無敵先輩 ~冒険に巻き込まれる最弱な私、今日も絶体絶命っす!~

ネルルンセブン@7時間は眠りたい

異世界へGO! 小説1巻

第1話 先輩は異世界でスライムを飼いたいそうです!part1

明日から中学校の夏休みが始まる帰り道、

よく晴れた空の下で、

学生服を着た二人の女の子が住宅街を歩いていた


「先輩、明日から夏休みっすね!」


元気よく声をかけるのは、

髪が金髪の女の子。


彼女の髪は長く、

後ろで高めのポニーテールに結ばれており、

その先端には白いリボンが軽やかに揺れている。


前髪は顔にかからないように整えられており、

額が少し見える程度に分けられている。

大きな瞳は明るい茶色で、キラキラと輝いている。


身長は平均的な少女より小柄。

体は細身であるが健康的な印象だ。


その金髪の超絶美少女の私の呼び名は

後輩ちゃんである。

あっ今のは冗談っすよ?


「後輩ちゃん、わたし異世界にいって、

 大冒険してみたいんだよね」


そう答えた、先輩の名前は

水落(みら)・くる実、

あだ名はミラクル先輩である。


髪型はミディアムレングスのブラウンヘアで、

自然なストレートスタイルで軽い前髪が特徴である。

ちなみに手入れは一切されてない


顔は丸みのある顔立ちで、目は茶色の瞳。

彼女はいつも元気いっぱいで、

表情豊かで、非常に親しみやすい。


ミラクル先輩は冒険心に満ちていて

常にエネルギッシュな状態なのだ。

ただ、結果を顧みず暴走するのがたまに傷なんっすよね。


ちなみに先輩と私は、

二人とも両親が亡くなっている。


「先輩、それは小説の読みすぎっすよ。

 異世界なんて、

 現実には存在しないっすから」


私は先輩の発言を笑い飛ばしてしまったが、

本気で異世界に行きたいと願っているようだった。

目には、涙が浮かんでいたのだ。


「うわぁぁん

 ニャンタ~!

 後輩ちゃんがひどい事言うんだぁ」


大声で叫びながら、

自分の家のドアを勢いよく開けて、

階段を駆け上がっていった。


私は少し慌てながらも、先輩を追いかけた。

「どうせあの部屋にいるんだろうな」と思いながら、

2階の部屋の扉を開けた。


そこでは、先輩が大きな三毛猫のに抱きつき、

少しの涙と汗でぐしゃぐしゃの顔を、

毛に埋めて泣いていた。


毛に涙と汗がべっとりついているが、

猫は特に気にしていないようだ。

先輩はおかまいなしに毛をスリスリしている。


そう、一つ伝え忘れてたっす!、

私は特定の生物と会話できる力がある。

この三毛猫ともテレパシーのように会話できるのだ。


「今度はどうしたんだ?

 また炊飯器に

 つらい現実を突きつけられたのか?」


「ニャンタさん!

 先輩は異世界に行きたいらしいっす!」


頭をポンポンと軽く叩きながら言った。

先輩が抱き着いてる生物は、

見た目が大きい三毛猫のニャンタさんだ。


先輩と一緒に住んでる謎の生物の1体である。

本人いわく猫界(ニャカイ)に住む猫族(ニャゾク)らしい

気のせいか魔族とイントネーションが似てるっすね?


ちなみにニャンタは言葉を使わず、

ジェスチャーで意思を示すが、

先輩は不思議とその意味をすべて理解していた。


「ニャンタぁ!

 私、異世界に行って

 大冒険がしてみたいよぉ」


先輩はニャンタさんに、

抱きつきながら叫んでいた。


「じゃあ先輩、

 テレビゲームしようっす」

 冒険し放題っすよ!」


「まあお前も異世界に

 行ってみたい年頃か…。

 しょうがねぇな」


そう言うとニャンタさんは

どこからともなく、

巨大な宝箱を取り出した。


「猫界(ニャカイ)77ツ魔道具 

 ポータルチェスト

 この箱に入れば異世界いけるぞ」


「わぁぁい!

 ニャンタがアイテム出してくれた!」


「え?ニャンタさん

 こんなでかい宝箱

 どっから出したんすかぁ!?」


私は不思議に思って質問したけれど、

先輩は全然気にしていないみたいだった。


この光景を見て驚いているのは、

もしかして私だけっすか?


「後輩ちゃん、

 これで一緒に異世界に行けるね」


「あっ!

 私も一緒に行く前提で

 話してたんすね」


先輩は満面の笑みで私に言った。

そしてニャンタさんは私たちの目の前で、

ポータルチェストを紹介しはじめた。


「軽くて持ち運びも簡単、

 アイテムも大量に収納できる

 旅行や冒険に便利なアイテムだぜ」


ポータルチェストは異界への扉で、

赤い宝箱に黄色い金属フレームが施されていた。

箱を開けると、人間二人が余裕で入るスペースがあった。


宝箱の内部が異次元空間に繋がっており、

外見からは想像もつかないほど、

膨大なアイテムを収納することができるらしい。


「クルミと炊飯器!

 異世界に行く前に、

 これに着替えておけ」


ニャンタさんは私たちの安全を考えて、

異世界探索用の装備を手渡してくれた。


「後輩ちゃんだけ、

 服が可愛い気がする」


「お前はすぐ服を破るから、

 シンプルなのにしとけ!」


先輩はシンプルな白い半袖のシャツを着ており、

黒いショートパンツに、

茶色のベルトをつけていた。


足元はブラウンのアンクル丈の

レースアップブーツを履いている。


「学生服と同じくらいペラペラっすよ?

 これで身を守れるんっすか?」


私は白魔導士風の白いローブと、

茶色のスカートを渡され、

半信半疑で着替えた。


白魔導士のような、

白と金の色合いが特徴的な半袖のローブには、

金の刺繍が施されていた。


茶色のスカートは、

丈は膝丈くらいの長さだ。


そして、私の全身を守るように、

ローブやスカートからは

不思議なオーラが放たれている。


ニャンタさんはにやりと笑う

そして、自信たっぷりにこう答えた。


「お前らけっこう似合ってんじゃねぇか!

 死にたくなけりゃ

 服を脱ぐんじゃねぇぞ!」


そして、私は先輩の好奇心と冒険心に押され、

異世界に行くことを同意してしまった。

まあ私も冒険には興味があったんっすよね。


「後輩ちゃん、

 異世界に行く準備はOK?」


「なんか宝箱の中、

 変な渦巻いてるっすよ」


先輩は、異世界に行ける喜びでテンションMAX。

彼女の顔は興奮で、

顔がニコニコと歪んでいた。


今の顔をみたら、

誰もが満場一致で、

眉を顰め不気味だと思うだろう。


「先輩、まだ心の準備が整ってないっす」

「もうダメだ限界だぁ

 早く異世界に行きたいよぉぉ」


異世界で何が待ち受けているか不明なのに、

先輩の何がそこまで、

異世界へと駆り立てるのか分からない。


きっと、先輩は小説に出てくるような

展開を期待しているのだろう。


異世界で特別な力を覚醒させて「私TREEEEEE」したり、

王国の危機を救って英雄扱いされたり、

危険から助けた女の子達でハーレムを作ったりっすかね?


私がポータルに入るのを、

ソファの上で躊躇していると

先輩は我慢の限界に達したのだろう。


私がポータルに入るのをためらって、

近くにあるソファに座っていると、

先輩はついに我慢できず動き出した。


「ハローニューワールド」と叫びながら、

頭から宝箱の中に突っ込んでいった。

そう、先輩には恐怖という文字はないのだ。


「先輩!

 一人で行くと危ないっすよ!」


それから数分後、

私は再びチェストの前に立ち、

ついに決意して一歩踏み出した。


「よし!とりあえず

 先輩を迎えにいくっす

 またすぐ家に戻ればいいっすよね?」


異世界が待っている。

興奮と不安が混じる中、ゲートに突入し、

私は先輩を迎えに異世界へ向かった。


ポータルチェストの中は意外にも快適で、

広々としていた。


「息ができるし、空気も悪くないし、

 気温もちょうどいい

 ポータルの中って意外と快適なんっすね」


私は感心しながら独り言を呟いた。

この空間で寝泊まりするのも、

ありなのかと思うくらい快適なのだ。


気になるのは辺り一面、

空間が歪んだ世界が、

広がっているくらいだろうか。


「ここがポータルの出口っすね」


奥を見ると、光る渦が巻いているのが見えた。

それは入口と似ており、

ポータルの出口だと確信した。

 

「あれ?、出口を抜けたのに、

 何も見えないっす」


目の前は暗闇に包まれていた。

私は不安げに周囲を見回すと、

眼の端に一筋の微光が見えるのに気づいた。


「そういえば、

 宝箱の中だったっす」


彼女は暗闇の中に手を伸ばし、

ポータルチェストの蓋を開けた。

そこは見知らぬ森の中だった。


「ここどこっっすか?」


異世界の森の第一印象は、

一言で言うなら、

ただの見通しのいい森っすね。


よくある小説だと、

異世界の住人に召喚されたり、

死後に神様的存在によって転生する展開が多い。


そして、異世界に行くとチート能力を獲得したり、

モンスターを倒してレベルアップし、

身体能力が向上するなど、特典が盛りだくさんだ。


私もかなり興奮しながら、

この異世界に足を踏み入れた。


未知の冒険が待っているかもしれないという、

期待感に胸を躍らせ、どんな場所なんだろう、

どんな生き物に出会えるんだろう、と心が躍った。


でもこの後、

先輩が森で何か見つけたと叫んで、

青紫のスライムを拾ってきたんすよね。


まさか異世界に来たことで、

命がけの日々を送ることになるとは、

この時はまだ想像もしていなかった。

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