第6話 自販機
昭和の話だ。
自販機の裏にはホームレスがいる。
駅前には自動販売機がズラリと並べられているが、その後ろには少しだけ排熱用のスペースが設けられていて、そこにホームレスが冬の間は住み着くのだ。
Fさんがある真冬に終電で地元の駅へ帰ってきたとき、駅から出るとその自動販売機の列の後ろに横たわる黒いものを見た。
「あぁ、こういう人も大変だな」
一瞥して自宅へ向かおうとしたとき、その人型がむくりと上半身を起こした。
少しだけ驚いてその黒いものを凝視する。
すると、それは見る間に大人のこぶし大の大きさに分かれて別々の方向に動き出した。
よく見ると、それは鼠だったそうだ。
毎晩見るあのホームレスがなぜそんなことになったのか、今でもわからないと彼は首を傾げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます