2024年11月19日 01:28 編集済
蛹を盗んだ夜に≪下≫への応援コメント
普段生きていると出会えない、どうしてもわからない人間を覗けることが、純文学の醍醐味のひとつだと感じております。正直に言えば、この小説の全てを理解はできていません。ただ読み終わったいまは、とんでもないものを読んだ、という気持ちだけが渦巻いて仕方がなく、このコメントを書かせていただいております。 見知らぬ人に「久しぶり」と声をかける遊びというのが、犯罪ではないのに凄まじく背徳的で、冒頭一文目からその魅力に惹き込まれました。またその遊びに「久しぶりね、ハルキ」と返してくる女性が現れ、ハルキの幽霊を演じてしまうという展開も鋭く、先の読めない物語に胸が鳴りました。 そしてその女性——ヨナもまた、過去にハルキを殺しているという、私には理解しがたい存在でした。しかしこの小説のすごいところは、このわからない人間たちを、わかるように書いてある部分にあると感じます。特に比喩の使い方が巧みで、読んでいくうちに段々と彼らのことがわかっていく、とても楽しい読書体験でした。 アイデンティティが確立されてない彼らは、自分というものがなく、何者にでもなれたり、誰かを殺すほどに憧れてしまったりするのだと、私は解釈しました。そんな幼いふたりが出会い、曖昧な人物のまま展開されていく会話、そしてその凹凸が重なるラストシーンまで、とても鮮やかに描けており、圧巻でした。 羽が生えて蛹から成長したヨナのように、まだ蛹の主人公も、将来はちゃんと自分を持てた大人に成長していくのだろうと、蝶として羽ばたいているのだろうと、想像して嬉しくなりました。 素敵な純文学に、謎めいた感動を味わうことができました。ありがとうございました。
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蛹を盗んだ夜に≪下≫への応援コメント
普段生きていると出会えない、どうしてもわからない人間を覗けることが、純文学の醍醐味のひとつだと感じております。正直に言えば、この小説の全てを理解はできていません。ただ読み終わったいまは、とんでもないものを読んだ、という気持ちだけが渦巻いて仕方がなく、このコメントを書かせていただいております。
見知らぬ人に「久しぶり」と声をかける遊びというのが、犯罪ではないのに凄まじく背徳的で、冒頭一文目からその魅力に惹き込まれました。またその遊びに「久しぶりね、ハルキ」と返してくる女性が現れ、ハルキの幽霊を演じてしまうという展開も鋭く、先の読めない物語に胸が鳴りました。
そしてその女性——ヨナもまた、過去にハルキを殺しているという、私には理解しがたい存在でした。しかしこの小説のすごいところは、このわからない人間たちを、わかるように書いてある部分にあると感じます。特に比喩の使い方が巧みで、読んでいくうちに段々と彼らのことがわかっていく、とても楽しい読書体験でした。
アイデンティティが確立されてない彼らは、自分というものがなく、何者にでもなれたり、誰かを殺すほどに憧れてしまったりするのだと、私は解釈しました。そんな幼いふたりが出会い、曖昧な人物のまま展開されていく会話、そしてその凹凸が重なるラストシーンまで、とても鮮やかに描けており、圧巻でした。
羽が生えて蛹から成長したヨナのように、まだ蛹の主人公も、将来はちゃんと自分を持てた大人に成長していくのだろうと、蝶として羽ばたいているのだろうと、想像して嬉しくなりました。
素敵な純文学に、謎めいた感動を味わうことができました。ありがとうございました。