フィルニカ山岳猟兵
大陸諸国の多くがそうであるように、フィルニカ王国の歴史もまた戦乱と流血に塗れている。
征服と支配を原理とするベガニシュ帝国と国境を接している、いにしえからの地域大国――フィルニカ王国は、その国土を防衛するために大山脈を利用してきた。
この大陸を南北に区切るように走った山嶺は、ベガニシュ帝国の強大な陸軍を阻み、天然の要害として機能してきた。
その防衛戦を支えてきたフィルニカ王国軍の要こそ山岳猟兵である。
険しい山々や高地での戦闘に長け、重火器を携行して人間に厳しい極地環境を行軍する精鋭部隊を、山岳猟兵と呼ぶ。同種の兵科は山地を抱える世界各国が保有しているが、フィルニカ王国のそれは大陸随一と呼ばれる精強さを誇っていた。
すべては長きにわたるベガニシュ帝国との殺し合いの歴史が育んだ必然である。この過酷な環境での国防を担う精鋭部隊が、ある種、愛国心の強い兵士で構成されるのは必然だった。
七年前のクーデターを経て国王が代替わりしようと、その事実は変わらない。
フィルニカ陸軍山岳猟兵連隊第一大隊第四中隊――すなわち首狩り第四中隊の異名を取る部隊もまた、そのような熱烈な愛国心の持ち主たちで構成された。
ある意味、彼らはよく耐えたと言える。
そもそも現在のフィルニカ王国の体制は、彼らが忠誠を誓っていた前国王を貶めて作られた虚構の繁栄なのだ。
前の国王――イシュヴィム王は偉大な王だった。
国内の愚かな貴族たちを内戦で制圧し、国土の奪取を試みたベガニシュを退け、国力の増強に努めて国を富ませた。
まさに英雄の中の英雄、軍部が忠誠を誓うに足る王だったのである。
それに比べて、卑劣にもクーデターでイシュヴィム王を玉座から追い落とし、権力を手にした悪しき王ロガキスはどうだろうか。
彼がしたことと言えば粛清の一言に尽きる。前国王の忠臣たちを捕らえ、よくて国外追放、悪ければ略式裁判のあとの処刑に追いやる――長年、王に仕えた忠義の士に対する仕打ちとは思えない。
あまつさえ帝国と和睦し、北部の経済活性化のためと称してトンネルを開通させる始末だ。
そう、タギルカカ国際トンネルの開通で彼らは確信したのである。
現国王ロガキスは薄汚い
山岳猟兵バレットナイト部隊の指揮官――マノバ・モーザ大尉を突き動かすのは、そのような信用ならぬ王が権力を握る現状への危機感であった。
悪しき王に奪われた王冠は、正しき王の血筋に返還されるべきなのである。
そのように考える同志たちが集い、此度のクーデターは成った。憂国の士たちのネットワークはフィルニカ王国各地で反撃の狼煙を上げ、暗愚な王を追い詰めるのだ。
モーザ大尉には重い使命があった。
簒奪者から玉座を取り戻した暁には、正しきものがこれを継承しなければならない。
彼ら山岳猟兵がこのリゾートホテルに遣わされたのは、まさにそれに相応しい貴い血をお迎えするためなのだ。
「バナヴィアの非国民どもがベガニシュネズミを誘い込んでいる――今こそ殿下をお救いするときだ」
二五〇年前、政争に敗れて落ち延びてきたバナヴィア人の末裔ども。フィルニカ王国への忠誠心など感じられぬ、異民族どもはいつ何時、ベガニシュ帝国に国を売り渡すかわかったものではない。
憂国の志と民族の優越を確信する彼らにとって、フィルニカ国内の如何なる勢力とも結びついておらず、それゆえに時の国王に忠義を捧げるフィルニカ衛兵は場違いな異物に過ぎなかった。
ゆえに彼らの引き金は軽かった。
たかだか二五〇年しか経っていない異民族の兵など、いくら射殺したところで構うまい――そのような差別意識が、バナヴィア衛兵たちへの無慈悲な暴力になったのは言うまでもない。
リゾートホテルの従業員たちへの無用な殺生を避ける自制心があったのは、クーデター軍にとっての良識だった。
ホテルの敷地内に侵入した五機のバレットナイトに先導され、山岳猟兵を満載した兵員輸送車が高速で路面を駆け抜ける。
モーザ大尉率いる突入部隊は、この要人救出任務――彼らの主観において、このホテルへの夜襲はあくまでそういうものなのだ――の仕上げだった。
歩兵部隊をホテルに突入させ、若き王族を救い出す。
使命感に燃える山岳猟兵のバレットナイト――ダークグリーンに塗装された機影は、首を刎ねられたかのごとくのっぺりと平たい。
〈ホーラドーン〉はフィルニカ王国が独自に開発した第二世代バレットナイトである。
その基本性能は高く、ガルテグ連邦製の〈M4Fカフドゥ〉はおろか、ベガニシュ帝国の二・五世代型〈ブリッツリッター〉にすら迫る性能を持つとされる。
頭部を持たず胴体に埋め込まれたセンサースリットによって外部を認識する構造――まさに伝承上の
伝説上の首狩りの死神よろしく、彼らは悪しき王、悪しき帝国に与するものたちの恐怖の対象になるのだ。
モーザ大尉は前方の建物の影に、敵機を確認した。
「左前方に敵バレットナイトを確認した――各機、攻撃開始!」
五機のバレットナイトが、その手の二〇ミリ機関砲を一斉射。
高速の運動エネルギー弾が嵐のように見舞われ、一瞬でカフェレストランだった建物をボロクズに変える。
穴だらけになった壁面が倒れ、自重を支えられなくなった屋根が崩落する。もうもうと土煙が舞う――モーショントラッカーが今もなお存在する動態反応を警告する。
遮蔽物ごと撃ち抜いたはずである。
「全車両、停止せよ! 何かおかしい――」
モーザ大尉の命令は間に合わなかった。
〈ホーラドーン〉五機の警戒を嘲笑うように、土煙の中から高速で重量物が射出される。マノバ・モーザ大尉には知るよしもなかったが、それはベガニシュ帝国で試作された都市戦闘用のワイヤーアンカーガンだった。
背の低い近代的建築物――どれも国費を投じられて作られた唾棄すべき堕落の象徴である――にめり込んだアンカー。
刹那。
バレットナイトが、空を舞っている。
ワイヤーアンカーの巻き取り動作と人工筋肉の生み出す跳躍力の融合――高さ一五メートルもの高度のジャンプが実現。
空中を飛翔するように跳んだ〈アイゼンリッター〉が、電磁式機関砲を乱れ撃つ。比較的、装甲が薄い上面装甲を運動エネルギー弾でぶち抜かれ、三台の装甲車のうち二台が穴だらけになった。
兵員輸送車両であるそれらの車両は、一台あたり歩兵一個分隊が乗員だった。運転手を含めて二〇人以上の兵士が即死した。
たった一瞬の油断。
その代償として歩兵一個小隊が壊滅した。
モーザ大尉が自身の判断ミスを認識したその瞬間、敵機は弧を描くようにして〈ホーラドーン〉五機の背後に着地。
一番経験が浅い隊員の乗っている機体の傍だった。
〈ホーラドーン〉の背後に回った騎士人形が、装甲の薄い背部に銃口を向ける。
『――なっ』
二〇ミリ機関砲を至近距離で撃ち込まれ、〈ホーラドーン〉の一機がガクガクと
残る四機の〈ホーラドーン〉が、反射的に銃口を敵機に向ける。引き金を引く。思考すら必要ない反撃動作は、山岳猟兵が優秀な兵士であることの証だ。
アルケー樹脂の装甲板が、機関砲を弾いて光の粒子を放ちながら崩れていく。敵は古典的なカイトシールドを装備していた――モーザ大尉たちの機銃掃射を浴びて、弾痕が穿たれたボロボロの盾だ。
その事実でようやく彼らは敵が亡霊ではないと実感した。
ビルの壁面とワイヤーアンカーを使って高く跳躍し、一瞬で上空から奇襲を仕掛けられた。
言葉にすればそれだけの動作である。
一瞬で仲間を殺された〈ホーラドーン〉部隊の怒りが爆ぜたその瞬間、〈アイゼンリッター〉が盾を構えて突っ込んできた。
肩からの体当たり。
『――ぐぉ!?』
〈ホーラドーン〉の一機が姿勢を崩して仰向けに倒れる――その脇腹に機関砲が差し込まれる。
まるで本能で嗅ぎ当てたかのごとく、敵機は装甲の薄い部位を探り当てる〈アイゼンリッター〉。
引き金が引かれる。
アルケー樹脂の装甲が弾け飛び、一瞬で打ち砕かれる。正面装甲を避けて撃ち込まれた一〇〇発以上の機関砲弾が、〈ホーラドーン〉のバイタルブロックを蹂躙する。
また部下が死んだ。
モーザ大尉は二〇ミリ機関砲を撃とうとした。
刹那、〈アイゼンリッター〉の腰から飛んできたワイヤーアンカーが電磁バレルをへし折った。見ればもう一人の部下も銃身を切り飛ばされ、二〇ミリ機関砲を無力化されていた。
ワイヤーアンカーが巻き取られる。
『クソがッ!』
唯一、機関砲を保持できている部下が唸るように銃火を放った。だが、浅い。ベガニシュ帝国の〈アイゼンリッター〉は、その正面装甲が分厚く、口径二〇ミリの電磁投射砲を防ぐよう作られている。
つまり側面や背部などの装甲の薄い部位をさらさなければ、十分に二〇ミリ機関砲の直撃に耐えられる防御力を有している。
ガギギギギギ、と砲弾を弾く音。
〈アイゼンリッター〉の保持していた二〇ミリ機関砲が砕け散る。重火器がその手から離れる。その五指は無事だった。
灰色の騎士人形が地面を蹴る。
盾を構えての突進。
そして見るも鮮やかな抜刀――背中のハードポイントから引き抜かれた
股下まで縦一文字に切り裂かれたのだ。
『ぐぎゃっ!?』
青く光るエーテル粒子の閃光。電脳棺が破綻し、その内部に溶け込んだ搭乗員が即死した事実を知らせる輝き。
蛍が飛び回っているかのような爆発に包まれる〈アイゼンリッター〉――超硬度重斬刀を構えて、こちらに突っ込んでくる敵機を見た。
「ルーガ! 合わせろ!」
部下が呼び掛けに応える。
マノバ・モーザ大尉とその部下は、〈アイゼンリッター〉を前後に挟み込むようにして囲んだ。左右にはコンクリート製の建築物、逃げ場はない。
モーザ大尉はこれまで幾度も、ベガニシュ帝国のバレットナイト部隊と交戦してきた。新型の〈ホーラドーン〉が配備される前は、〈M4Fカフドゥ〉で〈アイゼンリッター〉を討ち取ってきた歴戦の勇者だ。
部下のルーガはタイミングを心得ていた。無手のバレットナイト二機は同時に、騎士人形に対して踏み込んだ。
モーザ大尉は敵が跳躍することを予期して、斜めに斬撃を放っていた。相手の剣は
二機の〈ホーラドーン〉は、サーベルタイプの超硬度重斬刀を抜刀する。
腰の鞘から引き抜かれたテロス合金製のブレードが、夜闇に閃く刃となって〈アイゼンリッター〉に襲いかかる。
フィルニカ王立技術工廠で鍛え上げられた特殊合金の刃は、刃渡り二五〇センチメートルの殺意となって、金属板を紙切れのように両断する威力。
剣閃。
閃く刃がモーザ大尉の剣を弾いた――凄まじい速さの斬撃。
そして驚くべきことに、同士討ち覚悟で二人が同時に放った斬撃は弾かれていた。
異常な動きだった。
咄嗟に人間ができる反応ではない。
「――弾い、ぐぉ!?」
回し蹴りだった。
モーザ大尉の〈ホーラドーン〉が弾き飛ばされる。敵の背後を突いたはずのルーガ機が、上半身と下半身で真っ二つに切り裂かれた。
五機いたはずの〈ホーラドーン〉は、気づけばマノバ・モーザ大尉だけになっていた。
『大尉、どうすれば!?』
「下がれ、作戦は中止だ――」
〈アイゼンリッター〉の左肩、一二・七ミリ三銃身ガトリングガンが火を噴いた。機銃掃射が容赦なく装甲車の運転席に浴びせかけられ、防弾透明樹脂が砕け散る。運転手が血煙になって消し飛ぶ。
頑強なアルケー樹脂の車体は無事だったが、唯一、機銃掃射に対して脆弱な部位を撃ち抜かれたのだ。
モーザ大尉は悪夢のような現実に吠えた。
こいつは騎士人形などではない、地獄の悪鬼だ。この世にいてはならぬ邪悪だ。決してその生存を許してはおけなかった。
そして片手剣を手にして悪鬼へと挑み――サーベルを手にした右腕を跳ね上げられる。無防備になった胴体に、超硬度重斬刀がぶち込まれた。
マノバ・モーザ大尉の意識が消し飛ぶ寸前、彼が聞いたのは――
『――悪いね』
――あどけない少女の声だった。
◆
五機目の敵バレットナイトを始末したエルフリーデ・イルーシャは、すぐさま建築物の陰に飛び込んだ。案の定、今まで同士討ちを恐れて飛んでこなかった狙撃砲が撃ち込まれる。
〈アイゼンリッター〉の隠れる建物の壁をぶち抜き、四七ミリ砲弾が次々と地面に着弾する。リゾートホテルの敷地内は、意外と盾にできる近代的建築物が少ない。
景観を損ねる建物をできるだけ減らして、平地面積を広く取った空間が売りなのだ。
これだから金持ちの道楽は困る、と毒づく。
エルフリーデの〈アイゼンリッター〉は今、一二・七ミリのガトリングガンしか所持していない。比較的距離が近しいとはいえ、山の稜線から狙撃してくる敵には為す術がなかった。
北から二発、東から二発――心なしか先ほどよりも激しい砲火は、復讐心の表れだろうか。
――バナヴィア衛兵を散々射殺しておいて今さら過ぎる。
エルフリーデにも人の心はある。だが、彼らを素通しさせる気もなければ、ここで見逃して再度の襲撃を許す気もなかった。
三両目の兵員輸送車から動態反応――運転席と装甲で隔離されている後部に乗っていた歩兵たちが、車両を降りる――全部一〇人ほどの兵士が、慌てて後退していくのがわかった。
流石に生身の人間を虐殺する気は起きなかった。
遮蔽物にしていた屋内プール施設の屋根が吹き飛ぶ。また四七ミリ砲弾が飛んできたのだ。
さて、いよいよ逃げ場がなくなってきたな、というタイミング――リゾートホテルの車庫、エルフリーデが出撃したのとは別の建屋から、凄まじい火焔が見えた。
一瞬、とうとう敵が自棄になって爆撃を解禁したのかと思った。
違う、これはバックブラスト――無反動砲を撃った際、発射された弾頭の反動を相殺するため噴射される燃焼ガスだ。
オレンジ色の火に照らされて見えたのは、異様な見た目の戦闘車両だった。
やたら小さい。横幅は二・五メートルぐらいしかないし、車高に至っては二メートル少ししかない。流石に全高四メートルのバレットナイトと比べるのも酷だが、車両としてはだいぶ手狭である。
そいつが複数台、東西南北を向いている。
そして武装が極めつけに変だった。
車体の左右の六門の筒から、次々とレーザー誘導弾と思しき飛翔体が発射されていく。
呆れた。
あれは確か、ガルテグ連邦の自走無反動砲〈ロータスルート〉――
その見た目を一言で言い表すと、砲塔の左右から三連装無反動砲を生やした変な装甲車である。
見た目通りに装甲が薄いため、大陸間戦争では真っ先にバレットナイトに狩られていた自走砲。その珍妙な兵器が、絶大な火力を発揮していた。
装弾数五発の無反動砲六門が、やけくそのように三〇発もの成形炸薬弾を吐き出していく。
ガルテグ連邦製の照準装置はやけに優秀なようである。
狙撃砲を携えた敵バレットナイトが潜む場所目がけて、バカみたいな量の砲弾が降り注いだ。敵も逃げ出したようで、遠方でちかちかと爆発が生じる――攻撃が止んだ。
これって明らかに警備用の装備じゃないでしょ、とドン引きする。バナヴィア衛兵はどうやら、軍の払い下げ品として使い道のない玩具を与えられていたらしい。
通信が入る。
同時にこちらに向けて走ってくる大型トレーラーを感知。
『エルフリーデ・イルーシャ殿。支援に感謝します。これより我々、バナヴィア衛兵が囮となります。あなた方には敵陣を突破していただきたい』
「アラン・バリエ隊長――!?」
『ご安心を。私と部下も、あなた方の護衛につきます――弾除けにはなるでしょう』
笑えない冗談だと思ったが、たぶん彼らは本気だった。エルフリーデが視覚センサーを向けると、走ってきたのはクロガネの乗ってきたトレーラー一台と、それに追従する〈M4Fカフドゥ〉が四機。
センサーの動態感知に従って遠方を見れば、ベガニシュ側やフィルニカ側が乗ってきたトレーラー複数台が、反対方向に走り去っていく。
何機かの〈M4Fカフドゥ〉もそれに追従して、リゾートホテルから出発していた。
それでエルフリーデは彼らの作戦を理解した。
敵の狙いがこのホテルに宿泊する要人である以上、一刻も早く退去するのがホテル従業員の身の安全に繋がる――そして本命はエルフリーデとアラン・バリエ率いるバレットナイトが守り、他の隊員は囮の車両群と陽動に徹する。
バナヴィア衛兵の評価を上方修正する。少なくとも彼らは自らの職務に忠実であり、愚直なまでに命がけだった。
「――あなた方の献身に感謝を」
少女の駆る〈アイゼンリッター〉が瞬時に道路に飛び出す――トレーラーと並走するとレーザー通信が入った。
クロガネの顔と声が、電脳棺のインターフェースで再生される。
『この車両にはレディ・ノーラとイーリイ氏、そして彼らの従者が乗っている。定員オーバーだが致し方あるまい』
おそらくトレーラー後部の予備座席――軍用の折り畳みシートなので座り心地は最悪に近い――まで動員しているのだろう。
さぞや居心地最悪であろう状態を想像する。
クロガネはトレーラーに積んである無線機を通して話しているらしく、周囲の声もマイクが拾っていた。
聞こえたのは、レディ・ノーラのひどく落ち着いた問いかけ。砲弾が飛び交い、爆発まで起きている状況下だというのに、赤毛の貴族令嬢は肝が据わっていた。
『どうやら賊の狙いはわたくしたち、ベガニシュ貴族ではなさそうです――イーリイ様、教えていただいてもよろしくって? あなたは何者なのでしょう?』
クロガネはどうやら、エルフリーデに聞かせるために無言でマイクの感度を上げたらしい。
相変わらず変なところで気が利く男である。
少年の返答が、電脳棺のインターフェースでくっきりと再生された。
『僕はラト・イーリイ・クナトフ――前国王イシュヴィムの隠し子です』
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