凛とした綺麗な表現で綴られた文体が、物語の情景や感情をより強く鮮明にイメージさせてくれました。
話はまだプロローグではありますが、読み終えた時点で気付かされる哲学的な要素を絡めながら語られた主人公の鶯谷波留という人物の葛藤……
そこには、後悔の無意味さや現実の非情さといった部分が綺麗な比喩表現で描かれていて、それが今の彼女の置かれた状況と相まって続きが気になってしかたありません!
タイトルにある『新月と幽霊』、そして文中にあった「私が最後に見たのは、月の無い星空」という2つのキーワードが話の時系列さえも超越した伏線として、今後の話の展開を誘導してくれてるものとして心に残りました。(個人主観ですのであしからず)
鶯谷波留がどのような経緯で今に至ったのか、また今後どのような動向を見せてくれるのか、そして一つだけ奇妙な欠落があることの真実とは……それら全体を描く綺麗な描写や表現と共に気になるところです。
今はまだプロローグだけですが、続きも含めて是非ご一読頂きたいと感じた作品です!