最強で煩悩まみれな聖職者は魔王の娘に求婚する ~魔王様、世界の半分ではなく娘さんを俺にください~

Ryu

1章 運命の出会い

第1話 結婚しよう

 ユメミル大陸の端の端。ポプラと呼ばれる街には小さな教会堂があった。

 時間は夜。月明かりだけが窓を通して教会に入り込み、幻想的な雰囲気を醸し出している。

 神聖な祭壇の前に、神父は一人立っていた。

 神父は機嫌が良かった。たまたま街での賭け事がうまく功を奏したからだ。

 更には顔は赤みがかっており、酒を飲んでいたことは明白だった。

 あまりにも気分が良いので、神父は聖書を取り出し読み上げることにした。

 そのうえ調子に乗って、聖書は視界に入れず大衆に語り掛けるかの如く読み始めた。


「天にます、あー、まします、我らが乳……マシマシの乳……? があったら良かったと心から思う……だったような。いや絶対違うな。まぁいい。また今度にしよう」


 飽きたので神父は聖書を懐に戻した。


 そろそろ寝ようかと思っていた時、教会の扉が開いた。

 フードを深くかぶっており、顔は見えない。身長、体格から見て少女だと神父は思った。

 ゆっくりと、フードを被った少女はこちらに歩み寄ってきた。


「……すまない。礼拝の時間はとっくに過ぎて──」

「動かないでください」


 次の瞬間、魔法を放とうとする右手を神父に向けた。


「動いたら、消し炭になりますよ」


 右手が魔力を帯びながら燃えている。

 炎魔法を放つ準備は完全にできている、という事だろう。


 通常なら、両手を上げたり、命乞いをしたり降伏の意を示すのだが、神父の場合は違った。

 神父の視線は、フードがめくれた女性の顔だ。


 月明かりに照らされて輝く銀色のハーフツイン。

 完璧なまでに整った顔立ちながらも、どこか母性を感じる。

 意思の強い、真っ直ぐ綺麗で大きな瞳。

 そして、マントからチラチラ見えている大きな胸。


 神父は、なりふり構わず向けられた彼女の手を握っていた。


「なっ……! ば、バカ! 何してるんですか!? 燃えますよ!? 熱いんですよ!?」


 神父は気にしない。

 それよりも一刻も早く、伝えたいことがあった。


「結婚してくれ」

「……………………………………………………はい?」


 クズでどうしようもない神父、バトラ・カミガカリの恋路はここから始まったのだった。





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