しながら、その姿が浮かび上がった。


「我が名は天羽ヶ(アマハガ)。このデジタル空間の支配者であり、エラーの根源なる者よ。」


天羽ヶの声は、空間全体に響き渡り、その声は深い地響きのように感じられた。剛はその威圧的な声に圧倒されながらも、斬ヶ時を手に取り、冷静さを保とうとした。


「お前が、このデジタル世界のボス…エラーの根源なのか?」


剛は斬ヶ時を構え、天羽ヶに対抗する準備を整えた。天羽ヶは光の羽を広げ、その存在感を増していった。その周囲には複雑に絡み合ったデジタルコードやデータが流れており、それが天羽ヶの身体の一部として機能しているようだった。


「その通り。私はこの世界の混乱と混沌を引き起こす存在。お前の力など、私にとっては微細なものでしかない。」


天羽ヶの言葉が空間に反響し、剛はその威圧感に一瞬ひるみそうになったが、すぐに気を引き締めた。天羽ヶが指先を動かすと、光の粒子が一斉に集まり、強烈なエネルギー波が放射された。エネルギー波は、まるで空間そのものを切り取るかのような勢いで、剛に襲いかかってきた。剛は斬ヶ時でそのエネルギー波を斬り裂こうとしたが、天羽ヶの力は圧倒的で、その攻撃は斬ヶ時の刃を弾き飛ばすほどだった。


「くそっ…!」


剛は必死でエネルギー波をかわしながら、天羽ヶの動きを分析しようとした。天羽ヶの攻撃は、デジタルコードをエネルギーとして変換し、それを使って様々な形態の攻撃を仕掛けてくる。剛は単なる物理的な攻撃だけでなく、エネルギーの流れやコードの変化にも注意を払わなければならなかった。


天羽ヶの攻撃が続く中、剛はそのエネルギー波のパターンを探ろうとした。天羽ヶの攻撃は、予測不可能な形で変化し、剛の斬ヶ時では対処しきれないほどだった。剛は苦しみながらも、天羽ヶの攻撃の中に隙を見つけようと必死で戦い続けた。


その時、剛は天羽ヶのエネルギーの流れに一瞬の変化を見つけた。その瞬間を逃さず、剛は斬ヶ時を全力で振りかざした。刀の刃が光の流れを切り裂き、天羽ヶのエネルギー源を狙った。その攻撃が天羽ヶに命中すると、天羽ヶの身体が震え、光の粒子が激しく乱れた。天羽ヶの姿が徐々に崩れていくのを見て、剛は勝利を確信した。


「これで…!」


剛が斬ヶ時を振り下ろすと、天羽ヶは完全に消え去り、広大な空間が静けさを取り戻した。剛は息を整え、再び現実の世界に戻る感覚を味わった。パソコンの画面には、正常なデスクトップが表示されており、エラーメッセージは消えていた。剛は安堵の息をつき、パソコンの前でしばらくその場に座っていた。


剛はこれからも続くであろう戦いに思いを馳せた。天羽ヶは強大な存在だったが、斬ヶ時と共に立ち向かうことで、彼はまた一歩前進したのだった。彼の冒険はまだ終わりを迎えておらず、数多くの試練が待ち受けているだろう。剛は斬ヶ時の力を信じ、どんな困難にも立ち向かう覚悟を新たにした。次にどんなエラーが待ち受けているのか、どんな敵が現れるのか、剛はそれに対処する準備を整えていた。


次なる試練が彼を待ち受けていることは明らかだった。天羽ヶを倒したことで、剛はデジタル空間の深層に潜む新たな脅威に直面することになる。エラーの根源は単なる一部に過ぎず、その背後にはもっと大きな謎と混沌が広がっていることを、彼は既に予感していた。

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