第3話 父,娘 ③ 娘の内縁
アユラは一輪の白いカーネーションを
夕焼け滲む朱色の空へ投げた
母セイナは2014/12/25に
死んだ
娘アユラは、生後半年だった
0.5歳の記憶など皆無に等しいが、
アユラの脳裏に包まれたわずかな感触があった
シャンプーハット
アユラにはこれを被った感触が、
柔らかい頭を透き通りその脳を優しく覆っていた
少女の調査では、
父はシャンプーハットを使用しなかったということを突き止めたので、0.5歳のかすかな母の優しさの記憶であった
・・・
父と娘
娘アユラ4年生は
天真爛漫な少女だ
明るく陽気で誰に対しても壁を作らないし、
マイクスタンドが置かれていたとしたら左側に立ち、
その右手はきっと的確な働きをするであろう
きっと彼女はすくすくと成長し、
的確な幸せを掴めるはずの少女だった
ただ
決して間違いのない人柄や魅力を兼ね備えた女性でも
ある一点の失敗で人生を狂わせる
4年生アユラには心に決めた少年がいた
ルチカ6年生
幼馴染の二人。
ルチカは賢く頼りがいがあるから、アユラが恋焦がれるのは
必然だった。
ルチカもアユラをごく自然に愛した。
アユラ、人生の最大の失敗であった
アユラは鬼畜を愛することをやめなかった
・・・
父アネハ46歳はあるスーパーの副店長をしている。
加工食品から生鮮、精肉まで担当した経験を持ち幅広く活躍していた。
普通の男で普通に娘を愛し普通にかすかな罪悪感を亡き恋人に捧げながらも普通に女性に恋をしていた。
・・・・
父と娘は苦難の時こそ、その最大の絆は発揮された
娘の愛した鬼畜は、
「閻魔である!我々は閻魔大王!であろう!!
無であるという天国を奪い!!
生という地獄に引きずり出す!
天国か地獄かを決めているのは
人間そのものなのだ!!!
両親の存在こそが、まさに閻魔そのもの!
地獄行きを決定づけた悪魔だ!
無から人生の火を灯したPARENTSこそが最大の炎魔である!!!
見てみろ!
出産時の苦悶に歪んだ女の顔と呻きを!!
まさに閻魔の表現ではないか!!!
地獄を産み出すとはその化身になるということだ!!!
照らせ!」
父は娘のために、鬼畜と対峙した。
アネハ、66歳だった。
ルチカと娘アユラの子シズカの、祖父になっていた
父,娘 ハミル @hamiru0815
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。父,娘の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます