今日も無罪だ

私は法律を全て知っている。

だからこそわかる。

人は生きている限り何らかの法律を犯している。


今日の新入社員歓迎会の二次会だってそうだ。

カラオケでみんなが歌う歌には犯罪が潜んでいる。

同僚だって有罪、後輩だって有罪。

課長なんて終身刑もありえる。

そんななか私は、罪のない歌を歌う。

自分だけ無罪であると考えると、何だか罪悪感さえ感じる。


そのとき、突然マイクを渡された。

渡された以上歌わざるをえない。

しかし罪は犯したくはない。

-来る。有罪にあたる歌詞が。

瞬間的にみんなの方にマイクを向ける。

それに応えるようにみんなの声が聞こえる。


今日も私は無罪だ。

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