第4話 ミサキとの共有
月曜日の朝、ユウキは学校に向かう道すがら、心臓が早鐘を打つのを感じていた。週末の驚くべき体験を、ミサキに打ち明けるべきかどうか迷っていたのだ。
教室に入ると、ミサキが明るい笑顔で迎えてくれた。「おはよう、ユウキくん!週末はどうだった?」
ユウキは少し躊躇しながら答えた。「う、うん...すごく面白い体験をしたんだ。ミサキ、放課後時間ある?話したいことがあるんだ」
ミサキは少し不思議そうな顔をしたが、すぐに笑顔で答えた。「もちろん!図書館に行く約束してたけど、その前に話そう」
授業中、ユウキは落ち着かない様子だった。先生の話に集中できず、何度も窓の外を見やっては、あの不思議な図書館のことを考えていた。
やっと放課後になり、二人は学校の裏庭にある大きな樫の木の下に座った。
「それで、どんな面白い体験をしたの?」ミサキが好奇心いっぱいの目で尋ねた。
ユウキは深呼吸をして、話し始めた。「信じられないかもしれないけど...」そして、林の中で見つけた不思議な図書館のこと、本の世界に入れること、海賊や宇宙飛行士になった体験を、一気に話した。
話し終えると、ユウキはミサキの反応を恐る恐る見た。ミサキは目を丸くして、しばらく何も言えない様子だった。
「ユウキくん...それ、本当なの?」ミサキがようやく口を開いた。
ユウキは真剣な表情で頷いた。「本当だよ。信じられないかもしれないけど...」
ミサキは少し考え込んでから、突然明るい表情になった。「すごい!私も行ってみたい!今すぐ連れて行って!」
ユウキは驚きながらも、嬉しさがこみ上げてきた。「本当に?じゃあ、行こう!」
二人は急いで林に向かった。ユウキが前回来た道を辿っていくと、古びた図書館が姿を現した。
「わぁ...本当にあるんだ」ミサキは驚きの声を上げた。
二人で図書館に入ると、いつもの白髪の司書が迎えてくれた。
「おや、今日は友達を連れてきたようだね」司書は優しく微笑んだ。
ユウキは少し緊張しながら説明した。「はい、こちらはミサキです。親友なんです。この図書館のことを話したら、一緒に来たいって...」
司書はミサキをじっと見つめ、そしてゆっくりと頷いた。「ミサキさん、君にもこの図書館の魔法が見えるようだね。歓迎するよ」
ミサキは興奮気味に尋ねた。「私も本の世界に入れるんですか?」
「もちろんだよ」司書は答えた。「でも、ユウキくんから聞いていると思うが、いくつかルールがある。最も重要なのは、現実世界に戻る方法を忘れないことだ」
ミサキは真剣に頷いた。「はい、わかりました」
司書は本棚から一冊の本を取り出した。「『アマゾンの秘宝』...二人で行くにはちょうどいい冒険かもしれないね」
ユウキとミサキは顔を見合わせ、頷いた。二人で本を開くと、周りの景色が急速に変化し始めた。
気がつくと、二人は鬱蒼としたジャングルの中にいた。木々の間から差し込む陽光、湿った空気、鳥や虫の鳴き声...全てが生々しかった。
「すごい...」ミサキは目を輝かせた。「本当に本の中に入ってる!」
ユウキも興奮していた。「行こう、ミサキ!きっと素晴らしい冒険が待ってるよ」
二人は手を取り合い、ジャングルの奥へと進んでいった。途中、川を渡ったり、崖を登ったり、野生動物と遭遇したりと、様々な困難に直面した。しかし、二人で協力し合うことで、全ての障害を乗り越えていった。
最後に、古代の神殿にたどり着いた二人は、そこで謎を解き、秘宝を見つけ出すことに成功した。
「やった!」二人は抱き合って喜んだ。
その瞬間、ユウキは司書の言葉を思い出した。「ミサキ、そろそろ戻ろう。『現実に戻る』って強く思うんだ」
ミサキは少し残念そうな顔をしたが、頷いた。二人で目を閉じ、心の中で唱えた。「現実に戻る!」
目を開けると、二人は再び図書館の中にいた。
「どうだった?」司書が優しく尋ねた。
「最高でした!」二人は口を揃えて答えた。
帰り道、ユウキとミサキは興奮冷めやらぬ様子で冒険の話をし合った。
「ねえ、ユウキくん」ミサキが突然真剣な顔で言った。「この秘密、二人だけのものにしよう」
ユウキは頷いた。「うん、約束するよ」
二人は小指を絡ませ、固い約束を交わした。この日を境に、ユウキとミサキの友情は一層深まり、二人だけの特別な冒険が始まったのだった
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