世紀末の大発明

もかの@NIT所属

AIを殺すAI

 21☓☓年、世はまさにアーティフィシャル・インテリジェンス、AIの時代であった。


 これまでの人々の、「楽をしたい」「便利な暮らしにしたい」。そんな想いから、すべてのものをAI化してきた。


 その結果、今の世界で将来の選択肢としてあるのは、AIエンジニア、もしくは自宅警備員のみである。


 だって、そうだろう?


 これはある1人の男の生活だが、朝、寝ている男の体調をAIが自動診断し、その日ごと、適切な時間に人口の光を当てて起こしてくれる。


 男が目覚めると、栄養満点の食事が用意されており、昨日の洗い物や洗濯物はすでに収納まで済ませてある。


 男が食事を摂り始めると、男が興味のあるであろうテレビや動画、配信を自動でつけてくれる。


 ほら、家の中だと男は何もしなくていい。では、外に出てみるとどうだろうか。


 男が散歩をするべく、外に出る。買い出しなどをしてくれるドローンが空を飛ぶだけで、すれ違うのは散歩やランニングをしている人ばかり。


 男は喉が渇いたので、数十メートルおきに設置してあるコンビニに。中に入るとそのままレジへ行き、そこにいるAIが男の思考を読み取り、今求めているもの──今回はコーラが提供された。


 会計はしない。男の顔を読み取ったAIが自動で銀行からおろしてくれているからだ。


 人間がAIを支配した今、人間は世界も支配していると言えるのだ。




 しかし、この先、AIに支配されてしまうのではないか、と懸念の色を示すものもいた。


 そういった人たちは、とある対策を始めた。



『AIを殺すAI』。



 AIが人間の想像を超えた奇行に走ったときに、自動ですべてのAIをシャットダウンというプログラムが施されたAIである。


 この開発に成功したとき、人々は心の底から安心した。


 唯一の懸念がなくなったからだ。




 そのAIが奇行に走ってしまうことなど、誰が想像できたであろうか。

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